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17 難題 ~ロストフスキーの憂鬱Ⅲ

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…困った…

ユスーポフ家の図書室で、ロストフスキーはため息を漏らした。

敬愛する上官、レオニード・ユスーポフ侯爵から先程命じられた任務。

「…は?」

「だから…、あの女のところに匿名で援助物資を届けるのだ」
―何度も言わせるな とばかりに、苛立たし気な口調でレオニードが繰り返した。

「…」

この突飛な命令にロストフスキーはその理由を問いかけるかのように、無言でその薄い色の瞳をレオニードに向けた。

「…あの女は、アレクセイ・ミハイロフに繋がる大切な切り札だ!その切り札にくたばられては、元も子もないだろう!」

「…それも、そうですね」

「分かればよい」

いささか取ってつけたかのような理由であるけれども、上官がそういうのであれば、ロストフキーに断る権限はなかった。

「では…何を持って行けば…」

「そのぐらい自分で考えろ!」

「は!…では失礼します!」

「おっての報告を待つ。―行け」

レオニードの書斎を出たロストフスキーは、執事に断り屋敷の図書室を利用させてもらう。

「ええ~っと…何か参考になる書物はないものか…」

ぶつぶつと独り言ちながら書架を見て回る。

「あ、このへんか…」
―確か、あの娘は乳飲み子を抱えていたからな…。そこを手掛かりに考えて行こう。。。

『初めての子育て』『育児と栄養』『離乳食』…。

おそらく亡くなったレオニードの母君の子育ての折に参考にされていたものだろう。育児関係の本が何冊か書架に残っていた。

それらの本を取り出し、長椅子にかけページを繰る。

「なになに…母乳を出すには水分を多くとるといい…。オススメはハーブティー…。フェンネル、ジンジャー、ネトル…と。」
「それから…離乳食はと…。まずは粥から…」

必要事項を手帳に写し取っていく。

「よし。…これでなんとかなるだろう」

ロストフスキーは、本を書架に戻し、図書室を出た。

―しかし。侯のあの少女への―、入れ込みようときたら…。一体何故?…ああ、侯…。

悶々とする気持ちを振り切るように早足でユスーポフ邸を出ると、ロストフスキーは市場へと向かった。