ひばにょ!
その言葉に曖昧に頷いて、以前とは違う意味で落ち着かない気持ちのまま、味のわからない食事を続ける。
もちろん、こんなのはただの悪あがきだ。
雲雀は、何があろうと、授業時間に食い込もうと、自分のしたいようにするのだから。
もっとも、次のコマは自分の受け持ちの授業はなく、雲雀もそれを承知しているだろう。
――――再び綱吉が職員室で食事を摂るようになったのには、大きな理由があった。
それは……。
「別に僕は綱吉が食べててもいいんだけど」
「よくないっ、よくないですからっ」
ちらりと流し目で見られて、綱吉はびくりと身を竦めた。
「なら、さっさと食べなよ」
……そう。
食事が済むと、食欲の満たされた雲雀が今度は綱吉を食べようと待ち構えているのである。
以前は順番が逆だったが、綱吉が勢いで「おなかが空いててそんな気になれません!」と言ってしまってからは、弁当のあとというのがセオリーになってしまっていた。
失敗だったな、と思う。
このあとは自分が食べられる番だとわかっていての食事など、美味いはずもない。
けれど、誰からも恐れられる(綱吉自身も恐れている)雲雀が、自分のことを考えて食事ものどを通らなかったこととか、ところかまわず綱吉を自分の所有物だと宣言したことなどを思うと、綱吉はどうしても本気で逃げようという気にはなれなかった。
そういう雲雀をかわいいと思ってしまう自分も確かにいて、そのことが恐怖以上に綱吉をこの場に縛り付けているのだと、綱吉自身もよくわかっているのだった……。