月光2
月光2
懲りずに第2話です。
一応設定をご確認下さい。
【設定】
シャア : ヴァンパイア、医師
アムロ : ヴァンパイアと狼一族とのハーフ
月光を浴びると女性に変身、エンジニア(休職中)
ジオン : シャアの父(健在)、ヴァンパイア、名医
アストライア : シャアの母(故人)
テム : アムロの父(健在)、ヴァンパイア、ジオンの弟、エンジニア
カマリア :アムロの母(健在)、狼一族
ベルトーチカ : アムロの元恋人、ヴァンパイア
二人は従兄弟で幼馴染み。で、恋人同士。
宇宙世紀とかニュータイプとか全く無視の世界です。
ーーーーーー
月光2 ~Smile~
Smile for me.Smile for you.
泣くだけ泣いたら
Smile for me.Smile for you.
どうか笑顔で
アムロとシャアはめでたく婚約し、半年後には挙式を控えていた。
ダイクン家では式の準備に追われ、皆バタバタと忙しない日々を過ごしている。
「ねぇ、そこの貴方、ちょっといいかしら?」
この屋敷の召使い、キムを呼び止めたのは綺麗な金髪に、美しいエメラルドグリーンの瞳をした女性だった。
小柄なキムはその女性を見上げて思いっきり嫌な顔をする。
「何の御用ですか?シャア様に御用でしたらお引き取り下さい。」
派手な女性関係のシャアを訪ねて女性がやって来るのは日常茶飯事だった為、いい加減忙しい時に相手などしていられないと冷たく言い放つ。
「シャア?誰それ。私が用があるのはその人じゃないわ。」
思わぬ答えにキムが驚く。
「え?あ、失礼しました。」
「此処にアムロがいるでしょう?私、アムロに会いに来たの。」
「アムロ様?」
「ええ、此処にいるんでしょう?ベルトーチカが会いに来たって伝えてくれればわかると思うから呼んでくれないかしら。」
キムはシャアの相手ではないと分かりホッとしたものの、この女性をアムロに逢わせていいものかと思案する。
「あの…どういったご用件ですか?」
「アムロが婚約したって聞いたからお祝いを言いに来たの。」
ニッコリ微笑むベルトーチカに、キムはそれならば…とベルトーチカを屋敷へと案内した。
「ベルトーチカ!?」
突然の来訪に、アムロが驚いてベルトーチカの待つ客間に飛び込んで来た。
「アムロ!久しぶり!元気だった?」
「ベル…!」
ベルトーチカはソファから立ち上がるとアムロに抱きついて親愛のキスを贈る。
「ひ…久しぶり、突然どうしたんだい?」
「ふふ、アムロが婚約したって聞いてお祝いを言いに来たの。それからアムロのお相手を見たくって!」
「ベル…」
ベルトーチカはアメリカにいた頃のアムロのガールフレンドだ。
身体の変化が起こってから、シャアへの想いが諦めきれずに、ベルには初恋の人が忘れられないからと素直に話して別れを告げた。
元々好きな人がいる事はベルに告げており、その上で、それでもいつか自分を好きになってくれるかもしれないからと、半ば強引にベルとは付き合い始めた。
だから、別れを告げた時もベルは「分かった」と、その瞳に涙を浮かべながらも受け入れてくれた。
少し強引だけれど、真っ直ぐで明るいベルトーチカがアムロは好きだった。ただ、シャア以上に好きにはなれなかっただけで…。
「ところでアムロ!相手はやっぱり初恋の娘なの!?きっと可愛い娘なんでしょうね!会えるかしら?」
「あ…、えっと…。」
アムロは自分が月光を浴びて女性になる事までは流石に話してはおらず、ましてや婚約者が自分よりもガタイのいい男だなどと、どう説明していいものかと頭を抱える。
と、そこに騒ぎを聞きつけたシャアが姿を現わした。
「おや、お客人か?すまない。邪魔したね。」
「もしかして貴方が“シャアさん?”」
「ええ、私がシャアです。はて、貴女とは何処かでお会いしましたか?」
「いいえ、さっき此処を訪ねた時に召使いの子が私の事を貴方のお相手と間違えたようだからもしかしたらと思って。」
ベルの言葉を聞き、シャアはキムにチラリと視線を向ける。
キムは苦笑いを浮かべつつ、お茶を用意してくると言って脱兎の如く逃げ出した。
「全く…。」
「ふふ。貴方みたいに素敵な人なら女性が放っておかないでしょう?」
「いえいえ、とんでもない。ただ一人の女性を手に入れるのに10年も掛かりました。」
アムロをチラリと見つめながら微笑む。
「ええ!貴方が!?信じられないわ!」
シャアのその視線にアムロが顔を真っ赤に染めて俯く。
『バカ!シャア!』
「ところで私、アムロの婚約者に会いに来たの!会えるかしら?」
「ああ、それならば目の前…」
と言いかけたシャアの口をアムロが塞ぐ。
「べ!ベル。それより長旅で疲れているだろう?こっちでお茶でもどうだい?」
