32 Dinner1~癒しの乙女
―――寵姫・・・違う!ボクはそんなんじゃ・・・無駄か。この状況ではだれが見たってそうだよね。でも・・・自分が誰かもわからないのだから、大人しくここで待つしかないんだ。記憶が戻るまで・・・それとも誰かが迎えに来てくれるまで?
それは・・・いつ?
こんなことを考え始めると、不安という恐怖の暗闇に閉じ込められそうになるボクを救い出してくれるのがレオニードだ。
この離れの廊下の見えない暗がりの向こうにポッと灯る灯りのように、今のボクを導き包んでくれる。もし記憶が戻らなくても、このままこの灯りの先に待つ人の傍にいられるのならボクは・・・。
女中のあからさまな嫌味に傷ついたユリアは、ダイニングルームまでの暗い廊下を鬱々とした気分で進む。
ここの使用人たちにとって、自分は「ご主人様から言いつけられて仕方なく世話をしている得体のしれない客」だということは彼女にもわかっていた。
彼女がケガで動けない頃はヴェーラが付ききりで直接使用人の世話になるようなことはあまりなかったが、自由に動き回れるようになった今は食事やお茶、たまのお風呂などの時は必ず女中が付き、何かあればどこからともなく現れ対応する。
ユリアは自分が見張られているということに気づくのにそう時間はかからなかったが、別段腹も立たなかった。自分を心から大切にしてくれるレオニードを信じていたからだ。
それは・・・いつ?
こんなことを考え始めると、不安という恐怖の暗闇に閉じ込められそうになるボクを救い出してくれるのがレオニードだ。
この離れの廊下の見えない暗がりの向こうにポッと灯る灯りのように、今のボクを導き包んでくれる。もし記憶が戻らなくても、このままこの灯りの先に待つ人の傍にいられるのならボクは・・・。
女中のあからさまな嫌味に傷ついたユリアは、ダイニングルームまでの暗い廊下を鬱々とした気分で進む。
ここの使用人たちにとって、自分は「ご主人様から言いつけられて仕方なく世話をしている得体のしれない客」だということは彼女にもわかっていた。
彼女がケガで動けない頃はヴェーラが付ききりで直接使用人の世話になるようなことはあまりなかったが、自由に動き回れるようになった今は食事やお茶、たまのお風呂などの時は必ず女中が付き、何かあればどこからともなく現れ対応する。
ユリアは自分が見張られているということに気づくのにそう時間はかからなかったが、別段腹も立たなかった。自分を心から大切にしてくれるレオニードを信じていたからだ。
作品名:32 Dinner1~癒しの乙女 作家名:orangelatte