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第二部 2(75)近づいてゆく距離

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― 確かに、ヤーコプは今日の僕の事を、校長に報告していた。
普通に考えられるのは―、独身の女性を度々訪問するゼバスの学生に、外聞が悪いから控えて欲しい…という意向を告げに来た。という事か。

― いや。…ならば執事…とまではいかずともあんな下男がしかもこそこそと校舎の裏で告げるような事ではない筈だ。

ダーヴィトが真っ先に思い浮かんだ仮説を自ら否定する。

― じゃあ…なんだ?
ダーヴィトは再度自問する。が、答えは出ずますます煮詰まって、ダーヴィトは左手を淡い金髪に差し入れ、グシャグシャとかき回した。

…さっぱり分らんな。だけど…明らかに僕は、あのヤーコプという男にマークされていて…そしてそのヤーコプは、なぜか校長と繋がっている…。そして…呪われたアーレンスマイヤ家・・・・。

ダーヴィトは今日起こったその様々な事実の断片から、結局その時は何一つ真相を手繰り寄せることができず、心の中で白旗を挙げ、制服のまま寝ころんだベッドの上で寝返りを打った。