32 Dinner1~癒しの乙女
「もうここまででよい。風邪をひくぞ」
母屋へ帰るレオニードを、ユリアは玄関先まで見送りに出る。
「おやすみなさい」
額にキスを受けたユリアが、レオニードの背中を見送り扉を閉めようとしたとき・・・。
「イゾルデ!」
突然低く通る声に呼び止められ、彼女は何事かと扉の外に一歩出た。
「そのドレス・・・よく、似合っている。おやすみ・・・」
「レオニード・・・」
―――やっぱり・・・あなたの優しさは、闇に彷徨うボクの心に明かりを灯してくれているね。
今夜はよく眠れそうだよ・・・。
普段は鬱陶しい夜の闇が、今夜は彼女を優しく包むように纏わりつく。
その心地よさに身をゆだね、満ち足りた気分で眠りにつくユリアなのだった。
作品名:32 Dinner1~癒しの乙女 作家名:orangelatte