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胸さわぎのAfter School(仮題)

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さぞ賑やかで楽しい時間だったのだろうとネクタイに手を伸ばしながら微笑ましい一場面に想いを馳せた。
一方スイスは先ほどから鳴り止まない、むしろどんどんとペースを速める鼓動と
伴ってじんわりと高まっていく体中の熱への対処の如何をどうするべきかで大いに戸惑っていた。
ネクタイを直してもらうのは何も今が始めてという訳ではない。
通学前にお互いの身だしなみをチェックして正すべき部分があれば正し合うのが二人の恒例行事でもある。
ただしいつもは時間に追われて慌しい朝での事。
今は夕方、放課後。相手を意識する時間はたっぷりと。
夕日差し込む教室の中、
茜色と日の落とす影のコントラストは妹を妙に扇情的に映しあげ
一度でも意識を寄せてしまえば、そちらの方向へとばかりに感覚は鋭敏になってしまう。
今日は体育でもあったのか肌と制服の隙間からほんのり汗と、少女特有の甘さが混ざった香りが漂い
気を抜くと吸い寄せられそうになる己を律する事に精一杯だった。
甘い香りの誘惑に耐え切れなくなりそうになったスイスは少しでも香りから鼻腔を遠ざけようと顎を逸らせた。
すると今度はリヒテンシュタインの淡い蜂蜜色をした頭髪から、これまた別の甘さのシャンプーの香りを捉えてしまい
意思とは関係なく勝手に昂ぶってしまう己をスイスは心底恨めしく思い呪った。
「……はい。整いました」
リヒテンシュタインが甲斐甲斐しく世話をしてくれているありがたくもある意味耐え難い、
スイスにとっては永遠にも感じられた僅かな時間は終わりを告げる。
「………あぁ、ありがとう」
本能からの衝動と理性の戦いで困憊しきってしまったスイスは力なく答えた。
「兄さま、お顔が若干赤いような…?」
「こ…、これは夕焼けに照らされているからであって、それ以上でもそれ以下でもなんでもない…、のである」
「なら良かったです。どこか具合が悪いのと心配になりました」
まさか世話を焼いてくれている間に欲情していたとは言う訳にもいかず
純粋に顔色を気にかけてくれた妹相手にうしろめたい気持ちになってしまうスイスであった。
そんな兄をじっと見つめるリヒテンシュタイン。
「兄さま、度々で申し訳ありません」
一言、断ってから手を伸ばす。
「ここにも、欠片が」
指先は、スイスの唇へ。
「っ!」
敏感な部分に触れられて反射的にスイスは身を震わせた。
白魚のように細く形の整った人差し指がつうっとスイスの下唇を這う。
神経の集中する器官の上をゆっくりと指の腹がなぞる感触に激情がぞくぞくと背筋を駆け上り、
度重なる妹からの無意識による誘惑にスイスの理性はとうとう白旗を掲げた。