二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

Lovin 'you after CCA 5 〈後編〉

INDEX|1ページ/6ページ|

次のページ
 
Lovin 'you after CCA 5 〈後編〉


総帥府の執務室でカイルが端末を操作して膨大なデータを解析し、次々とナナイに指示を出す。
そしてその内容をシャアに逐一伝える。
シャアからはそれに対する追加指示や補足がカイルとナナイへと伝えられ、着々とテロリストへの包囲網を固めていく。
「蛙の子は蛙…と言うことか…。」
「え?ナナイさん何か言いましたか?」
「いえ、何でもありません。」
《ナナイ大尉、ラー・カイラム ジュドー・アーシタ少尉から連絡が入っています。》
「繋げ」
《ジュドー・アーシタです。大体の事情は聞きました。もうすぐ現地に着きます。指示をお願いします。》
「あ、ジュドーさん!カイルです。ジュドーさんはロビーで怪しい人を探して下さい!」
《カイル?怪しい人って…そんな大雑把な。》
「ジュドーさんなら分かります!多分ですけど結構いい服を着てて中年の男性です。そしておそらく軍人」
「カイル様!?」
カイルの言葉にナナイが驚く。
「犯人のプロファイリングですか?」
「そんな立派なものじゃありません。ただ、この一連のテロの黒幕は連邦関係者では無いかと思ったので…。」
《なるほどね。了解!ところでアムロ隊長の護衛は?》
「カミーユさんに行ってもらってます。」
《カミーユ!?》
「はい。」
《元気になったのか!?》
「えっと、すみません。その辺の事情は僕、よく知らないので…。」
《あ、そっか。まぁ良いや!後で直接会いに行くよ!それじゃ!》
そこでブツリとジュドーとの通信が切れる。
「相変わらず落ち着きのない…。」
ナナイの苦言にクスリと笑いながらカイルが次の指示を出して行く。
「ところでカイル様、なぜ連邦が黒幕だと?」
カイルは眉をひそめて小さく溜め息をつく。
「…おそらく、ここ最近頻発しているテロはフェイクです。本当の目的はお母さんと双子達。これはお父さんも気付いていたと思います。」
「今までのテロが全てフェイク?」
「はい。実行犯達はそうは思っていないと思いますが黒幕はネオ・ジオンを混乱させ、その混乱に乗じてお母さん達を攫うつもりなんだと思います。」
「しかし、なぜ今更アムロ大尉を?」
カイルは視線をあげてナナイを見つめる。
「今回のテロは連邦のニュータイプ研究所が黒幕です。そしてきっかけはあのアクシズショック。あの現象は科学者にとって、とても興味深いものでしょう?」
ジオンのニュータイプ研究所所長であるナナイにはその意味が痛いほど分かる。
シャアの許可さえ出れば研究したいテーマだ。
決して許可は出ないだろうが…。
「それに双子の赤ん坊。アムロ・レイとシャア・アズナブルの子供が普通であるはずが無い。事実、僕やライラもニュータイプの資質を持っている。まだ真っ白な赤ん坊は研究対象としては喉から手を出るほど欲しいものでしょう?」
ナナイはカイルの言葉にゴクリと息を飲む。
「…。」
言葉を無くし、固まるナナイの肩をカイルはそっと叩く。
それにハッと顔を上げるナナイに、そっとカイルは微笑む。
「僕は何があってもお母さんと双子達を護りたい。ナナイさん、協力をお願いします。」
カイルのその真剣な瞳に、ナナイは一瞬息を止めると小さく息を吐く。そして、その美しいスカイブルーの瞳を見つめ返して微笑む。
「勿論です。必ずお護りします!」
ナナイの言葉にカイルは満面の笑みを浮かべ、
「ありがとうございます。」と返すと端末へと向き直りテロリスト殲滅の準備を進めていった。


