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五十音お題。

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すいーとはーと

(臨帝)

「ねぇ、」
「どうしましたか、臨也さん」
 帝人君は不思議そうに首を傾げてこちらを見ている。大きくて零れ落ちてしまいそうな瞳は酷く愛くるしくて、彼の為ならなにもかもを(シズちゃんという宿敵でさえ!)捨て置けてしまえそうだ。
「楽しい事でもあった?」
 それ位、彼は上機嫌であった。ここ最近不機嫌そうな彼ばかり見ている所為もあるけれど、どう考えても段違いの喜びっぷりである。
「いえ、特にないですよ?」
「嘘だよ。いつもより機嫌が良さそうだもの」
 むにむに頬をつついてやれば、仕返しといわんばかり右頬を引っ張られた。
「いひゃいよ」
「呂律の回らない臨也さんは別に可愛くないのでやめてください」
 気持ち悪い、と小さい声ながらはっきり言われたものだから、少しばかりのショックを受ける。ツンデレは如何にツンが多いかが重要なのだという、ならば彼は完璧なのだろうかと下らない考えが頭を巡る。
「えー。いやだなぁ、俺も可愛いじゃないか。あ、もちろん帝人君には負けるけれど」
「そういう問題じゃないです」
 彼はカリカリとレポートを書いていた手を止めて、ボールペンをこちらへ突き出してきた。(俺の方が背も座高も高いのに)瞳は冷ややかに見下すようである。
「えぇ……。でも帝人君は可愛いのは当たり前じゃないか」
「僕は男ですよ臨也さん。男が可愛いと言われて嬉しいと?」
「好きな人なら嬉しいんじゃない?」
 揶揄するように言っても彼は、冷めた目でこちらを見てくるだけである。文句があるのなら、言って欲しいのだけど、それさえもしてくれないのだろうか。
「僕は臨也さん、嫌いだから問題ないですね」
「そんな訳ないじゃないか。今どうして、俺の部屋にいるの?」
「クーラー効いているからに決まってるじゃないですか」
 目線を切ると、またも一心不乱にレポートを始めていた。こちらから見て分かるくらい弱い筆圧である、こんなのでよく手の平に怪我を負わせられたものだ。
「図書館に行けば?」
「あんな奴らの顔なんて見たくないですから」
「家引きこもればいいじゃないか」
「クーラー代って馬鹿にならないんですよ」
 世間知らず、と顔に書いてあるのがありありと見えて、返す言葉がなくて固まる事になる。多分(きっと)俺が目的で来ている筈なのに、彼の口からその台詞を吐かせられなくてやきもきした。
「だからさぁ、大人しく俺の部屋に来たかったって言えばいいじゃん!」
 怒鳴れば呆れたように俺を一瞥した帝人君は、ため息をついてからペンをテーブルに置いて、こちらへ身を乗り出してきた。
「僕が好きできました。それでいいんですか?」
 彼の耳が赤らんでいるのに愛しさを覚えた。




作品名:五十音お題。 作家名:榛☻荊