Lovin' you after CCA4
Lovin you after CCA4
シャア・アズナブルによる、第2次ネオ・ジオン紛争から1年。ネオ・ジオンは地球連邦政府と和平協定を結び、シャア・アズナブルの求める、スペースノイドの独立に向け動き出していた。
ネオ・ジオンはコロニー“スウィートウォーター” を拠点として、各コロニーと同盟を結び、スペースノイドの自治権獲得の為、各コロニー独自の法律を改正すると共に、コロニー間の物流及び技術交流を活発化し、スペースノイドを少しずつまとめ上げている。
先ほど、サイド7の首長との会談を終えたシャアを「監視」という名目でスウィート・ウォーターに送り届けた地球連邦軍 外郭新興部隊ロンド・ベル隊の旗艦、ラー・カイラムの艦長 ブライト・ノアは、仕事を終え、艦橋でのんびりとコーヒーを飲んでいた。
「シャア・アズナブルが本気になれば、スペースノイドの独立はこんなにも早く現実に近付くんだな。」
ブライトはボソリと呟く。
「そうですね。グリプス戦役時のクワトロ大尉は、エゥーゴでの立場やジオンとのしがらみやらで、なんて言うか迷走してたって感じでしたもんね。」
同じく、コーヒーを飲みながらオペレーターのトーレスが答える。
「それに、まぁ、こう言っちゃ何ですけど、例のアクシズ落としも地球連邦政府には効いてるんじゃないですか?ネオ・ジオンがその気になれば地球をどうにでも出来るって証明した様なもんですからね。」
ネオ・ジオン総帥、シャア・アズナブルは地球にしがみつき、地球を汚染し続けるアースノイドを宇宙に上げ、人の革新を促す為にアクシズを地球に落として人の住めない星にしようとした。
「まぁな。」
ブライトが複雑な表情で頷く。
アムロが命を張って止めなければ、本当に地球は人の住めない星になっていた。
「それに、グリプス戦役の時はアムロがいなかったからな。」
ブライトはコーヒーのチューブを両手で握り、溜め息をつく。
今、思えば、シャアが本当に求めていたのはエゥーゴの勝利やスペースノイドの独立ではなく、アムロだったのだろう。
だから、当時は本当に求めていたものが手に入らなくて、他の事はもうどうでも良くなっていたのかもしれない。
だからあの時、大破した百式を捨て、姿を消したのだろう。
そして、第2次ネオ・ジオン紛争も、実のところ、アムロともう一度会いたい一心で起こしたのではなかろうか…。
と、そこまで考え、ブライトは眉間を押さえる。
その為にネオ・ジオンを立ち上げ、あんな大それた事をやらかしたのか?いや、まさかそんな子供みたいな事…。
…あり得る…。あの男ならあり得る…。
ブライトは大きな溜め息を漏らす。
「どうかしたんですか?艦長?」
その様子にトーレスが心配気に声を掛ける。
「いや、何でもない。」
ブライトはコーヒーのチューブをダストボックスに捨てると艦長席を立って艦橋を出ようとした。
その時、レウルーラのトゥース艦長から緊急通信が入る。
「艦長!レウルーラから緊急通信です!」
「何!?繋げ!」
モニターにトゥース艦長の姿が映し出される。
《ブライト艦長!レウルーラのトゥースです!》
《どうかしましたか?トゥース艦長》
《実は今、アムロ大尉のνガンダムと総帥のサザビーがモビルスーツデッキから飛び出して行きまして、直ぐそこの空域で戦闘を始めたんです!!》
《はぁ!?》
ブライトが思わず間抜けな声を出す。
《どう言う事ですか?》
とりあえず事情を聞いてみる。
すると、モニターにシャアの副官、ナナイ大尉が割り込んできた。
《どうもアムロ大尉がνガンダムで家出をしようとしたのを大佐が止めに行った様なんです!》
ナナイの言葉にブライトががっくりと肩を落とす。
《何だそりゃ!!あのバカはガキの頃からちっとも成長しとらんな!!》
《と、申しますと過去にも?》
ナナイの問いにブライトは「はぁっ」と溜め息をつく。
《1年戦争の時も、一度ガンダムで家出…嫌、脱走?をしてます。まぁ、あの時はホワイトベースがジオンのランバ・ラルの奇襲にあったのに気付いて戻って来たんだが…》
《何故家出…、いえ脱走を?》
ナナイはとりあえず聞いてみる。
《ああ~、その、アムロが命令違反をしまして、それを諌める為にガンダムのパイロットからアムロを降ろそうとしたら、ガンダムごと家出…いや、脱走をされたんです。》
その答えに、ナナイや艦橋のクルー達があんぐりと口を開けて固まる。
《は?最高機密の機体ごと家出?》
ナナイの、呆れたと言わんばかりの声に、ブライトが焦って補足をする。
《嫌、あれは私も悪かったんです。散々アムロに戦わせておいて、いざアムロがその気になってきたら、生意気を言うなって言って叱りつけて…》
ブライトが一旦言葉を止める。
