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40 秘密

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「よう」

ユリウスがユスーポフ邸を出て、アパートに戻って来たその夜ー、ミハイル・カルナコフが訪ねてきた。

「ミハイル!― 入って」

ユリウスはミハイルを部屋に招き入れた。

「アパートの窓に灯りが点いてたからさ…」

「ずっと―、心配してくれていたんだね。ありがとう…。そればかりか、あんな危険な真似まで冒してくれて…」

「あれ…やっぱあんただったんだな…」

ミハイルの言葉にユリウスが頷く。

「ごめんなさい…」

「いや。もしかしたらあんたあの時…」

「…怪我の影響で…記憶を失ってた。自分の名前も、どこに住んでいたか、―アレクセイのこともミーチャのことも、分からなくなってた」

「そうか…。あの時のあんたに―、実は何となく違和感は感じてたんだ。…そうか、俺の推理通りだったって事か…。なあ、あの日からの事を…聞いてもいいか?」

もう一度ユリウスが頷く。
長くなりそうな気がしたので、ミハイルと自分の前に置かれたお茶を淹れ直して、姿勢を正しミハイルに向き直った。

作品名:40 秘密 作家名:orangelatte