君を想う
「先ほど取材の際にカイ・シデンの服にな…。」
その言葉にセイラは開いた口が塞がらない。
「呆れた…。総帥ともあろう人が…。」
「情報収集は政策の基本だ」
「何が政策ですか。まったくもう。」
「ところでギュネイ、お前はグラナダでアムロが子どもと会った事を私に報告しなかったな。」
「あ…、それは…」
突然シャアから叱責を受け、ギュネイが固まる。
「兄さん、彼を責めても仕方がないでしょう?大方アムロが兄さんが気に病まないようにと彼に口止めをしたのではなくて?」
セイラの言葉にギュネイが戸惑いつつも頷く。
「…分かっている…。」
辛そうな表情を浮かべるシャアに、セイラが大きな溜め息を吐く。
「兄さん、アムロは全てを捨てて兄さんを選んだのよ。それこそ自分の命を懸けてまで…。」
「アルテイシア…」
「そのアムロの想いを、兄さんは全身全霊を懸けて受け止めてあげて…。アムロは何よりそれを望んでいると思うわ。」
「…そうだな…。」
シャアはアムロを想い、目を閉じる。
『アムロ…君を心から愛している…。』
アムロを想うシャアの心は、少し離れた場所にいるアムロの元に届いていた。
カイと話をしながらも、アムロはシャアの心を感じてそっと微笑む。
『俺も心から貴方を愛しているよ。』
end