二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

ヒカリ 4

INDEX|1ページ/3ページ|

次のページ
 
ヒカリ 4


フラナガン機関での検査も大詰めとなり、今日はサイコミュの検査をするのだと言う。
初めて聞く“サイコミュ”という言葉にアムロは首を傾げる。
「サイコミュと言うのは人間の脳が発する波動を電気信号に変えて機体に伝える技術です。」
フラナガンの言葉にアムロはララァのエルメスが放つビーム砲を思い出す。
「ああ、ララァのあの…。確かにあの武器はまるで意思を持っているかの様な動きだった。あれはララァが操っていたと言う事ですか?」
「ええ、その通りです。」
その答えにアムロは口元に手を当てブツブツと呟きながら考え込む。
アムロは頭の中でその仕組みを紐解き、それがどのように構築されていくかをシュミレートしていく。
「なるほど…、確かに可能ですね。」
詳細を伝えた訳でもないのにサイコミュの仕組みを理解していくアムロの頭脳にフラナガンは息を飲んだ。

まずはシミュレーターで“ビット”と呼ばれる無人ビーム砲を自分の意思で遠隔操作出来るかを調べる事になり、アムロは頭に脳波の受信機器であるヘッドギアを装着してシミュレーターのコックピットへと座る。
目を閉じ意識を集中してシミュレーターの戦闘宙域を把握する。
そして10機のビットに意識を飛ばす。
「行け!ビット達!」
アムロの声と同時にビットが飛び立ち、10機それぞれがまるで意思を持っているかの様に縦横無尽に飛び回る。
そしてビットの内臓カメラに映し出された映像がアムロの脳裏へとダイレクトに伝わり、敵を感知した瞬間、ビットから放たれたビームが敵機モビルスーツの右腕を撃ち抜いた。
その様子をフラナガンと共にシャアとララァがモニター室から見つめる。
「素晴らしい…。感知してからビットが反応するまで殆どタイムラグが無い!そしてあの命中率!」
フラナガンがアムロの状態をモニターしながら感嘆の声を上げる。
しかし、シャアは今の撃墜時にアムロが舌打ちしたのを感じた。
そして、二撃目が敵機の頭部を直撃する。
「流石だな。直ぐに修正したか…。」
そのシャアの呟きにフラナガンが振り向く。
「大佐?修正とは?」
その問いにシャア肩をすくめる。
「ビットの動きがアムロの感覚に追いついていないのだよ。だから一撃目は狙いが僅かにズレ、右腕に着弾したんだ。おそらくアムロは頭部を狙ったはずだ。しかし、そのズレを瞬時に解析し、次の攻撃はズレを考慮して狙ったんだ。全く、恐ろしいまでの戦闘センスだ。」

