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We can share the happiness.

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「ナナイ大尉、今の女性は一体…?」
ナナイは一つ溜め息を漏らすとアムロに向き直る。
「レズン・シュナイダー少尉。モビルスーツ隊の隊長をしております。貴方が生存している事をとある筋から耳にしたらしく、貴方に会わせろと言うので連れて参りました。」
淡々と述べるナナイにアムロはうーんと頭を抱える。
「えーっと、それって会いたいっていうかオレを殺しに来たんじゃないのか?」
「本人はそう言っておりましたね。」
サラッと述べるナナイにアムロは小さく溜め息を漏らす。
「…まぁ、当然ですね。」
アムロは掛布の上でそっと指を組んで呟く。
「15の時から今まで、正直どれだけの命をこの手で殺めてきたのか分からない…。戦争とは言え、やっぱりオレはただの人殺しだから…。連邦のお偉方はオレの戦果を見て“化け物”って言ってましたよ。」
悲しげな表情を浮かべるアムロにギュネイは複雑な気持ちが込み上げる。
少し前まで、シャアやクエスに認められる為、強化人間では無く、自身がニュータイプだと周りに認めさせる為、ファーストニュータイプであるアムロ・レイを倒す事に必死だった。
それこそ、敵の兵士を人質にしてまで殺そうとした。
けれど、戦場から離れ、アムロ・レイと言う人間を知るにつれてその気持ちは揺らぎ、薄らいでいる。
今、自分はレズンの様に『アムロ・レイを殺したい。』とはおそらく思っていない…。
「だけど…」
ポツリとアムロが呟く。
「シャアと…約束しちゃったからなぁ…。申し訳ないけどまだ死ねない…。」
その呟きを聞き、ナナイがアムロに視線を向ける。
「大佐と約束?」
「…あ…いや、何でもない。」
アムロは慌てて誤魔化すと小さく溜め息をつく。
「…ところで、オレってそんなに童顔って言うか…頼り無い感じなんだろうか…?」
レズンの言葉を思い出し、思わずナナイに尋ねる。
「そうですね。私も実年齢を聞いた時は正直驚きました。体格については人種的なものだと思いますので致し方無いと思いますが。」
はっきりと言われ、流石にアムロもショックを受ける。
「…そう…なんだ…。」
確かにシャアと比べると体格差は一目瞭然だ。もちろんアムロも軍人であり、パイロットなのだからそれなりに鍛えている。しかし、あんなに筋肉は付かないし胸板も厚くない。
おまけに今は怪我の所為でトレーニングもしていないから筋肉も落ちて更に腕が細くなっている。
自分の二の腕を握りその筋肉の落ちた腕に更に大きな溜め息が出る。
「はぁ…もっとリハビリ頑張って筋肉付けなきゃな」
と、そこにクスクスと笑う声が聞こえてくる。
「シャア!?」
いつから居たのか、気配を消してその様子を伺っていたシャアが笑いを堪えきれずに姿を現した。
「大佐!いつおいでに?」
ナナイの問いにシャアがレズンが出ていったすぐ後からだと答え、アムロの元まで歩み寄る。
「何、気配を消して立ち聞きしてるんだよ!」
拗ねる様に言うアムロに更に笑いが込み上げる。
「すまん。出るタイミングを逃してな。しかし、そんなに落ち込むな。15の時に比べれば随分背も伸びたし体格も大きくなったぞ。」
シャアは初めてアムロに会ったサイド6の事を思い出す。
青い連邦の制服を纏った小柄な少年兵。敵兵の上官を前に緊張してカチコチに固まっていた。
その幼い容貌に、つい救いの手を差し伸べてしまった。
クスクスと思い出し笑いをするシャアに更にアムロが拗ねる。
「初めて君に会った時…、まさか少年兵の制服を着た小柄な子供がガンダムのパイロットだなどと思いもしなかった。ただ、君の名を聞いた時、何故だか知っている様な気がしたな。君はあの時、私がシャア・アズナブルだと気付いていたのか?」
「ああ。気付いたよ。」
言い切るアムロにシャアは目を見開く。
「あの時、目の前の人物が赤い彗星だと直感した。」
「直に会った事も無いのにか?」
「ああ」
「ふぅ、やはり私は出来損ないのニュータイプだな。」
「そんな事は…。貴方の存在感が半端なかったから…。」
クスリと笑うアムロに微笑み返す。
「そう言う事にしておこう。」

「ところで大佐。レズン少尉の事は如何致しましょうか?」
二人の間にナナイが割り込み話し掛ける。
「うむ。そうだな…。彼女は熱くなりやすいところはあるが頭の良い人間だ。そして、何より軍人としての誇りを持っている。冷静になれば正しい判断が出来るだろう。そう思ったからこそ君は彼女をここに連れて来たのであろう?」
意味有りげな視線を向けながらシャアがナナイに問う。
「はい。彼女が今のアムロ大尉に手を上げるとは思えませんでしたから。」
「良い判断だ。」
「恐れ入ります。念のため対策の方も考えておきます。」
「君の事だ、既にある程度に対策は練ってあるのだろう?」
「はい。準備出来次第ご報告致します。」
「分かった。よろしく頼む。」
阿吽の呼吸で互いの考えを把握し、対策を進めていく二人の会話をアムロはじっと聞き入る。
そんなアムロに気付いたシャアがアムロに視線を向ける。
「どうした?何か気になる事でもあるのか?」
「え?あ、いや。貴方とナナイ大尉は何て言うか凄く信頼し合ってるんだなと思って。」
そして、少し思案した後に目を伏せ呟く。
「もしかして…」
と、言い掛けてアムロは口を噤んだ。
「いや、何でも無い。」
きっと二人は恋人同士だったのだろう…。自分が間に入らなければ…。という考えが脳裏を過る。
シャアはそんなアムロの頬を指でそっとなぞると顎を掴んで上向かせる。
「アムロ、今の私を信じて欲しい。」
顎を掴む手からシャアの感情が流れ込んでくる。
『君だけだ』と『過去ではなく、今を見て欲しい』と…。
「分かってる。ごめん。」
アムロは切なげに瞳を揺らしながらも小さく微笑んだ。

そんな二人を見つめながらナナイは溜め息を漏らすとシャアに体を向け敬礼する。
「それでは大佐、私はこれで失礼致します。アムロ大尉もお騒がせして申し訳ありませんでした。」
そのナナイをアムロが慌てて呼び止める。
「あっ!ナナイ大尉、待ってくれ。さっき言っていた対策だが、レズン少尉を傷つけるような事はしないで欲しい。」
アムロの言葉にナナイが首を傾げる。
「貴方を殺そうとした人物ですよ?」
「それでも!レズン少尉がそうするだけの事をオレはしたのだから恨まれても仕方がない。だから、どうか彼女に危害を与えるような事はしないでくれ!」
必死に訴えるアムロをナナイは複雑な表情で見つめる。
「アムロ大尉はあまり軍人らしくありませんね。軍人として有るまじき行為をした者を厳しく罰するのは当然の事では?」
「そうかもしれない…。オレは現地徴用兵で士官学校なんか出てないから軍人のルールなんて分からない。でも、レズン少尉の気持ちは同じパイロットとして分かるから…。」
その話を聞いていたギュネイから疑問の声が上がる。
「正規の軍人ではないのに当時の最高機密であるガンダムに乗っていたんですか?」
作品名:We can share the happiness. 作家名:koyuho