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永遠にともに〈グリプス編〉3

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『いくら機体の性能が良くても12対2の戦闘を5分で終わらせるなんて普通できませんから!アムロ中尉、ちょっとズレてますよ』
すると、そこにエマ中尉がやって来てアムロに話しかける。
「すみません!メカニックの方ですよね?MK–Ⅱ 003号機のサーベルの出力なんですけど少し抑えめにしてもらえますか?それと…」
と、アムロをメカニックと勘違いしたエマが整備の注文をする。アストナージがアムロはメカニックでは無いと言おうとするのをアムロは手で制し、内容をメモっていく。
「了解しました。それじゃ、これで調整します。」
エマは「よろしくお願いします。」と言うとドックを後にした。
「アムロ中尉。あなたはパイロットでしょうが。何、普通に請負ってるんですか。」
アストナージが呆れながら言うのに
「ははは」と笑って誤魔化す。
「どうせやるつもりだったし。どっちかって言うとオレはメカニックのが性に合ってると思うんだよね。」
と言ってMK–Ⅱのコックピットに消えていくアムロをアストナージが溜め息まじりに見つめて呟く。
「確かにメカニックの腕もピカイチだからなぁ。ウチの若いのより全然使えるし。」

MK–Ⅱの整備を終え、アムロが私室に戻ると
シャアがベッドに座って待っていた。
「あれ?どうしたんですか?」
ロックしてあった部屋にシャアがいる事には特に気にも留めず、目の前の美丈夫に語りかける。
「またメカニックの手伝いをしていたのか?」
アムロはメカニック用の繋ぎを脱ぎながらシャワー室に向かう。
「ええ、零式の整備のついでにエマ中尉のMK–Ⅱの整備をしてました。」
シャワー室から水音が響く。
ざっとシャワーを浴びると腰にタオルを巻いて頭をガシガシ拭きながらシャワー室からアムロが出て来る。そのアムロにシャアは冷蔵庫からドリンクのチューブを取り出し手渡す。
「ありがとうございます」
チューブのストローを咥えながらその火照った体を目の前に晒し、服を着るアムロを見つめてシャアは少し溜め息を吐く。
「何ですか?その溜め息」
「いや…、もう少し私を意識してくれないものかと思ってな。」
シャアのその言葉にアムロの顔が赤くなる。
「なっ!男同士で何言ってるんですか!そんな事言われたらなんか恥ずかしいでしょう!!」
「恥ずかしがってくれると嬉しいのだがな」
シャアは立ち上がるとそっとアムロの首筋にキスをする。
そして、着たばかりの服を脱がせると、そのままベッドへと押し倒した。
まだ湿っていつもよりクルンとしているくせ毛を指で梳き、額を露わにするとそこにそっとキスを落とす。目蓋、頬とキスをしていき、最後に薄っすら開いた唇を覆う様にキスをする。
唇を離すとアムロの瞳がゆっくり開く。
「もうっ。この為に部屋に来たんですか?」
拗ねた様な口調だがその表情は少し嬉しそうで、シャアは思わず蕩ける様な笑みを浮かべる。
「ちょっ!その顔反則です!!」
アムロは顔を真っ赤にして両手で顔を覆い隠す。
「どの顔だ?」
「もうっ!」
「言ってくれなければ分からんのだが?」
アムロはシャアの頬を両手で掴む。
「この顔ですよ!!」
シャアは一瞬目を見開き驚いた顔をするが直ぐに微笑みを浮かべる。
「そうか…。本当は話があって来たのだがそれは後にしよう。今は君の要望に応えねばな。」
そう言うと、少し勃ち上がったアムロのものを手の平で包み込む。
ビクリと身体を震わせるアムロの耳元に唇を寄せそっと囁く。
「私が欲しいか?」
顔を真っ赤にして動揺するアムロに更に続ける。
「君の口から言って欲しい」
アムロはしばらく「う〜」っと唸ると顔を更に赤くして上目遣いにシャアを見上げ、手を伸ばすとその太く逞しい首に手を回す。
「貴方が…、欲しいです」
その愛くるしい仕草にシャアの心の箍が外れる音がした。
「アムロ!!」
そのままアムロをかき抱くと、本能のまま激しくその愛しい身体を貪った。