《今、思えば、直前に母親と決別して、ホワイトベースしか居場所のなくなったあいつが、自分の居場所を守ろうと必死に強がっていたのかもしれないんですが…。》
《…そうですか…》
クルー達もアムロを思い、言葉を無くす。
《ところで、今回の家出の原因は…》
と、ブライトが聞きかけたところでνガンダムと通信が繋がり、アムロの叫び声が艦橋に響いた。
《シャアの馬鹿ーー!!!》
どうやら、意図して回線が繋がった訳ではなく、スイッチを誤って入れてしまった為に繋がった様だ。
そして、アムロの言葉に艦橋が騒然となる。
《何で分かってくれないんだよ!バカシャア!》
宇宙広しといえども、ネオ・ジオンの総帥をバカ呼ばわり出来るのはアムロだけだろう。
「トーレス、2機をモニターに出せるか?」
ブライトが溜め息まじりに指示を出す。
「はい。今、出します!」
モニターに、サーベルで対峙するνガンダムとサザビーが映し出される。
「何やってるんだ。あいつら…」
騒ぎに気付いたジュドーが艦橋に上がって来た。
「艦長!一体何事?」
ブライトが顎でモニターを指す。
「隊長と総帥!?何で戦ってんの?」
「知らん!」
ブライトが半ば怒りながら答える。
《アムロ!落ち着け!とにかくきちんと話し合おう!》
シャアが必死にアムロを諌めている。
「何?隊長と総帥の夫婦喧嘩?」
ジュドーが呆れながらモニターを見つめる。
激しくサーベルで打ち合う2機にトーレスが呟く。
「あそこは夫婦喧嘩も派手ですねぇ。でも、いくら赤い彗星でもモビルスーツ戦で白い悪魔に勝てますか?」
何となく、みんな結末が読めるが、とりあえず見守る事にする。
《だって貴方ダメって言うんだろ!》
《私は君が心配なんだ!何故それが分からん!!》
《分かってるよ!でも、これだけは譲れない!!》
《アムロ!!》
《貴方がどう言おうと私は産むからな!今から月に行って向こうで産んでやる!!》
アムロのその言葉にブライトが顔を上げる。
「まさか!」
《ブライト艦長。お察しの通りです。》
ナナイが辛そうに答える。
どうやら喧嘩の原因はアムロの妊娠の様だ。
「なんで隊長の妊娠で喧嘩になるの?喜ばしい事だよね?」
ジュドーの素朴な疑問に、ブライトが顔に手をあて、艦長席にドカリと座り込む。
「そうだな。普通はめでたい事だ。しかし、アムロにとってはそうでもなくてな…」
「え…?」
シャア・アズナブルによる、第2次ネオ・ジオン紛争から1年。ネオ・ジオンは地球連邦政府と和平協定を結び、シャア・アズナブルの求める、スペースノイドの独立に向け動き出していた。
ネオ・ジオンはコロニー“スウィートウォーター” を拠点として、各コロニーと同盟を結び、スペースノイドの自治権獲得の為、各コロニー独自の法律を改正すると共に、コロニー間の物流及び技術交流を活発化し、スペースノイドを少しずつまとめ上げている。
先ほど、サイド7の首長との会談を終えたシャアを「監視」という名目でスウィート・ウォーターに送り届けた地球連邦軍 外郭新興部隊ロンド・ベル隊の旗艦、ラー・カイラムの艦長 ブライト・ノアは、仕事を終え、艦橋でのんびりとコーヒーを飲んでいた。
「シャア・アズナブルが本気になれば、スペースノイドの独立はこんなにも早く現実に近付くんだな。」
ブライトはボソリと呟く。
「そうですね。グリプス戦役時のクワトロ大尉は、エゥーゴでの立場やジオンとのしがらみやらで、なんて言うか迷走してたって感じでしたもんね。」
同じく、コーヒーを飲みながらオペレーターのトーレスが答える。
「それに、まぁ、こう言っちゃ何ですけど、例のアクシズ落としも地球連邦政府には効いてるんじゃないですか?ネオ・ジオンがその気になれば地球をどうにでも出来るって証明した様なもんですからね。」
ネオ・ジオン総帥、シャア・アズナブルは地球にしがみつき、地球を汚染し続けるアースノイドを宇宙に上げ、人の革新を促す為にアクシズを地球に落として人の住めない星にしようとした。
「まぁな。」
ブライトが複雑な表情で頷く。
アムロが命を張って止めなければ、本当に地球は人の住めない星になっていた。
「それに、グリプス戦役の時はアムロがいなかったからな。」
ブライトはコーヒーのチューブを両手で握り、溜め息をつく。
今、思えば、シャアが本当に求めていたのはエゥーゴの勝利やスペースノイドの独立ではなく、アムロだったのだろう。
だから、当時は本当に求めていたものが手に入らなくて、他の事はもうどうでも良くなっていたのかもしれない。
だからあの時、大破した百式を捨て、姿を消したのだろう。
そして、第2次ネオ・ジオン紛争も、実のところ、アムロともう一度会いたい一心で起こしたのではなかろうか…。
と、そこまで考え、ブライトは眉間を押さえる。
