61 ガリーナの弟
「ミーチャ…。ガリーナの事、ありがとうな」
後日、ミーチャはフョードル・ズボフスキーから改めて感謝の言葉を掛けられた。
「いえ…。却って悲しい思いをぶり返させてしまったみたいで…」
あの時の激しいガリーナの慟哭を思い出し、ミーチャは済まなそうにフョードルに詫びた。
「いいや。むしろ…あの方がよかったんだ。ああやってきちんと彼らの死を悼んで…君にも悼んでもらって、オレグとイリヤという…人間が生きて存在していたという事を認めてもらって…ガリーナはやっと彼らの死から救われたんだ。本当に君には感謝しているよ」
今、ズボフスキー家の暖炉の上には、その時にミーチャが描いた素描画が―、ガリーナにどこか似た面差しの小さな黒い髪の子供たちの似顔絵が、小瓶に活けられた道で摘んだ小さな花々と共に、額に入れて飾られていた。
作品名:61 ガリーナの弟 作家名:orangelatte