48 帰還
アレクセイの乗ったホームがプラットホームに入った。
ホームに立っている―、輝く金の髪がアレクセイの目を捉える。
―!!
列車がホームに停車する。
思わずアレクセイが窓にかぶりつく。
その金の髪の女性は、小さな子供の手を引いていた。その姿は不思議と全く顔かたちは似ていない筈の義姉の佇まいにどこか似ているようにも見え、また、かつて一度だけあった事のある彼女の母親にとても似ているような気がした。
アレクセイが焦がれ続けたその姿が、ホームに入って来た列車の窓から中を一つ一つ覗き込みながら近づいて来る。
アレクセイも近づいて来る彼女目指して列車の中から走り寄る。
やがて彼女がアレクセイに気付き走り寄り、涙で顔をくちゃくちゃにして窓を叩いた。
窓越しに見る彼女の口が「アレクセイ」と叫んでいた。
「ユリウス!」
窓越しの彼女の小さな手に自分の手を合わせる。
やがて列車のドアが開いた。
アレクセイは慌ただしく列車を降り、そのホームの親子連れに走り寄った。
作品名:48 帰還 作家名:orangelatte