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かんなぎ皇女・褐色の破壊神 壱ノ巻

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柾木勝仁は夕食と入浴を済ませ自分の書斎で手紙を読んでいた。

 夕方、柾木邸のポストに入っていたのを夕刊取りに行った阿重霞が持って来た物だ。
 手紙には差出人の住所も郵便番号も書かれていなかったが、名前だけはしっかりと書かれてある。
『御厨真人』と言う男性で、何と勝仁の腹違いの弟。

 孫の柾木天地がまだ、幼い頃だっただろうか?
 御厨真人は天地と同じ年頃の男のコを連れて我が家を訪れた。
 そして数日の間、居候の身になった後に行き先も告げずに勝仁の元を去って行った。
 気まぐれな性格な上に悪く言えば放浪癖があったから、同じ場所で落ち着くと言う思いがなかったのだ。

 去って行って以降、真人からは何の連絡もなかった。
 それが思いも寄らず今日になって、真人本人から便りが来ようとは勝仁にとっては寝耳に水である。

 手紙の内容は今まで連絡しなかった事の謝罪と自分自身の近況、そして息子の近況と居場所の事が書かれてあった。
 真人自身が今、どこで暮らしているかは書かれていないが、仁については東北宮城の神薙町と言う街で暮らしていて、今は地元の神薙高校に通っていると詳しく書かれている。

 手紙には更に真人自身が最近、不安な事を抱いている事も書かれてある。
 日本で近々、大きな事件が起きる可能性がある事を自分は予知夢で知った。

 惨劇は柾木家や仁をも巻き込んだ、かなり規模の大きな事件的なもので注意して欲しい。

 仁には自分の事に関して今まで教えなかった過去の事を兄上から語って欲しい。

 出来れば仁に直接、会ってくれると嬉しい。

 …こう言った要望も書かれてあるのだ。
 手紙を呼んだ勝仁は同居人の鷲羽に相談し、更に息子の信幸の了承を得て仁を呼ぶ事を決めた。