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同調率99%の少女(13) - 鎮守府Aの物語

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 鎮守府に着いた3人は早速本館に入り、那美恵は流留と幸を引き連れて執務室へと向かった。執務室のドアを叩き、断りを得て那美恵はドアを開けて入った。

「おはよ!提督。」
「おはよーございます、提督!」
「おはようございます。提督。」
「あぁ、おはよう三人とも。」
 挨拶も早々に那美恵は早速本題に入ろうと提督に話を切り出す。

「連絡受けたけど、訓練のお話だよね?」
「あぁそうだよ。昨日は光主さん来なかったから話せなくてさぁ。」
「別に先に二人に話してよかったんじゃないの?」
「いや……そういうわけにもいかないだろ。俺は一応君を監督役として頼ってるんだから。」
 頼ってる、はっきりとその言葉を聞いた那美恵はドクリと心臓が跳ねる思いがしたがそれを隠して受け答えをした。
「そっかぁ。あたし頼られちゃってますかぁ!そう言われたら仕方ないよね〜……あっ!」
 おどけて言葉を続けようとしたとき、ふと昨晩やりとりしたメッセージのことを思い出した。

「どうした?」
「昨日の!メール!!」
 突然憤怒した那美恵のことを理解できず呆ける提督。そんな提督に向かって那美恵はさらに詰め寄る。
「気持ちよかったってどーいうこと!? 昨日流留ちゃんとさっちゃんに何したのぉ!!?」
「へっ!? 昨日って……」
 一人で憤怒して一人で提督に思い切り詰め寄る那美恵を見てあっけにとられる流留と幸、そして詰め寄られている被害者の提督。この少女は何をこんなに怒っているんだとチンプンカンプンになっている。
「何を言って……あっ、昨日のマッサージのことか、もしかして?」
「……え?」
「え? いや、だからマッサージ。二人がさ、仕事お疲れ様って言ってマッサージしてくれたんだ。俺はいいって言ったんだけど川内がどうしてもっていうからさ。なぁ?」

 同意を求められた流留はウンと頷いて答える。
「はい。西脇さん、提督の仕事も会社の仕事も大変そうだなぁ〜って思って。んで昨日はやることなくて神通と暇してたんで、マッサージしてあげたんです。それが何か?」
 流留からなんの意図も感じられない説明を受けて那美恵は目を白黒させてポカーンとし、フリーズしてしまった。3〜4秒して解凍された那美恵は引きつった笑いをしてしどろもどろになりながら言葉を発する。
「あ、あぁ〜アハハ。そ、そっか。提督お仕事尽くめで大変だもんねぇ〜。な、流留ちゃんやさし〜な〜!五臓六腑に染みわたるでぇ〜アハハハ〜!」

 那美恵がなぜ慌てふためくのか理解できてない流留と提督。一方の幸は黙って見てはいたが、那美恵が何を勘違いをしたのかを察した。高校では完璧超人で皆から慕われてる生徒会長光主那美恵という先輩も、場所が変われば人の子なのだなと愉快に感じた。とはいえこの察した思いをこの場でしゃべるほど空気の読めない、また人を辱めるほどの度胸は持ちあわせてはいない。
 そんな幸だが、那美恵が勘違いしてまで秘める真の思いまでは気づかずにいた。


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「コホン!まぁ提督も?お疲れでしょうけど!やるべきことはみんな揃ってしっかりやりましょー!」
「え、あぁ。そうだ……ね。」
 なんとか気を取り直して話を戻す那美恵に、提督はまだあっけにとられつつも相槌を打って続くことにした。

 那美恵と流留、幸の3人は一旦艦娘の制服に着替えてくると言い執務室を出て行った。数分して再び執務室に現れた3人は、那珂、川内、神通に切り替わっていた。再開する頃には那珂も提督もすっかり気を落ち着かせており、すぐに本題を切り出した。

「じゃあ3人とも、ソファーに座ってくれ。」
「「「はい。」」」
 提督は執務席の机の引き出しから数枚の資料を取り出して自身も3人の向かいのソファーに座った。そして口を開いた。
「川内と神通の訓練についてだけど、那珂の時と同じようなカリキュラムで行う予定だ。3人とも川内型の姉妹艦ということで、訓練も同じで済む。だから今回は俺の代わりに那珂が監督役、つまり二人を見て進行を調整する役目を担って欲しい。ここまではOKかな?」
「はい。だいじょーぶだよ。」
 那珂は返事をし、川内と神通は黙って聞いている。

「それから、基本訓練の最中は手当が出ます。これは学生艦娘の二人も同様。」
「手当?つまりお給料もらえるの?」
と川内が真っ先に尋ねた。
「あぁ。学生艦娘制度内で採用された艦娘には、通常の艦娘や職業艦娘ではもらえる任務等の実働に伴う手当はすべて学校の部に一旦入り、学校側でやりくりされる。つまり実質的に学生艦娘には一時手当は直接行き渡らない。その代わりの授業免除や代休等の公的な支援が約束されるんだ。これは国の防衛にために働いたという観点でのお話。その前段階の艦娘として着任直後の基本訓練、これはあくまでも自分のために行う行為であり、これに関しては学生艦娘の運用は当てはまらない。あらゆるタイプの艦娘で、基本訓練の間は日給を与えられるんだ。その人の大事な時間を費やして国の防衛のために働けるようにするための絶対に必要な訓練をしてもらっているから、それに見合うだけの手当が出るということ……です。」

 提督の話を聞いて川内と神通は那珂の顔を見る。那珂は自分のことを暗に尋ねられていると察し、答えた。
「うん。あたしも基本訓練の時お金もらったよ。あたしは土日分を除いた1週間つまり5日と3日訓練した扱いになってたはずだから、合計6万4千円もらったかな。」
「ろ、6万!?」
「……訓練してお金もらえるなんて……。」
 川内と神通はそれぞれ違う驚き方をする。それを見て提督は補足した。

「艦の種類によって一日あたりの手当額も、その対象となる期間も違うんだよ。例えば駆逐艦白露型は3000円、重巡洋艦妙高型は12000円、後うちにはいないけど、戦艦金剛型は20000円という具合。重巡洋艦や戦艦になれば艤装の扱いは難しくなるから、その分の手当ということ。そして期間もダラダラやってひたすらもらえるわけじゃない。それは当たり前だな。軽巡洋艦の川内型と長良型という艦は最長3週間まで手当が出る。川内型と長良型の艤装は、最大でも3週間で艦娘、つまり艤装装着者としては十分慣れられるという想定なんだ。だからそれを越えてしまったら適正に見劣りとして手当は出なくなるペナルティ。ただ訓練中の怪我等のための保険は鎮守府全体でまとめて入ってるからそれは気にしないでくれていい。」

「ほぇ〜〜。なんか本格的に働くッて感じ。」
「…はい。」
 川内と神通は説明にあっけにとられる。

「訓練中はお給料出るということは四ツ原先生経由で君たちの高校にも話をつけてるから、ご家庭には自分たちで話しておいてくれ。一応変な出処のお金じゃないってことを君たち自身の口から……ね?」
「「はい。」」
 給与面の話のあと、川内と神通は提督から基本訓練のカリキュラムの資料を提示された。そこには次の項目が並んでいた。