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We can share the happiness.

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We can share the happiness.


「ギュネイ!総帥が白い悪魔を匿ってるって本当か!?」
ギュネイの胸ぐらを掴みながらネオ・ジオンのモビルスーツ隊 隊長のレズン・シュナイダー少尉がギュネイを問い詰める。
「レズン!離せ!」
「答えたら離してやるよ!」
「ふざけるな!!」
2人は基地内の廊下で言い争っていた。
「あいつはゲイリーとエディを殺ったんだぞ!そんな奴を匿うなんて許せるか!?」
ギュネイを掴むレズンの手が怒りで震えている。
「レズン…」
戦争をしている以上仲間の死は避けては通れない。しかし、割り切れないのも事実だ。
「そこ!!何を騒いでいる!!」
騒ぎを聞きつけたナナイがその場に現れた。
ナナイを見た瞬間、レズンはギュネイを突き飛ばして今度はナナイに詰め寄る。
「ナナイ大尉!あんたなら知ってんだろう?白い悪魔は何処だ!?」
アクシズショックと呼ばれた出来事から数ヶ月程が経った頃、アムロについては箝口令が敷かれていたが、何処かから漏れたのだろう、レズン少尉の耳に入ったのだ。
「レズン・シュナイダー少尉、モビルスーツ隊の隊長である貴女がこんな所で何を騒いでいる。立場と場所をわきまえなさい。」
「何!?」
尚も詰め寄るレズンにナナイは大きく溜め息を漏らすと、冷たい視線を浴びせながら自身の執務室に来るように告げる。
レズンは上官であるナナイの命令に渋々ながらも従うと、ギュネイと共にナナイの執務室に向かった。

「で?白い悪魔を総帥が匿ってるっていうのは本当なのか?」
執務室に入るなり先程の質問を繰り返すレズンにナナイが腕を組んで対峙する。
「何処からそんな事を?」
「ああ?!何処からだっていいだろう!」
「良くはない。これはトップシークレットだ。箝口令を破った者には相応の処分が必要だ。」
冷たく言い放つナナイにレズンが一瞬怯む。
「っつ!!」
「レズン少尉、答えなさい。」
ナナイの追及にレズンは重い口を開き、情報元を教える。
「分かりました。その者についてはこちらで対処します。貴女は関わらない様に。」
箝口令を破った者に当然非があるのだが、自身が密告した様な形になった事に少し罪悪感を感じる。
しかし、噂が事実ならばどうしても確認したい。
「それで?箝口令を敷いてたって事は事実なんだろう?白い悪魔は何処だ?」
詰め寄るレズンにナナイがきつい視線を向ける。
その2人をギュネイはただハラハラと守るしかなかった。
「居場所を聞いてどうする?」
「はぁ!?ぶっ殺すに決まってんだろう!仲間を殺されたんだぞ!」
レズンのその言い様にナナイは大きく溜め息をつく。
「ならば貴女は連邦の兵士を殺していないとでも?そんな事は無いでしょう?戦争だったのだから。兵士が敵を倒すのは当然の事。それを戦争が終わった今、貴女はその兵士を責めると?」
「ただの兵士じゃないだろう?!アムロ・レイだぞ!?あいつはニュータイプと言う名の殺戮兵器だ!倒した兵士の数が違う!!」
「数の問題ではないでしょう?」
呆れながらナナイが答える。
「あんたは戦場に出てないからそんな事が言えるんだ!あいつは躊躇なく沢山の仲間を殺したんだぞ!」
尚も言い募るレズンにナナイは冷たく言い放つ。
「アムロ・レイがニュータイプだから許せないと?」
ナナイの言葉にギュネイが顔を上げる。
「ああ!そうだよ!あいつらは殺人マシーンだ!そこにいる強化人間もな!!」
とギュネイを指差す。
オールドタイプであるレズンはかなり腕の立つパイロットであったが、自身の操縦テクニックや経験をニュータイプ能力と言う未知の力で凌駕していくニュータイプや強化人間に対して対抗意識を持っていた。
「何だと!?俺は殺人マシーンなんかじゃない!人類の革新だ!」
レズンの言葉にギュネイが怒りを露わにする。
「はっ!何が革新だ!結局戦場でしかその力を活かせないじゃないか!」
「何ぃ!?」
「やめなさい!!」
言い争いを始める2人をナナイが一喝する。
しかし、一向に怒りが収まらないレズンにこのままでは埒があかないとナナイはしばらく思案した後、溜め息まじりにその対応を決める。
「分りました。そんなに言うのならアムロ・レイに会わせましょう。」
「ナナイ大尉!?」
ナナイの言葉にギュネイが驚き、声を上げる。
「このままではレズン少尉の気も済まないし、放っておいて馬鹿な事をしでかされても困る。ならば自分の目で確かめるのが一番でしょう?」
「しかし!大佐がそんな事許さないんじゃ!?」
「そうかしら?多分大佐も同じ決断をすると思うけど?」
「えっ?」
困惑するギュネイを他所にナナイがレズンに向き直る。
「それじゃ、早速行きましょうか?」
突然の展開に当のレズンも戸惑いを隠せない。
しかし、この機会を逃せば次は無い。レズンはキッと前を見据えるとナナイの後に続いた。

