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ヒカリ 6

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ヒカリ 6


真っ暗な宇宙に無数の光が瞬く。
それは星の光、そして無数に飛び交う戦闘の光…。
ーーーそれから…、アムロにしか見えない魂のヒカリ…。
爆風が舞い上がる中、淡く弾けて霧散していく儚いヒカリ。今、アムロの周りでは人の命がいくつも消えていく。
アムロはそのヒカリの中を白いガンダムを駆り、ただひたすら突き進む。
赤と金の混じった美しいヒカリを目指して…。
「シャア!!」
アムロは操縦桿を握り締め、襲いかかる敵を次々と薙ぎ倒しながら進む。
そのアムロの後ろをカイとハヤトが続く。
《アムロの奴…、いつもに増して凄まじいな…。》
カイが溜め息まじりに呟く。
《本当ですね…。なんかこう鬼気迫るって言うか…。捕虜になってる間に何があったんでしょうか…。》
《…さあな…》
カイはホワイトベースでのアムロが自分の意思と関係なく覚醒していくニュータイプ能力に戸惑い、変化する周りの態度に苦しんでいた事に気付いていた。
けれど、自分自信アムロの力を理解する事が出来ず、どうしてやる事も出来なかった。
アムロを一番理解していたはずのフラウ・ボウですら受け入れられなかったのだ。
しかし、ジオン・ダイクンの子である奴はニュータイプを、アムロを理解していた。
そして、ホワイトベースに潜入してまでアムロを求めた。
『そんな奴にアムロが縋っても決して不思議じゃない…。』

《カイさん…。さっき…アムロの奴、赤い彗星を庇おうとした様に見えたんですけど…》
《…ああ…》
《あいつ…ジオンに寝返ったりしませんよね?》
《バーカ。ジオンに寝返ったりする訳ないだろ。いらん事考えてないで集中しろ!》
《は、はい。すみません!》

『…“ジオン”には寝返らないだろう。シャアには…分からんがな…。』
そんなカイのガンキャノンの横を閃光が走る。
「おっと、ヤバイ、ヤバイ!俺も集中しねーとな。」
カイは操縦桿をグッと握り締め戦場に意識を戻した。


その頃、シャアはアムロとの戦いに備える為、ニュータイプ専用機“ジオング”を手に入れていた。
「この機体でどこまでアムロと渡り合えるか…。」
完全にニュータイプとして覚醒し、怒りで理性のタガの外れたアムロと戦うにはそれなりの機体でなければ勝てない。
フラナガン機関で見たアムロの戦闘能力はシャアの予想を遥かに超えていた。
「戦闘に特化したニュータイプ…か…。」
本人の気持ちとは裏腹に強大な力を持ち、その優しさ故に悩み、苦しみ、それでも仲間の為に涙を流しながらその手を血に染めた悲しい少年。
彼がニュータイプという能力ごと自身を受け入れてくれる存在を求めている事は分かっていた。
だから、少年の縋るその手を取り、受け入れ、温もりを与えた。
そうして、心も身体も全て手に入れたつもりだった。
しかし、自身の目的の為に彼が大切に思っていたララァを兵器として使った。
彼自身も時が来たら同じ様に使うつもりでいた。
それは彼が最も忌み嫌い恐れていた事だと分かっていながら…。
だから彼を眠らせて、何も知らぬうちに全てを終わらせるつもりだった。
しかし、彼は自身を傷つけてでも立ち上がり、私の前に立ちはだかったのだ。