ベッドにうつ伏せでグッタリするアムロの背中にそっとキスをする。
「すまない…、理性が飛んでしまった。」
「本当に…もう少し手加減して下さい…」
半泣きのアムロの髪をゆっくりと梳きながら「すまない」ともう一度謝る。
「もういいですよ。そういえば、話って何だったんですか?」
小さく溜め息をつき、アムロが顔だけをシャアに向けて問う。
「ああ、君の体調の件だ。」
アムロはビクリと身体を震わすとシーツをキュッと握りしめる。
「先日グラナダで精密検査をしただろう?その結果が出た。」
シャアは少し間を置くと真剣な表情でアムロを見つめる。
「君の頭の中に小さなチップが埋め込まれているのが見つかった。君は何か覚えているか?」
シャアはきつくシーツを握りしめるアムロの手を安心させる様に己の手の平で包み込む。
しかし、過去の実験の光景を思い出したアムロの身体がガタガタと震えだした。
その状態に慌てると震える身体をギュッと抱きしめる。
「すまない!いい!無理に思い出すな!」
シャアの腕に掴まり震える身体を抱え込む。
ガチガチと歯が噛み合う音が頭の中に響き、アムロの脳裏に実験の光景が蘇る。
検査台上で四肢を固定され、右腕に点滴の針が刺される。無数に付けられた線に繋がれ、怯える自分に研究者達が口々に何かを言っている。
『頭に脳波を計測するチップを埋め込みましょう。』
『それならば例の実験用にあの機能を追加しよう。』
『ああ、ムラサメ博士のあの研究ですか。そうですね。強化人間達より確実な結果が得られるでしょうからね。』
そして、点滴の針の近くのチューブから注射器で何かの薬品が点滴内の注入される。すると10秒も経たないうちに意識が遠のいた。
気が付いたら頭に包帯を巻かれた状態でベッドに寝かされていた。頭がズキズキと痛むが声を出す事が出来ず、ただ目から涙が溢れた。

シャアは、目を見開いたまま涙を流すアムロの身体をただ強く抱きしめる。
「…実験…、脳波の…計測と…」
アムロが朦朧とした表情のなかポツリ、ポツリと呟く。
「研究…ムラサメ…博士……、強化…人間よりも…確実…やだ!…やめて!痛い…痛い…」
アムロが不意にシャアの瞳を見つめる。
「シャア…助けて!」
その瞬間ガクリと身体から力が抜け、アムロは意識を失った。
「アムロ!?」
力無く腕の中で意識を失ったアムロの身体をかき抱く。
「ムラサメ博士…、強化人間よりも確実…?一体何の研究だ?」
愛する者に非道な実験を行った研究者達に怒りが込み上げる。
「もう一度アーネスト・フォースからも話を聞くか…。ナナイが早くデータを抜き取れると良いが…」
シャアはアムロの身体に残る情事の後を綺麗にすると、涙をそっと拭い掛布を肩までかけ己も隣に横になるとアムロを胸に抱き寄せて眠らせる。目覚めた時側に居てやりたいとそう思ったのだ。
「アムロ…。何があっても君を守ってみせる。」
柔らかなくせ毛を優しく梳くと、眠るアムロの額にそっとキスをした。


「んっ…。」
アムロが目を覚ますと目の前に綺麗な顔があった。
「わぁ!」
その声に目の前の綺麗な顔の眉間に皺が寄る。
「“わぁ”とは何だ。そんなに驚く事はないだろう?」
クスクス笑うとシャアはアムロの髪を撫ぜながら頬にキスをして起き上がる。