レズンがナナイについて向かった先は基地内の軍事病院だった。
レズンは思わぬ所に案内されて戸惑いつつも後に続く。
「どう言う事だ?奴はこんな所にいるのか?」
レズンの質問にナナイは少し視線を向けるが答えずに先に進む。
ギュネイもナナイの行動に困惑しつつもアムロの元に足を進めた。
そして、アムロの病室の前まで来るとナナイは躊躇なく扉をノックする。
すると、中から若い男の声で返事が返ってくる。
「失礼します。」
ナナイが扉を開け、中に入るのに続き、レズンも病室に足を踏み入れる。
すると、そこには頭や手足に包帯を巻いた細身の男がベッドの背を起こした状態でこちらに顔を向けていた。
「ナナイ大尉?あとギュネイ准尉と…もう一人誰か居ますか?」
レズンはナナイと共にベッドの側まで足を進める。
「アムロ・レイ大尉、突然の訪問申し訳ありません。貴方に会いたいという者がおりましたので連れて参りました。」
「「え?」」
ナナイの言葉にアムロとレズンが驚き、目を見開く。
「はぁ!?この男がアムロ・レイ!?」
「ええ、貴女が会いたいとと言ったのでしょう?」
レズンは目の前の男がアムロ・レイだと言われ、驚きが隠せない。
“連邦の白い悪魔”と呼ばれ、1年戦争からジオンのモビルスーツを数え切れないほど撃墜し、あの赤い彗星をも上回る腕をもつパイロットがこの、軍人にしては細身で、どちらかと言うと頼りなげな男がそうだとはとても信じられなかった。
「ナナイ!!あんた私を馬鹿にしてるのか!?こんな生っちょろい男がアムロ・レイな訳がないだろう!大体若過ぎる!」
初対面であろう相手に散々な事を言われてアムロも苦笑いで答える。
「生っちょろ…って、あの…オレ、もう直ぐ30なんだけど…。」
「はぁ!どう見たって22、3歳だろう?それに今、30歳なら1年戦争の時は15、6歳じゃないか!?そんな子供が“白い悪魔”なんて呼ばれたパイロットな訳ないだろう?!」
レズンが怒りに任せて叫ぶのをナナイは冷めた目で見つめ、ギュネイとアムロは複雑な表情を浮かべる。
「全く!バカバカしい!ナナイ!嘘を吐くならもう少しマシな嘘を吐きな!」
そう吐き捨てるとレズンは病室の扉をバンッと開けて去っていった。
その足音が遠ざかった頃、事態の飲み込めないアムロがナナイに尋ねる。
作品名:We can share the happiness. 作家名:koyuho