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同調率99%の少女(13) - 鎮守府Aの物語

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 その後川内と神通は制服から私服に着替え始めた。
「なーんかさ、那珂さんあたしたちを帰すの急かしてなかった?」
「……気にしないでいいと思います。」
「ふ〜ん。ま、いいや。じゃあ早く着替えてお風呂行こ?」
「はい。」

 川内と神通は艦娘の制服のアウターウェア、インナーと脱いでいき、ロッカーから私服を出した。
「夏場に2枚も服着るもんじゃないね〜。この制服夏の活動には向かない気がする。そう思わない?」
「でも、川内型はこれを着ないと性能を発揮できないらしいですし。」
「そんなことわかってるけどさぁ。せめて夏服、冬服とか欲しいよねぇ〜。」
「……まぁ、それくらいは確かに思いますが。」

 川内は時々鋭い的確な指摘をする人なのだなと神通は思った。素直に感じたこと・欲したことを口に出すがゆえ、時々思考に鋭さが伴うのだろと分析した。神通はそんな彼女を羨ましく思った。色々感じたことを勝手に察し、自分が傷つかないように解釈を交えて飲み込んでしまいがちな神通。例え川内を真似したとしても、真似しきれずに終わるだろうと神通は想像し、一人で落ち込む。

 ふと顔を上げて川内を見ると、彼女は私服の上半身部分を着終えていた。薄い青地の長めのカットソーチュニックだ。
 神通は鎮守府に来る時にも見て思ったが、男勝りな雰囲気に似合わず服装は実に女性らしい。下は何も履いてないように見えて、ジーンズ生地のショートパンツだった。鎮守府に来る前に服装の話になり、おもむろにたくし上げてみせる彼女の仕草を見て神通は思わずドキッとした。てっきり下は普通に下着だと思い込んでいたため、見てるこっちが恥ずかしいと神通も那珂も焦った。
 正直に口に出したら川内本人には失礼な言い方だが、頭が悪いと公言していて男勝り、なのに私服へ気の使い方や細かいところは歳相応、女性らしい。そしてスタイルも良い。これだけアンバランスな味を醸し出す美少女なら、あの学校で妬む女子も多いわけだ。なるべく目立たないように地味でおとなしく、をモットーに生きてきた自分とは全然違う。
 神通はまたしても沈黙したまま他人観察・分析をしたのち思いを張り巡らせていた。

「ねぇ、神通さ。」
「は、はい!」
 考え込んでいた時に急に自身の艦娘名を呼ばれたため焦って川内の方を向いて返事をした。

「たまにっていうかしょっちゅう俯くけどさ、何かすっごいこと考えてたりする?」
「……!?」
「あぁ、気に触ったならゴメン。でもさ、気になっちゃうんだよねー。前髪たらしてるしメガネずーっとかけたままだし。あぁいや、メガネは仕方ないか。とにかくさ、何考えてるかわかんないから不安になっちゃうんだよね。」
 神通は、ズキッと心臓が痛むのを感じた。
「ご、ゴメン……なさい。」
「謝る必要ないって。あたしたちもう友達じゃん? それに艦娘としては姉妹だし同僚だし。今すぐどうってわけじゃないから、思ったことはなるべく話してよ。昨日も似たようなこと言った気もするけど、ほんっと、お願いね?」
「じゃ、じゃあ……今は、これだけ言わせてください。」

「うんうん!何!?」
 神通が語ると聞いて川内は身を乗り出して彼女に近づく。勢いがありすぎて鼻と鼻がくっつきそうなくらいであった。
「川内さんみたいに、お洋服のセンスとかスタイル良く大人っぽい女性に……なりたい、です。」

 4〜5秒後、時が動き出す。
「…………え? えぇーーー!!?」
 大人しい同僚の考えていたことがまさか自身が気にしていたことだったとはつゆ知らず、驚きを隠せず後ずさる川内。
「いや、あたしそんなことないし!大人の女性って……あたしそんなことないっての〜。」
 神通の言ったことを手をブンブン振りながら否定する川内。そんな彼女を見て神通はすかさずフォローをする。
「那珂さんも前に言ってましたけど、川内さんは……女性としてもっと自信を持って振る舞ってもよいかと思います。な、何をどうしたらそんなにスタイル良くて……素敵なお洋服選べるんですか?」
 先ほどまでのカラッとした元気は鳴りを潜めて神通の質問に困り笑いをしてたじろぐ川内。まだ下のショートパンツは履いてない、完全なワンピース着用状態の彼女はモジモジしながらゆっくりと口を開いた。

「いや……普通にご飯食べて適当に体動かしてるだけだよ。服は……あたしだってそりゃ可愛い服に興味あるし、雑誌見て適当に選んでるだけでぇ。普通の女の子っぽいことならむしろ那珂さんや副会長の中村さんにアドバイスもらったほうがいいって絶対。」
 照れまくる川内をよそに神通は胸に手を当てながら、さらに彼女の評価を口にする。
「川内さんは素敵な女の子だと思います。那珂さん……会長や副会長、和子ちゃんとは違うタイプ。また、私の憧れが増えました。」
 正直に神通が語ると川内は隠しもせず照れを表し続けながら言葉を返した。

「ん〜〜。えらく照れること言うなぁ。あたしなんか憧れにしたって……。」
「今どきの女の子のこと、教えてもらいたいくらいです。」
「いや、それ言うならむしろあたしの方こそ教えてもらいたいんだけどさ。」
 神通はほのかに笑顔を見せる。小さく、フフッと言葉が漏れたのを川内は聞いた。
「じゃあさこうしよ。那珂さんや五月雨さんたち、明石さんたちに女子とはこうあるべき!!ってのを一緒に教えてもらおうよ。きっと面白いよ? ……ぶっちゃけあたしとしては漫画やゲームのほうがいいんだけど、そんなこと言うと那珂さんに厳しく言われそうだから、こっちの方も身に付けないといけないし。」
「……はい。私も、そうしたいです。一緒に。」

「そうだね。頑張ろ、神通。」
 その言葉に神通は無言でコクリと頷いた。力強い頭の振りだった。

 その日もお互い語り合って結束をひそかに強める二人。川内のほうが先に着替えが終わっていたため、川内は神通が着替えを終えるのを待った。着替え終わった二人は艦娘の制服を包めてバッグに仕舞い、更衣室を出て鎮守府の本館を後にした。
 その後二人は初めて使う艦娘の優待特典をドキドキしながらスーパー銭湯で使い、無料で汗を流してサッパリした後帰路についたのだった。