50 小さな同志
「ムッター…ごめんなさい」
絶望した様な表情でミーチャがユリウスに謝る。
これで…何度目だろう。
アレクセイが戻って来て家族三人で暮らし始めたミハイロフ家。
ミーチャはすぐにアレクセイに懐き、親子三人での新生活はユリウスの懸念とは裏腹に思いの外スムーズにスタートしたように思えた。
しかし―、その頃から、今まで滅多に失敗しなかったミーチャの夜の粗相が始まったのだった。
「いいよ。ミーチャ。それ脱いで。ムッターに頂戴」
―今お湯を沸かすからね。お尻を拭いて着替えよう。…ほらぁ、泣かない!
ユリウスは涙を浮かべているミーチャの顔をエプロンで拭いてやると、汚した下着とシーツを抱えて、息子の小さな亜麻色の頭をクシャクシャと撫でた。
作品名:50 小さな同志 作家名:orangelatte