Lovin' you after CCA 2
Lovin you after CCA 2
ネオ・ジオンの母艦 レウルーラの艦内は総帥であるシャア・アズナブルの帰還の連絡に浮き足立っていた。
先日のアクシズ降下作戦で割れたアクシズと共に行方不明となり、その生存が絶望的と思われていた総帥が間も無く帰艦するというのだ。
ドック内にはその姿を一目見ようとクルー達が
ひしめき合っていた。
そして、クルー達が見守る中、ドックへとシャアを乗せた小型艇がゆっくりと着艦した。
小型艇のハッチが開き、中から姿を見せた総帥の姿に歓声が湧き起こる。
シャアはクルー達に右手を挙げてその歓声に応えると堂々とした足取りでゆっくりと降り立ち、そこに控えていた副官のナナイや艦長のトゥースの元へと足を進める。
ナナイはシャアのその姿に薄っすらと涙を浮かべると背筋を伸ばし敬礼をする。
「大佐!よくご無事で!きっと我々の元に帰って来てくださると信じておりました!」
シャアは敬礼を返し、「心配をかけた。」とナナイを労う。
しかし、『本当は全てを捨ててアムロと共に生きたいと思っていたのだが…。』と心の中で溜め息をつきつつ、そんな事を思っている事に、目の前で自分の帰還を喜ぶ部下に対して罪悪感も感じた。
その様子を小型艇の中からギュネイと共に見つめるのは父、シャア・アズナブルから受け継いだスカイブルーの瞳と顔立ち、そして母、アムロと同じ赤茶色の髪をした少年、カイルだ。
流石に総帥である父と一緒に出るのは不味いと思い小型艇内で待機する。
父親は別に構わないと言っていたが、今まで必死にネオ・ジオンから自分と妹を隠してきた母の気持ちを思うとyesとは言えなかった。
「もう少ししたら落ち着くと思うので、様子を見て総帥の所にご案内します。」
ギュネイはあまりの歓声に驚いているカイルの肩を叩くとそっと囁く。
「ありがとうございます。ギュネイさん。」
カイルはギュネイの顔を見上げて微笑む。
『顔は大佐にそっくりだけど、中身はアムロ・レイに似ているかもしれないな。』
そんな事を思いながらギュネイはクスリと笑う。
「お父さんはこんなに沢山の人の思いや期待を背負っているんですね。」
父親の後ろ姿を誇らしげに見つめるカイルを見てギュネイは思う。
『大佐がこの子供に恥じない生き方を出来るよう手助けしたい』と…。
ギュネイはカイルを連れ、執務室のドアをノックする。
「ギュネイ・ガスです。」
中から「入れ」という返事を受け、扉を開ける。
そこにはシャアと副官のナナイ。そして諜報部のキグナン局長がいた。
「失礼します。」
敬礼をして一歩部屋に入ると、後ろに控えていたカイルを部屋へと案内する。
その姿を見たナナイとキグナンが息を飲む。
「カイル、こちらへ。」
シャアは笑顔でカイルを呼び寄せる。
カイルは少し緊張した面持ちで頷くとシャアの元まで足を進める。
「待たせてすまないな。」
シャアは優しく微笑むと、カイルの頭をクシャリと撫ぜる。
「いえ、大丈夫です。ギュネイさんが一緒に居てくれたので。」
その言葉にシャアがギュネイに視線を向ける。
「ギュネイ、ありがとう。」
「いえ、カイル様をお連れできて光栄です。」
ギュネイは敬礼をしながら答える。
「え?"様"はよしてよ恥ずかしい!」
カイルがそう言うのに「そんな訳には…!」とギュネイが焦る。
「カイル、流石に私の子を呼び捨てにはし辛かろう。お前が慣れろ。」
その言葉にナナイとキグナンはシャアとカイルを交互に見やる。そしてシャアはにこやかに語る。
「ナナイ、キグナン、紹介しよう。私とアムロの息子のカイルだ。」
その言葉に2人は同時に固まる。
「「は?」」
しかし、カイルの容貌を見ればシャアと親子だと言うことは一目瞭然だ。
そして、その髪の色は先日捕虜としてこの部屋に連れてこられた連邦のパイロット、アムロ・レイと同じものだった。
「大佐!これはどう言う事でしょうか?」
キグナンが口を開く。
「実は私も先日アムロから聞いて知ったばかりだ。そして、ここには居ないがもう1人六歳の娘もいる。」
「はぁぁぁ!?」
シャアがさらっと述べるのにキグナンが思わず叫ぶ。
「た、大佐。詳しくお教え願えませんか!?」
諜報部として、こんな重要な事を把握出来て居なかったことにショックが隠せない。
「ああ、そうだな。全く、よくぞここまで隠し通したものだ。まぁ、アルテイシアやアナハイムの大物も噛んでいるから不可能ではないが、流石は連邦の白い悪魔と言ったところか。」
シャアは皮肉な笑いを浮かべながらキグナンとナナイにアムロから聞いた事を説明した。
「まさか、アナハイムエレクトロニクス社にいたとは…灯台下暗しとはこの事ですな。」