その為にネオ・ジオンを立ち上げ、あんな大それた事をやらかしたのか?いや、まさかそんな子供みたいな事…。
…あり得る…。あの男ならあり得る…。
ブライトは大きな溜め息を漏らす。
「どうかしたんですか?艦長?」
その様子にトーレスが心配気に声を掛ける。
「いや、何でもない。」
ブライトはコーヒーのチューブをダストボックスに捨てると艦長席を立って艦橋を出ようとした。
その時、レウルーラのトゥース艦長から緊急通信が入る。
「艦長!レウルーラから緊急通信です!」
「何!?繋げ!」
モニターにトゥース艦長の姿が映し出される。
《ブライト艦長!レウルーラのトゥースです!》
《どうかしましたか?トゥース艦長》
《実は今、アムロ大尉のνガンダムと総帥のサザビーがモビルスーツデッキから飛び出して行きまして、直ぐそこの空域で戦闘を始めたんです!!》
《はぁ!?》
ブライトが思わず間抜けな声を出す。
《どう言う事ですか?》
とりあえず事情を聞いてみる。
すると、モニターにシャアの副官、ナナイ大尉が割り込んできた。
《どうもアムロ大尉がνガンダムで家出をしようとしたのを大佐が止めに行った様なんです!》
ナナイの言葉にブライトががっくりと肩を落とす。
《何だそりゃ!!あのバカはガキの頃からちっとも成長しとらんな!!》
《と、申しますと過去にも?》
ナナイの問いにブライトは「はぁっ」と溜め息をつく。
《1年戦争の時も、一度ガンダムで家出…嫌、脱走?をしてます。まぁ、あの時はホワイトベースがジオンのランバ・ラルの奇襲にあったのに気付いて戻って来たんだが…》
《何故家出…、いえ脱走を?》
ナナイはとりあえず聞いてみる。
《ああ~、その、アムロが命令違反をしまして、それを諌める為にガンダムのパイロットからアムロを降ろそうとしたら、ガンダムごと家出…いや、脱走をされたんです。》
その答えに、ナナイや艦橋のクルー達があんぐりと口を開けて固まる。
《は?最高機密の機体ごと家出?》
ナナイの、呆れたと言わんばかりの声に、ブライトが焦って補足をする。
《嫌、あれは私も悪かったんです。散々アムロに戦わせておいて、いざアムロがその気になってきたら、生意気を言うなって言って叱りつけて…》
ブライトが一旦言葉を止める。
《今、思えば、直前に母親と決別して、ホワイトベースしか居場所のなくなったあいつが、自分の居場所を守ろうと必死に強がっていたのかもしれないんですが…。》
《…そうですか…》
クルー達もアムロを思い、言葉を無くす。
《ところで、今回の家出の原因は…》
と、ブライトが聞きかけたところでνガンダムと通信が繋がり、アムロの叫び声が艦橋に響いた。
《シャアの馬鹿ーー!!!》
どうやら、意図して回線が繋がった訳ではなく、スイッチを誤って入れてしまった為に繋がった様だ。
そして、アムロの言葉に艦橋が騒然となる。
《何で分かってくれないんだよ!バカシャア!》
宇宙広しといえども、ネオ・ジオンの総帥をバカ呼ばわり出来るのはアムロだけだろう。
「トーレス、2機をモニターに出せるか?」
ブライトが溜め息まじりに指示を出す。
「はい。今、出します!」
モニターに、サーベルで対峙するνガンダムとサザビーが映し出される。
「何やってるんだ。あいつら…」
騒ぎに気付いたジュドーが艦橋に上がって来た。
「艦長!一体何事?」
ブライトが顎でモニターを指す。
「隊長と総帥!?何で戦ってんの?」
「知らん!」
ブライトが半ば怒りながら答える。
《アムロ!落ち着け!とにかくきちんと話し合おう!》
シャアが必死にアムロを諌めている。
「何?隊長と総帥の夫婦喧嘩?」
ジュドーが呆れながらモニターを見つめる。
激しくサーベルで打ち合う2機にトーレスが呟く。
「あそこは夫婦喧嘩も派手ですねぇ。でも、いくら赤い彗星でもモビルスーツ戦で白い悪魔に勝てますか?」
何となく、みんな結末が読めるが、とりあえず見守る事にする。
《だって貴方ダメって言うんだろ!》
《私は君が心配なんだ!何故それが分からん!!》
《分かってるよ!でも、これだけは譲れない!!》
《アムロ!!》
《貴方がどう言おうと私は産むからな!今から月に行って向こうで産んでやる!!》
アムロのその言葉にブライトが顔を上げる。
「まさか!」
《ブライト艦長。お察しの通りです。》
ナナイが辛そうに答える。
どうやら喧嘩の原因はアムロの妊娠の様だ。
「なんで隊長の妊娠で喧嘩になるの?喜ばしい事だよね?」
ジュドーの素朴な疑問に、ブライトが顔に手をあて、艦長席にドカリと座り込む。
「そうだな。普通はめでたい事だ。しかし、アムロにとってはそうでもなくてな…」
「え…?」
作品名:Lovin' you after CCA4 作家名:koyuho