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51 ガリーナ

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4人で連れ立っていつもの食堂へ向かう。

「アレクセイ、これあげる」

「だ~め~だ!ちゃんと食え!!」

「こんなにいらない…。食べて」

相変わらず食の細いユリウスは、運ばれてきたランチの半分をアレクセイに押し付けようとして、二人が先ほどから押し問答をしている。

そんな二人を、ズボフスキーとガリーナが微笑まし気に見つめている。
二人の視線に気づいたユリウスが、頬を赤く染める。

「すごく美人で…隙のない人かと思ったら、なんか…可愛い」

「お恥ずかしい所を見せちゃいました…」

ガリーナに笑われてユリウスが面目なさげに肩を竦めて舌をペロっと出した。

「こいつはよ~。昔っから食が細くて偏食なんだよ!俺がシベリアから帰ってきて、再会したこいつがガリガリだったのに驚いたぜ!!」
そう言ってアレクセイが隣のユリウスの、離れ離れになった6年前よりややシャープになった頬の線を長い指でつついた。

「酷!!アレクセイ。あの頃はまだ10代だったからほっぺとかがちょっとふっくらしてただけで…今と変わらないもん!ガリガリなんかじゃありません!!」

ガリガリと言われたユリウスが頬を膨らます。

端正な顔立ちをしているのに、くるくるとよく変わる表情が愛らしい女性だ とガリーナは思った。

「ほらほら、二人ともやめろって。―夫婦喧嘩は犬も食わない…っていうけどな。続きは家でやれ」

ズボフスキーがやんわりと二人の仲裁に入る。

「ユリアも…、前にも言っただろ?栄養は―」

「はい、フョードル。栄養は大切だ ですよね。ファーターに言われちゃ仕方ないや。頑張って平らげます」
フョードルお小言に、素直に従ってユリウスは気を取り直しフォークとナイフを再び手に取ると、ゆっくりと食事を再開した。

「お前―。俺の言う事は聞かないくせに…ズボフスキーのいう事は素直に聞くんだな」

「…人徳じゃない?」

アレクセイの不満げな声に、皿の上の食事と格闘しながらユリウスがシレっと言い返す。

「おま…!!」

再び始まった二人の痴話ゲンカ(?)に、ガリーナが堪えきれず「プッ」と吹き出し、声を出して笑い始めた。

「フフフ…。二人とも何だか…、夫婦というよりも…、仲のいい兄弟みたい」

「兄弟…か。まあ、こいつは元々可愛い後輩だったからな。今でもそういうところは…あるかもしんないなぁ」

「そうなの?」

「ああ。亡命先のドイツの音楽学校でな。こいつはピアノ、俺はヴァイオリン」

「いつか…二人の演奏を聴いてみたいわ」

「ああ。俺たちが楽器を手に音楽を奏でられる…そんな日が来たらな。イヤ…絶対に近い将来実現するぜ。まぁ、それまで子でも作ってゆっくり待ってろや。ガリーナ。そん時はお前の家族のために俺たち夫婦がいくらでも弾いてやるから」

そう言ってアレクセイは二人の新婚夫婦にニカっと笑顔を浮かべた。

「あ!ヤベー!!もうこんな時間だ!ズボフスキー、午後イチの会議に遅れるぞ!―じゃあな、ガリーナ。気をつけて帰れよ。俺たちは行くから。あ!ユリア、お前はそれちゃんと最後まで食え!残すんじゃねーぞ」

懐中時計で時間を確認すると、ユリウスに釘を刺して慌ただしく席を立ち、アレクセイとズボフスキーは会計を済ませて食堂を出て行った。

後にガリーナとユリウスが残される。

「ガリーナ、今度のお休み、うちに遊びに来て。うちの息子―、ミーチャにもあなたを紹介したいから。…それにね、私、アレクセイも戻って来たし、今月であそこの事務所のフルタイム勤務、やめて家庭に入るの。だから、これからは基本家にずっといるから、あなたが遊びに来てくれると、嬉しいな」

ユリウスの申し出にガリーナが頷く。

「喜んで。次のフョードルの休みに、二人でお邪魔するわ。うちにもぜひ遊びに来て」
作品名:51 ガリーナ 作家名:orangelatte