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程なくしてナースを伴ったユスーポフ家のお抱えの医師と、妹のヴェーラが離れにやって来た。

医師がユリウスの怪我を診る。

「どうだ？」

「怪我は―、決して軽症とは言えませんが、応急処置が適切だったので、出血も止まっておりますし、命に別状はございません」

「右腕の―弾傷はどうだ？」

「こちらも、貫通しておりますし、幸い骨は逸れております。神経は―彼女の意識が戻った後に診断してみないと何とも言えませんが、恐らく大丈夫でしょう。ただ、だいぶ血を失っているようなので、予後は栄養を十分に摂って、回復に努めて下さい」

「他の怪我は？」

「銃創の他は―肋骨ですな。こちらは折れてはおりませんが、恐らくヒビがはいっております。骨がつくまで暫く固定していてください。あとは―外傷としては擦過傷と打撲。…頭も打っているかもしれませんが、これはまた意識が戻ったら診察させてください」

「うむ…。相分かった。意識が戻ったら、また呼びにやるので、頼む」

「承知いたしてございます」
―では今日の所は一旦これでお暇致します。この方の意識が戻りましたらいつでもお呼び下さいませ。ナースを残していきます。

そういうと医師は恭しく頭を下げて、離れを後にした。