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22 暴動

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1907年秋―

仕事を終えて事務所を出たユリウスがミーチャを迎えに日の暮れかけた市街を足早に駆けていく。
この年の夏の終わり―、ちょうどミーチャが2歳の誕生日を迎えたのを機に、ユリウスはミーチャを同志の妻に日中預けるようになった。
朝同志の家に寄りミーチャを預け、仕事が終わると再び同志の家に寄ってミーチャを引き取り帰宅する。朝ミーチャを預ける時の寂しそうな顔は後ろ髪を引かれる思いがあるが、子供を預ける事によって自分も仕事に集中出来、ミーチャも又日中ベテラン主婦の同志の妻に行き届いた面倒を見てもらいながら伸び伸びと過ごすことが出来、結果的には双方にとっても良かったように思えた。

街は―、いつもと違いどこか騒然としていた。
どこからともなくシュプレヒコールの声が起こり、それは忽ち制御不能の大きなうねりとなって行く。
やがて守備隊が出動し、この騒ぎを収束させるために空に向けて発砲した。
その銃声に煽られるかのように、ますます人々のうねりは収拾がつかなくなり、市街はあっという間にカオス状態になった。

そのうちユリウスの傍らにいた一人の男が「兵隊のやつらの銃を奪え」を大声で挑発した。

その声に向かって守備隊の兵士が発砲する。

そして―

その銃弾はユリウスの右肩を貫いた。

作品名:22 暴動 作家名:orangelatte