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40 秘密

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「私はあの日の夕方―、ミーチャを迎えに行く途中で、あの大きな暴動に巻き込まれたんだ。流れ弾に右腕を撃ち抜かれて、倒れた拍子に逃げ惑う人たちに踏まれて、その時にきっと頭を打ったのだと思う。暴動の鎮圧に市街に出ていた、レオニード・ユスーポフ侯が倒れている私を発見して…屋敷で保護してくれたの」

「怪我は結構酷くて、右腕の弾傷の他に、肋骨のヒビ、全身の打撲に…頭を打った後遺症で、記憶を失っていた。一ヶ月間はそれこそベッドから立ち上がるのもやっとな状態で、ただ生きる事に…体を回復させる事に精一杯だった。記憶を失った事はショックだったけど…お医者様も事故のショックの一時的なものだから、じきに思い出すと仰っていたから…。でも一ヶ月経って、身体がだいぶ回復してきたのに、記憶はなかなか戻らなくて…相変わらず自分が誰だか分からない状態に…不安が募って来た。一ヶ月間前の自分はどんな人間で、何をしていたのだろう?待っている人たちはいたんだろうか?…って。考えても考えても答えが出ないその自問に焦り落ち込む私に…レオニードは…とても優しく接してくれた。多忙な中可能な限り側にいてくれて…不安で崩れそうな私を支えてくれていた。…敵だと思っていた…血も涙もない人間だと思っていた彼は…熱い血の通った、優しい人だった」

そこまで話して俯いたユリウスを見て、ミハイルは改めて宮廷内で囁かれていた「ユスーポフ侯の寵姫」の噂を思い出した。

― ユスーポフ侯は…きっとこいつに強く惹かれたんだな。そして…こいつも…?

作品名:40 秘密 作家名:orangelatte