アムロはベルを隣室に移動させながらシャアの耳元で囁く。
「ベルにはオレの身体の事まだ言ってないんだ!とりあえず順序に沿って説明したい!」
焦るアムロに溜め息を吐くとシャアは小さく頷いた。
「ベル、あのさ…実は…」
「アムロ!こんな所にいたの!?ドレスの仮縫いの途中でいなくならないでちょうだい!」
そこにアムロに母、カマリアが現れる。
「あら?貴女は確かアムロの…」
「お久しぶりです。おば様。」
「ドレスの仮縫いですか?」
「ええ、そうなの。アムロったら中々着てくれなくて。」
「…は?」
「夜しか合わせられないっていうのに直ぐに逃げ出すから!」
「あ、あのおば様、アムロが着る?合わせるって…」
二人の会話にアムロが頭を抱える。
「えええええ!月光を浴びると女になるぅ!?」
ベルトーチカの叫びが屋敷中に響き渡る。
「ヤム族の事は私も聞いたことがあるけど、先祖返りでそんな事があるなんて…」
「信じられないかもしれないけど本当なんだ…、それで…その結婚するのは女のオレな訳で…。」
「……どういう事?」
「アムロは私と結婚するという事だよ。ミス.ベルトーチカ。」
シャアがニヤリと笑みを浮かべながらベルトーチカに告げる。
「…本当なの?アムロ。」
「あ…うん。」
その答えにベルトーチカがギリギリと唇を噛み締める。
「…っ認めないわ!」
「君に認められなくとも構わんのだが。」
「うるさい!認めないったら認めないわ!!」
「だから何度も言わせるな。君には関係のない事だ!」
「ベル!シャア!やめろよ!」
「アムロは黙ってて!」
「君が黙ればいいだろう」
「シャア!ああ、もう!シャアは部屋に帰ってくれ!ベルもオレの話を聞いてくれ!」
どうにかシャアを部屋から追い出すと、小さく深呼吸をしてベルトーチカに向き合う。
「ベル…、あのさ…」
「嘘つき」
「え?」
「だって言ったじゃない。好きな人がいる。ずっと思い続けてたって!」
「ベル…」
「アムロがそこまで言うなら仕方がないって、…だから私諦めたのに…。でもあいつと結婚するって言うならその子はどうしたの?私みたいにフッちゃたの?」
瞳に涙を浮かべてベルトーチカがアムロに縋り付く。
「違うよ…」
「何が違うの!?」
「…あいつだよ…。」
「アムロ?」
「あいつなんだ…」
アムロはベルトーチカの瞳を見つめて答える。
懲りずに第2話です。
一応設定をご確認下さい。
【設定】
シャア : ヴァンパイア、医師
アムロ : ヴァンパイアと狼一族とのハーフ
月光を浴びると女性に変身、エンジニア(休職中)
ジオン : シャアの父(健在)、ヴァンパイア、名医
アストライア : シャアの母(故人)
テム : アムロの父(健在)、ヴァンパイア、ジオンの弟、エンジニア
カマリア :アムロの母(健在)、狼一族
ベルトーチカ : アムロの元恋人、ヴァンパイア
二人は従兄弟で幼馴染み。で、恋人同士。
宇宙世紀とかニュータイプとか全く無視の世界です。
ーーーーーー
月光2 ~Smile~
Smile for me.Smile for you.
泣くだけ泣いたら
Smile for me.Smile for you.
どうか笑顔で
アムロとシャアはめでたく婚約し、半年後には挙式を控えていた。
ダイクン家では式の準備に追われ、皆バタバタと忙しない日々を過ごしている。
「ねぇ、そこの貴方、ちょっといいかしら?」
この屋敷の召使い、キムを呼び止めたのは綺麗な金髪に、美しいエメラルドグリーンの瞳をした女性だった。
小柄なキムはその女性を見上げて思いっきり嫌な顔をする。
「何の御用ですか?シャア様に御用でしたらお引き取り下さい。」
派手な女性関係のシャアを訪ねて女性がやって来るのは日常茶飯事だった為、いい加減忙しい時に相手などしていられないと冷たく言い放つ。
「シャア?誰それ。私が用があるのはその人じゃないわ。」
思わぬ答えにキムが驚く。
「え?あ、失礼しました。」
「此処にアムロがいるでしょう?私、アムロに会いに来たの。」
「アムロ様?」
「ええ、此処にいるんでしょう?ベルトーチカが会いに来たって伝えてくれればわかると思うから呼んでくれないかしら。」
キムはシャアの相手ではないと分かりホッとしたものの、この女性をアムロに逢わせていいものかと思案する。
「あの…どういったご用件ですか?」
「アムロが婚約したって聞いたからお祝いを言いに来たの。」
ニッコリ微笑むベルトーチカに、キムはそれならば…とベルトーチカを屋敷へと案内した。
「ベルトーチカ!?」
突然の来訪に、アムロが驚いてベルトーチカの待つ客間に飛び込んで来た。
「アムロ!久しぶり!元気だった?」
「ベル…!」
