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40 秘密

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「なあ、あんたがユスーポフ邸に保護されていた頃…宮廷に噂が流れたんだ。《ユスーポフ侯が離れに寵姫を囲い始めた》ってね…」

「違っ…!ミハイル、信じて!断じてアレクセイに顔向けできないような事は…誓ってしていない‼︎レオニードの名誉にかけても…そんな事は断じてなかった!」

ユリウスの碧の瞳がうっすらと涙ぐんでいる。

― 奴の名誉にかけても…か。

「ユリア、今日聞いたことは…お前がユスーポフ家に保護されていた事は、この俺が生涯この胸にしまって…、墓場まで持って行ってやる。だからお前もこの二ヶ月の間どこにいたかは一切誰にも言うな!分かったな?いいか?誰にもだ。お前は重傷を負ってとある屋敷に保護されていた…それだけだ。相手が素性を隠していたのでそこが何家だかは分からなかったで通せ。お前は若い上に美しい。だから好きモノの貴族の野郎が大方怪我の癒えたお前をそのまま寵姫として囲ってしまおうという目論見だったんだろうと周りもそれで納得するだろう」

「でも…」

「大丈夫だ!お前が重傷を負って記憶も失なっていたのは事実なんだ。暫くお前はボリシェビキ側からも行動を逐一見張られるだろうが、身にやましいことがなければ堂々としていろ。ただ単独行動はなるべく避けるんだ。なぁに、ボリシェビキだって万年人手不足なんだ。二三ヶ月もすりゃあ、監視も解けるだろう。いいな?俺の言うこと、分かったな?」

ミハイルの忠告にユリウスが大きく頷いた。

「よし!じゃあ明日からはまた全てが元通りだ。お前はあの事務所で働きながらミーチャを育てて、ここであいつの帰りを待つ。お前は何も変わらないし、周りだってそうだ。わかるな?」

それにもユリウスは大きく頷いた。

「それから…この二ヶ月の出来事は…、いつか帰って来るあいつ―、アレクセイにも絶対言うな。…ああ!分かってるさ。お前と奴にやましい事などなかったって事は。だけどな、この事を知ったら、アレクセイは多分一生苦しむだろう。例え何もなくてもだ。オトコってのはそんなもんだ。特に愛しているオンナに対してはな。お前もアレクセイを苦しめたくないだろう?ならば奴のために、この事は一生胸にしまっておけ。何もかもオープンにする事だけがいいわけじゃないんだ」

「…分かったよ。ミハイル。一生…あの二ヶ月の事は私の胸にしまっておくから…あなたもよろしくね」

「任せろ」

「ねえ…ミハイル」

「何だ?」

「ミハイルには、好きな人はいないの?」

「…いるよ」

こんな直球の質問、はぐらかされるか、もしくは鼻で笑われるかと思ったのに、ミハイルはユリウスのその質問に真顔で答えた。

「へえ…。どんな人?髪の色は?」

「ブロンドだ」

「ふうん。私と同じか」

「ぬかせ!お前みたいなガキと違ってスッゲー…ふるいつきたくなるようないい女だだよ」

「ふん…。どうせ私は女らしくありませんよ〜だ。綺麗な人なんだ」

「ああ」

「どこで知り合ったの?」

「それは…ちょっと言えねえな。汚れ仕事を終えて…その現場から撤収する最中だった。とっさに身を隠した馬車が…あの女の家の馬車だったんだ」

「そう…」

「最初の出会いは…最悪だった。でもお互い忘れられなくて、気付いたら深みにどっぷりとハマってたよ…。はは」
ミハイルはそう言って乾いた笑いをもらした。

― 一緒にならないの?
とミハイルに聞こうとしたユリウスだったが、その乾いた笑いをもらしたミハイルの顔が…何故かむせび泣いているように見え、その言葉を飲み込んだ。

作品名:40 秘密 作家名:orangelatte