「大佐!ジオング準備出来ました!」
「ああ、分かった。」
シャアはヘルメットを手に持ち、コックピットへと向かった。

コックピットに座り、操縦桿を握る手に力を込める。すると、脳裏に金色のヒカリを感じた。
「…ララァか?」
『ふふふ』
「私を愚かだと思うか?」
『どうして?』
「ララァやアムロを求めつつも、復讐を諦めきれないバカな男だ…。しかし、それを捨ててしまったら今まで私が為して来た事が全て無意味になってしまう…。」
『大佐はご自分の心の思うまま生きて下されば良いんです。私は大佐が望むなら何でも出来ます。だからエルメスに乗りました。私には大佐とアムロが全てですから…』
「ふ…。ララァは優しいな。それに私に甘い。」
『大佐もとても優しいですよ…。アムロにも大佐の優しさは分かってるんです。でも、アムロは私や仲間もとても大切に思っているから…。』
「そうだな。彼とは決着を付けねばならん。そうしなければ私もアムロも先に進めんからな。」
『…男の人は難しいですね。』
「違うさ。男は単純なのさ。だからはっきりと白黒付けないと気が済まない。」
『ふふ、何だか羨ましいわ。』
「そうかい?」
『ええ。』
「では、ララァ。私たちを見守っていてくれ。」
『はい。大佐』
シャアは微笑むと操縦桿を引きジオングをモビルスーツデッキから発進させた。

『大佐…大丈夫。少し時間は掛かるけれど、大佐とアムロは判り合えます…。』
ララァのその言葉はシャアには届いていない。それは刻を超えたララァだけが知る事実。

ジオングはア・バオア・クーの側面をガンダムを探して飛行する。
そして、右前方に純白のヒカリを感じた。
「いたな、アムロ!!」
同時にアムロもシャアの気配を感じていた。
「見つけた!シャア!!」
双方は互いに向けて加速し、同時に攻撃を仕掛ける。
互いの発射したビームが双方の機体を掠める。
サイコミュを搭載したジオングは両手のビームをあらゆる方向から照射してガンダムを狙う。
「何!?ララァのビットと同じ?サイコミュ搭載マシンか!?」
アムロはそのビームの動きを必死で読む。
「早い!!でも…見える!!」
ギリギリで躱しながら片方の手をビームライフルで破壊する。
「ちっ!やるな、アムロ!」
しかし、シャアのジオングもガンダムの右腕を撃ち抜く。
「クソ!!」
「アムロ!決着を付けるぞ!」
「シャア!!」
二機は何度も交錯し合い、互いの攻撃を躱し、攻め込む。
その光景をカイとハヤトが驚愕の目で見つめる。
「なんて戦いだ、アムロを援護しようにもとてもじゃないが動きが早すぎて入り込めない!!」
「ハヤト!相手は赤い彗星だ!奴はアムロに任せて俺たちは要塞に突っ込むぞ!」
「は、はい!」
『アムロ!死ぬなよ!』
カイは心の中でそう叫ぶとハヤトと共に要塞へと向かいバーニアを吹かした。

「シャア!!なぜララァを巻き込んだ!彼女は戦いをする人ではなかったのに!!」
ライフルでジオングの胴体を狙いながらアムロが叫ぶ。
「この戦争で戦う為にはララァの力が必要だった!君のその力もな!」
「ニュータイプは戦争の道具じゃない!!」
「ふふ、フラナガン機関での君のニュータイプ能力の分析結果をまだ伝えてなかったな。君は戦闘に特化したニュータイプだそうだ!」
「なっ!」
「君が一番分かっているだろう?自分がどれだけ兵器として優秀なのか!」
ガンダムの攻撃を躱わしながらジオングの頭部から発射されたバルカン砲がガンダム頭部を撃ち抜きメインカメラを破壊する。
「うるさい!!黙れ!!」
メインカメラを破壊されても尚、怯む事なく向かってくるアムロに苦笑が漏れる。
「カメラ無しでも君には見えているんだろう?それでもまだ、ニュータイプは戦争の道具じゃないと?」
脳裏にはっきりと見えるジオングの…シャアの動きに自身が異常な力を持っている事を再認識させられる。
「分かってる!!分かってるよ!でも!僕を…ララァを道具として扱った貴方をどうしても許せない!」
作品名:ヒカリ 6 作家名:koyuho