その頃、カミーユはライラを伴いアムロの病室へと向かう前にアルフレッドの元に来ていた。
医局でアルと合流し、事情を説明する。
「了解。それじゃ僕もそれとなくスタッフの様子を伺いながら異常が無いか確認するよ。コレ、スタッフ用の連絡端末だ。持っていてくれ。」
「はい。ありがとうございます。」
「ああ、そうだ。ハンナの事だけど、どうも連邦軍人の婚約者がいたそうなんだ。それで…その婚約者は…ラサで亡くなってる。」
ああ、とカミーユが呟く。
「クワトロ大尉やアムロさんに対してあまり良くない感情を持っていても不思議じゃありませんね。」
「すまない。僕たちの調査不足だ。」
アルが拳を握り、すまなそうに謝る。
「いえ、まさかアムロさんが連邦からも恨みを持たれているとは思いませんからね。それにテロの関係者かどうかはまだ分かりませんから」
「そうだね…。しかし、用心に越した事はない。だが、いきなりアムロの担当から外すと怪しまれる可能性がある。だからなるべく君達がそばにいて欲しい。」
「分かりました。」
カミーユとライラがアムロの病室に行くと、アムロが不安げに窓の外を見つめていた。
「お母さん!!」
「ライラ!?」
駆け寄るライラをギュッと抱きしめる。
「お母さん!お母さん!」
必死に縋り付くライラに、アムロが不安な表情を浮かべる。
「ライラ、どうしたの?何がそんなに不安なの?」
「あのね。此処に居たら危ないの。」
ライラの言葉にアムロがカミーユに視線を向ける。
「カミーユ、何が起こってるの?この病院の周りに危険な気配が集まってきてる。」
カミーユは小さく頷くとアムロの元まで歩み寄る。
「実は、この病院がテロリストに狙われています。」
「なっ!」
アムロは目を見開き腕の中のライラをギュッと抱きしめる。
「なんで病院が…」
と、言いかけてハッと気付く。
「私と子供達か…」
カミーユが辛そうに目を伏せる。
アムロとシャアの事はごく一部の限られた者しか知らない。当然アムロが連邦のアムロ・レイである事もシャアとの子供が生まれる事も極秘扱いだ。
しかし、連邦の諜報部、特にニュータイプ研究所の関係者がアムロの死体でも良いからと、アクシズショックで死んだとされているアムロを血眼で探しており、各コロニーの病院にスパイを送り込んで、戦闘での負傷者、もしくは死亡者の中にアムロらしい人物がいないかを探っていたのだ。
そして、あれから2年が経とうとした頃。スウィート・ウォーターの病院をアムロらしき人物が出産のため受診をした事を掴んだ。
そこで助産師の資格を持つ看護師を送り込み慎重に調査を進めていた。
その結果、アムロ・レイ本人であり、父親はあのシャア・アズナブルだという事が判明した。
しかし、和平条約を結んだネオ・ジオンと連邦の間で問題を起こすわけにはいかない。その為、テロリスト達を先導し、テロに見せかけてアムロ達を攫うことを思い立ったのだ。
「カミーユ!双子達を!」
「落ち着いて、アムロさん。今、クワトロ大尉がこちらに向かっています。そして制圧部隊も。ライラちゃんが危険をいち早く察知してくれたおかげで対策を立てる時間が出来ました。総帥府ではナナイ大尉とカイル君が準備をしてくれています。」
「カイルが?」
「はい。さすがはクワトロ大尉の息子さんですね。さっきから的確な指示が送られてきています。」
「…そう…。」
複雑な表情を浮かべるアムロにカミーユが問いかける。
「カイル君がクワトロ大尉と同じ道を進むのが心配ですか?」
自分の不安をカミーユに言い当てられてアムロが顔を上げる。
「カミーユ…」
「大丈夫ですよ。ナナイ大尉も傍に付いていますし。」
作品名:Lovin 'you after CCA 5 〈後編〉 作家名:koyuho