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48 帰還

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「ユリウス!」

「アレクセイ!」

―ただいま。…帰って来た。

アレクセイがユリウスの細い身体を強く強く抱きしめた。

―お帰りなさい。…ずっとずっと…待ってた。

アレクセイの腕の中でユリウスが呟いた。

6年の時を経て感じる妻の身体の温もり、香り、柔らかさ…。

それは6年の間一度たりとも忘れたことはなかった筈だけれども…、アレクセイの記憶していたものよりもずっとずっと暖かく、柔らかく、香しかった。


「アレクセイ…苦しいよ」

強く強く抱きしめたアレクセイの腕の中でユリウスが小さな悲鳴を上げる。

「うるさい。6年ぶりなんだ。そのぐらい我慢しろ!ばかたれ」

そう言いながらもアレクセイはユリウスを抱きしめる手を緩めると、その手を彼女の頬に持って行き―、彼女の唇を奪った。

熱い血潮の通った生きている人間の、熱い口づけだった。


― ムッター…。

二人の様子を傍らで見ていたミーチャが、ユリウスのドレスの裾を引っ張る。

「ミーチャ、ファーターだよ」
ユリウスが優しくミーチャの背中をアレクセイの方へ押しやった。

そんなミーチャを、アレクセイが高く高く抱き上げる。

「坊主!―大きくなったなぁ。今までよくムッターを支えてくれたな。…ありがとう」

そう言うとアレクセイは太陽のような明るい笑いを顔いっぱいに浮かべ、ミーチャを肩に担ぎあげた。

作品名:48 帰還 作家名:orangelatte