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Lovin' you after CCA4

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その赤ん坊をアルが抱き上げた瞬間、アムロは呻き声をあげると、心拍がどんどん弱まって行く。
「アムロ!!」
シャアはアムロの手を握り締め、必死に呼びかける。しかし、モニターの心拍の波は徐々に弱まっていき、とうとう波の無い一本の棒となる。
「アムロ!!!」
「兄さん!退いて!!」
セイラがアムロの胸の上に手を置き、心臓マッサージを始める。
しかし、アムロの心拍は戻らない。
「電気ショックを!!」
二度の電気ショックもアムロの心臓を動かす事は無かった。
「アムロ!!!」
尚も心臓マッサージを続けるセイラの瞳に涙が滲む。
「アムロ!!!頑張ってちょうだい!お願いよ!」
シャアはひたすらアムロの手を握り締める。
すると、分娩室に1人の青年医師が飛び込んできた。
青年はシャアの腕を握ると、かつての名を呼ぶ。
「クワトロ大尉!!手を!一緒にアムロさんを呼び戻しに行きます!!」
「カ…!!」
シャアはその青年の名を呼びかけようとした瞬間、意識を青年に引き込まれていった。

気がつくと、そこはかつて、ララァと一緒に過ごしたサイド6のペントハウスだった。
湖沿いに建つ建物には、湖が見えるテラスがあった。
そして、そこに、ララァと1年戦争当時の少年兵の姿をしたアムロが佇んでいた。
2人は湖に浮かぶ白鳥を見つめている。
「あの鳥の事、好きだったんですか?」
アムロの問いにララァが答える。
「美しいものが嫌いな人がいて?」
そして、ララァはアムロの元に歩み寄ると、そっとアムロを抱きしめる。
「アムロと遊べるのは嬉しいけれど、大佐が悲しむのを見るのは嫌だわ。」
アムロの肩越しにララァがシャアを見つめる。
「ララァ…」
「大佐。お久しぶりです。」
ニッコリと微笑むララァにシャアは言葉が出ない。
「ララァ…。ゴメン…。僕…、僕がララァを…」
シャアと見つめ合うララァを見て、アムロが涙ぐむ。
「アムロ…ごめんなさいね。私は大佐を死なせたく無かっただけだったのだけれど、あなたにとても辛い思いをさせてしまったわ。」
ララァは涙を流すアムロの頬を両手でそっと包む。
「ララァ…」
「ふふ、アムロは本当に綺麗な瞳をしているわね。あの時、アムロのエレカが泥にハマってしまったのを助けた時から、大佐はこの瞳に惹かれていたわ。」
「え?」
「大佐は私を愛して下さったけど、恋してはくれなかった。」
「ララァ?」
「ふふ、そうでしょう?大佐」
シャアは困ったような顔をしてララァを見つめる。
「ララァには敵わないな。」
ララァはニッコリと微笑むとアムロに視線を戻す。
「アムロ、私は貴女のことも大好きよ。貴女と大佐には幸せになって貰いたいの。」
気がつくと、アムロの姿は16歳の少年兵から今の姿に変わっていた。
「だから、アムロ。大佐の手を取ってお行きなさい。そこの彼が道案内をしてくれるわ」
ララァの視線の先を見ると、懐かしい少年の面影を持つ、青い髪の青年がシャアの隣に佇んでいた。
「カミーユ!?」
青年はニッコリ微笑むとアムロの元へ歩み寄る。
「アムロさん、お久しぶりです。」
「本当に…カミーユ…?、もう大丈夫なの?」
「ええ、この通り。元気ですよ。今はサイド1で医師をしています。まだ研修医ですけどね。」
アムロの問いにカミーユが笑って答える。
「そっか…。そっか…、良かった。」
カミーユは涙を浮かべて喜ぶアムロの手を取ると、シャアにそっと握らせる。
「さぁ、帰りましょう。みんな心配していますよ。」
「うん。」
アムロは頷くとララァを振り返る。
「ララァ…、ありがとう。ララァに会えて良かった。」
「ええ、私も会えて嬉しかったわ。大佐、アムロをよろしくお願いしますね。」
「ああ…。ララァ…。すまなかった…そして、ありがとう」
ニッコリ微笑むララァにアムロはまた涙が込み上げる。
「ララァ!!」
「さぁ、アムロ。お行きなさい。」
アムロ達を暖かい光が包み込む。
「ララァ!!」

《ピッピッピッ》
アムロの心拍を告げる電子音が再び室内に響き渡る。
「アムロ!!」
セイラは心臓マッサージをする手を止め、アムロの顔を覗き込む。
すると、アムロの瞼がピクリと動き、薄っすらと瞳が開かれる。
「あ…、セイ…ラさん…」
「アムロ!!」
セイラは思わず、アムロの身体を抱きしめる。
そして、アムロの横で突然意識を失ったシャアとカミーユも目を覚ました。
シャアは瞳を開くアムロを、言葉無く見つめる。
そんなシャアに、アムロが手を伸ばして微笑む。
「シャア…、迎えに来てくれてありがとう。」
シャアはその手を握り締め、自分の頬にすり寄せる。
「カミーユもありがとう。」
「いえ、アムロさんを無事に連れ戻すことができて良かったです。」
「アムロ、総帥。」
アルの呼ぶ声に視線を向けると、そこには生まれたばかりの赤ん坊を抱えたアルとセイラの姿があった。
「2人とも元気よ。」
そう言うと、アムロとシャアにそれぞれ赤ん坊を手渡す。
その壊れそうな小さな体を腕に抱き、シャアは胸が熱くなる。
「私と…アムロの子供…。」
気付くと、シャアの瞳から涙がホロリと零れ落ちる。
「シャア…、貴方にこの瞬間を感じて欲しかったんだ。」
アムロのその言葉にシャアが「ああ」と頷く。
「アムロ…凄いな…、こうして人は産まれて来るのだな…。」
アムロは、慈しむような瞳で赤ん坊を見つめるシャアに手を伸ばし、その顔を引き寄せる。
そして、そっとシャアの唇に己のそれを重ねた。
「愛してる…」
唇を離すと、シャアの耳元でそっと囁く。
シャアはそんなアムロを優しい瞳で見つめ返すと、2人はもう一度、触れるだけのキスをした。


「アムロ…ありがとう。愛しているよ。」


end




【おまけ】

アムロの後処置の為、分娩室を出されたシャアとカミーユが廊下のソファに並んで座る。
「カミーユ、さっきはありがとう。お前のお陰でアムロを失わずに済んだ。本当にありがとう。」
「クワトロ大尉…。」
ほうっと息を吐き、安堵するシャアにカミーユが微笑む。
「ララァさんって不思議な人ですね。綺麗で、優しくて…神秘的で…。」
「…そうだな…。」
「少し…フォウの事を思い出しました。」
「ああ…」
優しく頷くシャアに、カミーユが微笑む。
そして思う。
アムロとシャアの中に生きる少女。
きっと彼女は、ずっと2人を見守っていくのだろうと…。


end

2017.3.4
作品名:Lovin' you after CCA4 作家名:koyuho