23 暴動2
ナースがメイドに手伝わせて、ユリウスの衣服を着替えさせ血と泥と埃で汚れた身体を清拭する。
閉じた天蓋の外でヴェーラが兄に尋ねる。
「この女性は―、一体どなたですの?ひどい怪我だわ!」
「先ほどの市街戦に巻き込まれて―街中に倒れていたので、保護した。ヴェーラ、悪いがあれの世話をよろしく頼む」
「それは…構いませんが。きっとあの方の家族も心配しているわ。…病院へ搬送した方がよろしいのではないのかしら?」
「…あれに、今家族らしきものは、おらぬ。あれは―、アレクセイ・ミハイロフの女だ」
「アレクセイ―!?…あの…」
「そうだ。…あのアレクセイ・ミハイロフだ」
「ちょ…、お兄様?!」
「いいか。―頼んだぞ。ヴェーラ。私は任務に戻る」
それ以上は妹に口をさしはさませずに、レオニードはヴェーラにユリウスの事を一任すると、足早に離れを去って行った。
作品名:23 暴動2 作家名:orangelatte