キグナンは大きな溜め息を漏らすと肩を落とす。
「アムロ・レイの事は大佐の命令でずっと動向を探っておりましたが、一年戦争後は連邦のトップシークレットとして居処が全く掴めず、カラバに合流したかと思ったらまた離脱し、その後またプッツリと行方を掴めなくなってしまいました。そして、大佐がネオ・ジオンの総帥に就任した途端、また突然姿を現し連邦に復帰してと本当に神出鬼没で…。よもや大佐のお子を出産していたとは…。」
キグナンは冷や汗を拭いながらまた一つため息を吐く。
「キグナン、そう落ち込むな。アルテイシアやエドヴァルド・レイブンが関わっていたのだ、致し方あるまい。」
「はぁ…」
ナナイはアムロを捕虜として拘束した際、アムロに帝王切開の痕があると報告した時のシャアの反応から、なんとなく予想はしていた。しかし、まさか2人も居たとは思わず、しばし絶句する。
そして、同じ女性として無理矢理妊娠させられたアムロに対して憐れむ気持ちを感じつつ、研究者としてその結果が気になった。
「大佐…、お子様達はニュータイプ能力を受け継いでおられるのでしょうか?」
思わず気になったことを聞いてしまう。
「さぁ、どうだかな。ただ、この子達が居なければ私もアムロも死んでいた。」
その言葉にナナイは目を見開く。
「ナナイ、分かっていると思うが私は子供達を実験体にするつもりはない。私の許可なく要らぬ事はするな。」
とシャアは釘を刺すのを忘れない。
ナナイは言葉に詰まりつつも「わかりました。」と返事を返す。
すると、カイルがくるりと振り返りナナイへと視線を向ける。
「あなたがナナイ大尉ですか?」
突然カイルに声を掛けられ、ナナイは戸惑いつつ「ハイ」と頷く。
「母からナナイ大尉に伝言を預かって来ました。"あの時は本当にありがとうございました。"というのと、これを渡すように言われました。」
そう言うとカイルはラー・カイラムから連れて来ていたペットロボット ハロを呼ぶ。
「ハロ!おいで!」
《カイル!ヨンダカ?》
床をポンポンと跳ねながらハロがカイルの元へとやって来る。ポンっとカイルの腕の中に収まるとその赤い目を点滅させる。
《カイル、キンチョウシテル、ドウシタ?》
カイルの脈拍や体温を感知したハロがカイルに尋ねる。
「ちょっとね。でも大丈夫だよ。それよりハロ、お母さんに言われてたアレを出して。」
《ワカッタ》
ネオ・ジオンの母艦 レウルーラの艦内は総帥であるシャア・アズナブルの帰還の連絡に浮き足立っていた。
先日のアクシズ降下作戦で割れたアクシズと共に行方不明となり、その生存が絶望的と思われていた総帥が間も無く帰艦するというのだ。
ドック内にはその姿を一目見ようとクルー達が
ひしめき合っていた。
そして、クルー達が見守る中、ドックへとシャアを乗せた小型艇がゆっくりと着艦した。
小型艇のハッチが開き、中から姿を見せた総帥の姿に歓声が湧き起こる。
シャアはクルー達に右手を挙げてその歓声に応えると堂々とした足取りでゆっくりと降り立ち、そこに控えていた副官のナナイや艦長のトゥースの元へと足を進める。
ナナイはシャアのその姿に薄っすらと涙を浮かべると背筋を伸ばし敬礼をする。
「大佐!よくご無事で!きっと我々の元に帰って来てくださると信じておりました!」
シャアは敬礼を返し、「心配をかけた。」とナナイを労う。
しかし、『本当は全てを捨ててアムロと共に生きたいと思っていたのだが…。』と心の中で溜め息をつきつつ、そんな事を思っている事に、目の前で自分の帰還を喜ぶ部下に対して罪悪感も感じた。
その様子を小型艇の中からギュネイと共に見つめるのは父、シャア・アズナブルから受け継いだスカイブルーの瞳と顔立ち、そして母、アムロと同じ赤茶色の髪をした少年、カイルだ。
流石に総帥である父と一緒に出るのは不味いと思い小型艇内で待機する。
父親は別に構わないと言っていたが、今まで必死にネオ・ジオンから自分と妹を隠してきた母の気持ちを思うとyesとは言えなかった。
「もう少ししたら落ち着くと思うので、様子を見て総帥の所にご案内します。」
ギュネイはあまりの歓声に驚いているカイルの肩を叩くとそっと囁く。
「ありがとうございます。ギュネイさん。」
カイルはギュネイの顔を見上げて微笑む。
『顔は大佐にそっくりだけど、中身はアムロ・レイに似ているかもしれないな。』
そんな事を思いながらギュネイはクスリと笑う。
「お父さんはこんなに沢山の人の思いや期待を背負っているんですね。」
父親の後ろ姿を誇らしげに見つめるカイルを見てギュネイは思う。
『大佐がこの子供に恥じない生き方を出来るよう手助けしたい』と…。
ギュネイはカイルを連れ、執務室のドアをノックする。
「ギュネイ・ガスです。」
