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【APH】望む落陽 まだ見ぬ夜明け

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 今の世界に、深い常世の眠りを。
 どうか、まだ見ぬ次の世界に美しい夜明けを。



 ゆっくりと死神の足音が日増しに近くなるのを耳に、神聖ローマはそれでも日々の仕事に忙殺していた。

 深い息を吐き、小さな身体には不釣合いな大きなテーブルの上重ねられた書類の束を見て、眉間に皺を寄せる。明るかった部屋は黄昏が迫り、暗い。真っ赤に差し込む日の光に神聖ローマは目を眇める。

 青い空を見て、思い出すのは大好きなあの子。
 赤い斜陽の夕暮れを、そして夜の帳を切り裂き、その先に昇る朝日を見て思い出すのは、皇帝に付き従い、イタリアの青く晴れた空の下で出会った子ども。

 日に透けるとキラキラと水面に反射する光のような薄い金の髪に、見たこともない赤いコランダムの瞳。その瞳の色はアレキサンドライトのように色を変えた。

 マリアと出逢ったのはもう随分と昔のことだ。

 それでも、あの鮮烈な赤い瞳は印象的で、長く積もった記憶の中、一際、鮮やかな色をしていた。








「お前、国だろ?国って、どうやったらなれるんだ?」

思えば、最初からその子どもは突き抜けていた。

「は?」

小さな形でそれでも一丁前に騎士の正装をした子どもは皇帝の前、整列するドイツ騎士団の騎士達の間を縫って、突然、目の前に現れたアルビノの子ども。それに神聖ローマは目を見開き固まった。

「この、馬鹿者が!!礼儀を弁えぬか!!」

次の瞬間、子どもの頭には騎士団総長の鉄拳が落ち、それに子どもが悲鳴を上げた。
「いってー!!何、すんだよ!!」
「何するんだではない。この大馬鹿者が!皇帝陛下の御前でお前はいきなり、何を言い出すのだ!」
「何って、国になる方法を聞いただけじゃんかよー」
口を尖らせ、煩く抗議してくる子どもをあしらい、無理矢理黙らせると、総長は皇帝と神聖ローマに頭を垂れた。
「…御前、失礼致しました。何分、躾のいかぬ子どもで。どうか、ご無礼お許しください」
「いや。なかなかの傑物じゃないか。名前はあるのかね?」