ベルトーチカはソファから立ち上がるとアムロに抱きついて親愛のキスを贈る。
「ひ…久しぶり、突然どうしたんだい?」
「ふふ、アムロが婚約したって聞いてお祝いを言いに来たの。それからアムロのお相手を見たくって!」
「ベル…」
ベルトーチカはアメリカにいた頃のアムロのガールフレンドだ。
身体の変化が起こってから、シャアへの想いが諦めきれずに、ベルには初恋の人が忘れられないからと素直に話して別れを告げた。
元々好きな人がいる事はベルに告げており、その上で、それでもいつか自分を好きになってくれるかもしれないからと、半ば強引にベルとは付き合い始めた。
だから、別れを告げた時もベルは「分かった」と、その瞳に涙を浮かべながらも受け入れてくれた。
少し強引だけれど、真っ直ぐで明るいベルトーチカがアムロは好きだった。ただ、シャア以上に好きにはなれなかっただけで…。
「ところでアムロ!相手はやっぱり初恋の娘なの!?きっと可愛い娘なんでしょうね!会えるかしら?」
「あ…、えっと…。」
アムロは自分が月光を浴びて女性になる事までは流石に話してはおらず、ましてや婚約者が自分よりもガタイのいい男だなどと、どう説明していいものかと頭を抱える。
と、そこに騒ぎを聞きつけたシャアが姿を現わした。
「おや、お客人か?すまない。邪魔したね。」
「もしかして貴方が“シャアさん?”」
「ええ、私がシャアです。はて、貴女とは何処かでお会いしましたか?」
「いいえ、さっき此処を訪ねた時に召使いの子が私の事を貴方のお相手と間違えたようだからもしかしたらと思って。」
ベルの言葉を聞き、シャアはキムにチラリと視線を向ける。
キムは苦笑いを浮かべつつ、お茶を用意してくると言って脱兎の如く逃げ出した。
「全く…。」
「ふふ。貴方みたいに素敵な人なら女性が放っておかないでしょう?」
「いえいえ、とんでもない。ただ一人の女性を手に入れるのに10年も掛かりました。」
アムロをチラリと見つめながら微笑む。
「ええ!貴方が!?信じられないわ!」
シャアのその視線にアムロが顔を真っ赤に染めて俯く。
『バカ!シャア!』
「ところで私、アムロの婚約者に会いに来たの!会えるかしら?」
「ああ、それならば目の前…」
と言いかけたシャアの口をアムロが塞ぐ。
「べ!ベル。それより長旅で疲れているだろう?こっちでお茶でもどうだい?」
アムロはベルを隣室に移動させながらシャアの耳元で囁く。
「ベルにはオレの身体の事まだ言ってないんだ!とりあえず順序に沿って説明したい!」
焦るアムロに溜め息を吐くとシャアは小さく頷いた。
「ベル、あのさ…実は…」
「アムロ!こんな所にいたの!?ドレスの仮縫いの途中でいなくならないでちょうだい!」
そこにアムロに母、カマリアが現れる。
「あら?貴女は確かアムロの…」
「お久しぶりです。おば様。」
「ドレスの仮縫いですか?」
「ええ、そうなの。アムロったら中々着てくれなくて。」
「…は?」
「夜しか合わせられないっていうのに直ぐに逃げ出すから!」
「あ、あのおば様、アムロが着る?合わせるって…」
二人の会話にアムロが頭を抱える。
「えええええ!月光を浴びると女になるぅ!?」
ベルトーチカの叫びが屋敷中に響き渡る。
「ヤム族の事は私も聞いたことがあるけど、先祖返りでそんな事があるなんて…」
「信じられないかもしれないけど本当なんだ…、それで…その結婚するのは女のオレな訳で…。」
「……どういう事?」
「アムロは私と結婚するという事だよ。ミス.ベルトーチカ。」
シャアがニヤリと笑みを浮かべながらベルトーチカに告げる。
「…本当なの?アムロ。」
「あ…うん。」
その答えにベルトーチカがギリギリと唇を噛み締める。
「…っ認めないわ!」
「君に認められなくとも構わんのだが。」
「うるさい!認めないったら認めないわ!!」
「だから何度も言わせるな。君には関係のない事だ!」
「ベル!シャア!やめろよ!」
「アムロは黙ってて!」
「君が黙ればいいだろう」
「シャア!ああ、もう!シャアは部屋に帰ってくれ!ベルもオレの話を聞いてくれ!」
どうにかシャアを部屋から追い出すと、小さく深呼吸をしてベルトーチカに向き合う。
「ベル…、あのさ…」
「嘘つき」
「え?」
「だって言ったじゃない。好きな人がいる。ずっと思い続けてたって!」
「ベル…」
「アムロがそこまで言うなら仕方がないって、…だから私諦めたのに…。でもあいつと結婚するって言うならその子はどうしたの?私みたいにフッちゃたの?」
瞳に涙を浮かべてベルトーチカがアムロに縋り付く。
「違うよ…」
「何が違うの!?」
「…あいつだよ…。」
「アムロ?」
「あいつなんだ…」
アムロはベルトーチカの瞳を見つめて答える。