中から「入れ」という返事を受け、扉を開ける。
そこにはシャアと副官のナナイ。そして諜報部のキグナン局長がいた。
「失礼します。」
敬礼をして一歩部屋に入ると、後ろに控えていたカイルを部屋へと案内する。
その姿を見たナナイとキグナンが息を飲む。
「カイル、こちらへ。」
シャアは笑顔でカイルを呼び寄せる。
カイルは少し緊張した面持ちで頷くとシャアの元まで足を進める。
「待たせてすまないな。」
シャアは優しく微笑むと、カイルの頭をクシャリと撫ぜる。
「いえ、大丈夫です。ギュネイさんが一緒に居てくれたので。」
その言葉にシャアがギュネイに視線を向ける。
「ギュネイ、ありがとう。」
「いえ、カイル様をお連れできて光栄です。」
ギュネイは敬礼をしながら答える。
「え?"様"はよしてよ恥ずかしい!」
カイルがそう言うのに「そんな訳には…!」とギュネイが焦る。
「カイル、流石に私の子を呼び捨てにはし辛かろう。お前が慣れろ。」
その言葉にナナイとキグナンはシャアとカイルを交互に見やる。そしてシャアはにこやかに語る。
「ナナイ、キグナン、紹介しよう。私とアムロの息子のカイルだ。」
その言葉に2人は同時に固まる。
「「は?」」
しかし、カイルの容貌を見ればシャアと親子だと言うことは一目瞭然だ。
そして、その髪の色は先日捕虜としてこの部屋に連れてこられた連邦のパイロット、アムロ・レイと同じものだった。
「大佐!これはどう言う事でしょうか?」
キグナンが口を開く。
「実は私も先日アムロから聞いて知ったばかりだ。そして、ここには居ないがもう1人六歳の娘もいる。」
「はぁぁぁ!?」
シャアがさらっと述べるのにキグナンが思わず叫ぶ。
「た、大佐。詳しくお教え願えませんか!?」
諜報部として、こんな重要な事を把握出来て居なかったことにショックが隠せない。
「ああ、そうだな。全く、よくぞここまで隠し通したものだ。まぁ、アルテイシアやアナハイムの大物も噛んでいるから不可能ではないが、流石は連邦の白い悪魔と言ったところか。」
シャアは皮肉な笑いを浮かべながらキグナンとナナイにアムロから聞いた事を説明した。
「まさか、アナハイムエレクトロニクス社にいたとは…灯台下暗しとはこの事ですな。」
キグナンは大きな溜め息を漏らすと肩を落とす。
「アムロ・レイの事は大佐の命令でずっと動向を探っておりましたが、一年戦争後は連邦のトップシークレットとして居処が全く掴めず、カラバに合流したかと思ったらまた離脱し、その後またプッツリと行方を掴めなくなってしまいました。そして、大佐がネオ・ジオンの総帥に就任した途端、また突然姿を現し連邦に復帰してと本当に神出鬼没で…。よもや大佐のお子を出産していたとは…。」
キグナンは冷や汗を拭いながらまた一つため息を吐く。
「キグナン、そう落ち込むな。アルテイシアやエドヴァルド・レイブンが関わっていたのだ、致し方あるまい。」
「はぁ…」
ナナイはアムロを捕虜として拘束した際、アムロに帝王切開の痕があると報告した時のシャアの反応から、なんとなく予想はしていた。しかし、まさか2人も居たとは思わず、しばし絶句する。
そして、同じ女性として無理矢理妊娠させられたアムロに対して憐れむ気持ちを感じつつ、研究者としてその結果が気になった。
「大佐…、お子様達はニュータイプ能力を受け継いでおられるのでしょうか?」
思わず気になったことを聞いてしまう。
「さぁ、どうだかな。ただ、この子達が居なければ私もアムロも死んでいた。」
その言葉にナナイは目を見開く。
「ナナイ、分かっていると思うが私は子供達を実験体にするつもりはない。私の許可なく要らぬ事はするな。」
とシャアは釘を刺すのを忘れない。
ナナイは言葉に詰まりつつも「わかりました。」と返事を返す。
すると、カイルがくるりと振り返りナナイへと視線を向ける。
「あなたがナナイ大尉ですか?」
突然カイルに声を掛けられ、ナナイは戸惑いつつ「ハイ」と頷く。
「母からナナイ大尉に伝言を預かって来ました。"あの時は本当にありがとうございました。"というのと、これを渡すように言われました。」
そう言うとカイルはラー・カイラムから連れて来ていたペットロボット ハロを呼ぶ。
「ハロ!おいで!」
《カイル!ヨンダカ?》
床をポンポンと跳ねながらハロがカイルの元へとやって来る。ポンっとカイルの腕の中に収まるとその赤い目を点滅させる。
《カイル、キンチョウシテル、ドウシタ?》
カイルの脈拍や体温を感知したハロがカイルに尋ねる。
「ちょっとね。でも大丈夫だよ。それよりハロ、お母さんに言われてたアレを出して。」
《ワカッタ》
作品名:Lovin' you after CCA 2 作家名:koyuho