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ヒカリ 3

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ヒカリ 3


アムロがシャアに囚われてから二週間程が経過した。
シャアの乗艦であるムサイはサイド6 のパルダコロニーに寄港し、アムロとシャアは今、「フラナガン機関」と呼ばれるジオンのニュータイプ研究施設に来ていた。

「僕はここでニュータイプ研究の被験体にされるんですか?」
溜め息まじりに言うアムロにシャアが視線を向ける。
「連邦でも何か実験を受けていたのか?」
その問いにアムロは視線を逸らし俯く。
「…ジャブローで…」
アムロは唇を噛み締め次の言葉が出ない。
その様子に、碌な目に合わなかったのだろうと推察するとそっとアムロの肩を叩く。
「連邦はジオンに比べてニュータイプ研究がかなり遅れているからな。根拠も無く思いつく限りの実験をしたのだろう。辛かったな。」
まさかシャアから労いの言葉を掛けられるとは思っておらず、アムロは驚いてシャアを見つめる。
そんなアムロにシャアは小さく溜め息をつく。
「私が君を心配するのがそんなにおかしいか?」
「あ…、いえ。だって僕は捕虜だから…。」
そう、アムロは捕虜だ。
しかし、あの日シャアに抱かれてから、アムロの扱いは捕虜のそれでは無く、普通の兵士の様な扱いなのだ。
手錠も外され、部屋も営倉ではなくシャアの隣の部屋を充てがわれている。
流石に外から鍵が掛けられており、自由に出歩く事は出来ないが、常にシャアと行動を共にしている為、特に閉じ込められていると言う感覚は無い。
そして、あの日から、シャアは何度もアムロを求めた。
アムロは初め、かなり抵抗していたが触れる肌からシャアのアムロを求める激情が流れ込んでくると、どうしても最後まで拒む事が出来なかった。
『僕はどうしてしまったんだろう…。何故、この人を拒めないんだ…。』

《それはアムロが大佐を好きだからよ》

突然の頭の中に声が響き、それと同時に背中から誰かに抱きしめられた。
「えっ!?」
自分を抱き締める褐色の細い綺麗な手に驚いて振り返ると、そこには以前、サイド6で会った褐色の肌にエメラルドグリーンの瞳を持つ少女、ララァ・スンがいた。
「ララァ!?」
「ふふ、アムロ!久しぶりね」
突然の再会に驚き、アムロは目を見開いてララァを見つめる。
「ララァ、アムロが驚いているぞ。」
「ふふ、だってびっくりさせたかったんだもの。」
コロコロと笑う少女はアムロから離れ、シャアの隣に移動する。
未だに目をパチクリさせて固まるアムロにララァはもう一度微笑む。
「アムロ、大佐は優しいでしょ?」
その言葉にアムロは複雑な表情を浮かべる。
確かにあれ以来、シャアの自分に対する対応はとても丁寧で優しい。
けれど、自分は連邦の軍人で捕虜だ。
そんな、自分に対するシャアの対応に正直アムロは困惑していた。
そのアムロの表情にシャアはクスリと笑うと二人を目的の場所まで案内する。
ある一室に入ると、そこには科学者らしい男がアムロ達を待っていた。
「大佐、お待ちしておりました。」
「フラナガン、久しいな。」
二人は握手を交わすとアムロに振り返る。
「フラナガン、アムロ・レイだ。連絡していた通り、彼のニュータイプ能力について調べて欲しい。」
「はい。準備は出来ております。」
「うむ。よろしく頼む。」
「シャア!?」
自分の知らないところで話が進んで行く事に戸惑い、アムロが動揺を露わにする。
「アムロ、紹介しよう。ジオンのニュータイプ研究の第一人者、フラナガン博士だ。ここで君のニュータイプ能力を測定してもらう。」
「能力の測定?」
「ああ、君のニュータイプ能力を正確に把握する事で、君にとって最善の対応を考える。」
「僕にとって、最善?」
「そうだ、君が今とても不安定なのは自身のニュータイプ能力がどう言うもので、どの様なレベルなのか、そして、これからどう進化するのか。それを君自身や周りが把握出来ていないからだ。」
シャアの言葉に息が止まる。
確かに、連邦にはニュータイプを理解してくれる人は殆どいなかった。そもそもニュータイプと言う存在事態の認知度はジオンに比べると格段に低い。
軍の人間も皆、戦力として戦闘能力を認めてはくれるが、アムロ自身を認め理解してくれる人はいなかった。
ニュータイプの素質のあるミライやセイラは多少理解してくれていたかもしれないが…。
「アムロ、ララァもここで検査を受けた。なにも怖がる事はない。君の為にも一度検査を受けてみたまえ。」
「僕の…為?」
「ああ、そうだ。」
ジャブローで受けた検査は到底アムロの為などと言うものでは無かった。連邦にとって役に立つか、そして、研究者達の好奇心を埋めるためのものでしか無かった。
シャアはジオンやシャアの為ではなく、アムロの為だと言うのだ。
それが今のアムロにはとても嬉しかった。
「私が付いていてあげるわ。」
そう言って微笑みながらララァはアムロの腕に自分の腕を巻きつけると検査室へとアムロを促した。
ララァの優しい微笑みにアムロの表情が少し解ぐれ、ララァに向かってそっと微笑む。
その笑顔を見て、シャアが小さく溜め息を吐く。
『この2週間、私にはあんな笑顔を向けてくれた事は無かったのにララァにはああも簡単に見せるのか…。』
そんな二人を見送ると、シャアはフラナガンへと向き直り、記憶媒体を取り出して手渡す。
「アムロ・レイと共に奪取したガンダム内の戦闘データとガンダムの機体データだ。これも併せて調べてくれ。」
「はい。畏まりました。」
フラナガンは軽く会釈をすると検査室へと姿を消した。


後日、検査結果を聞くため、シャアはフラナガンの元を訪れた。
通された部屋で待つとフラナガンが資料を携えて現れた。
「大佐、ご足労頂きありがとうございます。アムロ・レイの検査結果をお持ちしました。」
「うむ、ご苦労だった。早速結果を聞かせてくれ。」
フラナガンは端末を操作してデータを表示させる。
そして、まずシャアにむかい感嘆の声を上げた。
「アムロ・レイのニュータイプ能力ですが、驚くべきものでした。」
「ほほう?」
眉を少し上げシャアが答える。
「感知能力ではララァ・スン少尉には劣るものの、他の検体達に比べると段違いです。」
興奮冷めやらぬと言った様相のフラナガンが数値データを示した資料をシャアに見せる。
「半径1キロ圏内の感知は他の検体が50から70%なのに対して、アムロ・レイは70から95%感知しております。」
「凄いな…。しかし、少しムラがあるか?」
「そうですね。ララァ少尉は常に90%以上を感知している為、安定性では一番です。しかし、アムロ・レイの凄いところは、感知した対象への命中率です。」
フラナガンが一旦言葉を切り、息を整える。
「アムロ・レイの命中率は90%を超えています。また、その反射速度は0.03秒。ほぼ感知した瞬間に攻撃を仕掛け命中させているのです。ララァ少尉が70%ですからこれは驚異的な数値です。」
「ほう…。」
「この命中率も実のところアムロ・レイの反射速度に機体がついていかない為90%ですが機体性能が上がればおそらく命中率はもっと上がるでしょう。」
その言葉にシャアはしばし息を止めた。
作品名:ヒカリ 3 作家名:koyuho