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72 第二部 プロローグ 1919年冬 パリ

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「ねえ…ダーヴィトは、今も…レーゲンスブルグにいるの?」
ユリウスが一番気がかりにしていた事、同時に一番聞くことを恐れていたことを切り出した。ダーヴィトを見つめる彼女の宝石のような美しい碧の瞳が不安に揺れている。
そんな彼女の手を、アレクセイが今一度ギュッと握り直した。

「ああ。今は―レーゲンスブルグに住んでいる。パリへは、友人の先月結婚式があってそのまま滞在していたんだ」

「あの…、アーレンスマイヤ家は…母さんは、姉様たちの消息は…どうしているか分かる?あれから元気で暮らしていた?」

ユリウスの胸が大きく鼓動を打つ。

「君のお母さんは…残念ながら、僕にも消息が分からないんだ」

「え?」

「実はね、君が失踪して程なく…君のお母さんも又アーレンスマイヤ家を出奔してしまったんだ。…数少ない目撃情報では…、レーゲンスブルグ中央駅で、ヴィルクリヒ先生と一緒にいるのを見たという人がいたらしいが…その後の消息は…君のお母さんも、そしてヴィルクリヒ先生も分からず だ」

「そんな…」

ユリウスの大きな目に涙がこみ上げてくる。
そんなユリウスにアレクセイが

「泣くな、バカたれ!誰も「死んだ」とは言っちゃいないだろ」
と、胸ポケットのチーフを抜き取り彼女の頬にこぼれた涙を優しく拭ってやった。

ユリウスが落ち着くのを待ってダーヴィトは話をつづけた。

「ぼくがアーレンスマイヤ家の人に…というより、失踪した二人の行方を捜していたマリア・バルバラさんに、イザークが「ユリウスを探す手掛かりになれば」とユリウスと親しかった僕を引き合わせたのは、そんなときだった」