一時間ほどかけて様々なパターンのシミュレーションを実施したところでシャアがフラナガンに終了の合図をする。
「フラナガン、そろそろアムロが限界だ。今日はこれで終了しよう。」
その凄まじい結果に夢中になったフラナガンは興奮のあまりアムロの状態を把握しきれておらず、慌てて検査を終了する。
「申し訳ありません!直ぐに終了します。」
シャアはマイクでアムロに呼びかけ終了を告げる。
《アムロ、大丈夫か?検査終了だ。》
シミュレーターの映像が終了し、コックピット内に照明が灯ると、アムロはヘッドギアを外し、シートにぐったりと沈み込む。
「はぁはぁはぁ」
激しい疲労と上がる息に直ぐに立ち上がる事が出来ず、シートにもたれて荒い呼吸を繰り返す。
シャアはモニター室から出るとシミュレーターの元まで行き、動けないアムロを抱き上げた。
「わぁ!!ちょっ!シャア!いい!歩けます!」
俗に言う“お姫様抱っこ”をされ、流石に恥ずかしくてジタバタするが、そんなアムロを物ともせずモニター室へと連れてくるとララァの隣に座らせる。
「アムロ、お疲れ様。」
ニッコリ微笑むララァにアムロはがっくりと肩を落とす。
『ララァにあんな恥ずかしい姿見られた…お姫様抱っこなんて…』
両手で顔を覆い俯いているとララァからドリンクが手渡される。
「…ありがとう」
受け取ったドリンクを一気に飲み干し一息つくと大きく息を吐いて椅子にぐったりと背を預ける。
「すまない。大分疲れさせてしまったな。もっと早くに止めるべきだった。」
シャアの言葉にアムロが首を横に振る。
「いえ、僕も夢中になり過ぎてしまいました。」
「サイコミュはどうだ?」
「そうですね…、初めは慣れなくて上手く扱えなかったんですけど段々慣れてくるとそれぞれのビットが手足の様に動く様になってきてなんとか扱えました。」
「“なんとか”など!とんでもない!初回であそこまでビットを操れたのは君が初めてだ。それも一撃目をいきなりヒットさせるなんて!」
フラナガンが興奮した声でアムロに詰め寄る。
「え?あ…、そうなん…ですか?」
その様子にララァがクスクスと笑う。
「博士、興奮しすぎです。アムロがびっくりしているわ。」
「しかしだね、ララァ少尉、君の時も驚かされたがアムロ君の感知能力とこの反射速度は更に驚くべきものだ。」
「でも…戦いながらこのビットを使おうと思うと5機が限界かなぁ…。」
その言葉にシャアが苦笑する。
「このビットは戦いながら使用することを想定していない。戦線の後方からビットを操り攻撃するんだ。だからララァのエルメスにはメガ粒子砲が2砲付いているだけで攻撃の為の装備は殆ど付いていない。その為、出撃には必ず護衛機が付き添う。」
「そうなんですか?」
「ああ。しかし君ならば戦闘をしながらビットをも操れるだろうな。」
アムロはしばし考えるとコクリと頷く。
「そうですね…、もっと感度が上がれば無意識下でも操れるかも…。」
アムロの呟きにフラナガンが目を見開く。
そして、早々にシャアに挨拶をすると実験室へと消えて行った。
そんなフラナガンをキョトンと見つめるアムロの肩をポンと叩くとシャアがクスリと笑う。
「フラナガンの研究者魂に火を点けてしまったか?」
「はぁ…?」
「ふふふ、大佐。今日はこれで終わりなんでしょう?」
「ああ、そうだな。アムロ、体調はどうだ?歩けるか?」
抱き上げようと手を差し出すシャアを思わず押し退ける。
「だっ大丈夫です!歩けます!歩けますから!!」
『もうお姫様抱っこは勘弁して欲しい!』
心配気にアムロを覗き込むシャアにアムロが慌てて答える。
「そうか、それは残念だ。」
そう言いながらも口元が笑っている。
「シャア!!貴方僕を揶揄ってるでしょう!?」
「そんな事はない。しかしアムロ、君は少し細すぎるな。さっき抱えた時あんまりにも軽くて驚いた。木馬ではキチンと食事を摂っていたのか?」
「え…あ…。」
アムロは答えに詰まってしまう。
ホワイトベースでは度重なる出撃やガンダムの整備でまともな休息など無く、食事も整備をしながらフラウの用意してくれたサンドウィッチを嚙るなんて事もしょっちゅうだった。
それに、精神的にも追い込まれて行き、あまり食事も喉を通らなくなり、簡易の栄養ゼリーを胃に流し込んで最低限の栄養を補給するのが誠意杯だった。
黙り込んでしまったアムロの頭を優しく撫ぜるとシャアは二人を食事へと連れ出した。

士官用の食堂内にある個室で3人一緒に食事をとる。
アムロの胃にあまり負担にならない様にスープや消化の良い、それでいて栄養価の高いメニューをチョイスしてテーブルに並べるとアムロがゆっくりと食事に手を付ける。
「あ、これ美味しい。」
作品名:ヒカリ 4 作家名:koyuho