59 1917年早春の試練
1917年早春―
まだ厳しい寒さと雪の残るロシア、サンクトペテルスブルグ―。
第一次世界大戦が始まり早二年。ロシアもドイツと戦火を交えており、長引く戦争は人々の暮らしにも大きな影響を与えるようになっていた。
物不足は今に始まった事ではないものの、食料が配給制となり、この深刻な食糧不足は一家の台所を預かる主婦たちにとっては深刻な問題となっていた。
配給される食糧だけでは到底家族の胃を満たすことが出来ず、雪の残る市街を足を棒にして商店をいくつも回りやっとわずかな食糧を手に入れ、配給の足しにする…。そんな苦しいやりくりが続いていた。
勿論それはユリウスも例外ではなく、主婦同士の噂を頼りに、今日はあちら明日はあちら…と何時間もかけてなけなしの食べ物をどうにか手に入れるのだった。
そして―。
その日もユリウスは午後から商店へ買い出しに出ていた。小一時間ほど歩いてたどり着いたその商店でやっとなけなしのパンと少しのベーコンを手に入れたその帰り―。
まだ厳しい寒さと雪の残るロシア、サンクトペテルスブルグ―。
第一次世界大戦が始まり早二年。ロシアもドイツと戦火を交えており、長引く戦争は人々の暮らしにも大きな影響を与えるようになっていた。
物不足は今に始まった事ではないものの、食料が配給制となり、この深刻な食糧不足は一家の台所を預かる主婦たちにとっては深刻な問題となっていた。
配給される食糧だけでは到底家族の胃を満たすことが出来ず、雪の残る市街を足を棒にして商店をいくつも回りやっとわずかな食糧を手に入れ、配給の足しにする…。そんな苦しいやりくりが続いていた。
勿論それはユリウスも例外ではなく、主婦同士の噂を頼りに、今日はあちら明日はあちら…と何時間もかけてなけなしの食べ物をどうにか手に入れるのだった。
そして―。
その日もユリウスは午後から商店へ買い出しに出ていた。小一時間ほど歩いてたどり着いたその商店でやっとなけなしのパンと少しのベーコンを手に入れたその帰り―。
作品名:59 1917年早春の試練 作家名:orangelatte