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アカギさんはなんでもできる

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 うまく言い繕う言葉など何一つ思いつかずにあわあわしていると、さっさと部屋に戻ろうとしたアカギがふと振り返った。
「それでこれはちょっとした好奇心なんだが、音だけで我慢できるのかい?」
「が、我慢も何も、ちょっと気になっただけだ!」
「……そう」
 カイジはまた返答の仕方を間違えて、完全にアカギの中では「小用の音に興味がある人」になってしまった。



 アカギは幸いなことに、あるいはカイジにとってはある意味不幸なことに、懐も広ければ倫理観もぶっ飛んでいる人間だった。もういっそ仏恩(ぶっとん)でいると言ってもいい。
 別にあの夜のことを他の人間に言いふらしたりはしないが、ふたりでいるとカイジを気遣うようになった。
「聞く?」
 トイレの度にカイジに伺いを立てるようになったのだ。
 アカギはおそらく親切心から言っていることは理解できる。
 それだけにどうやって誤解を解いたらいいものか、カイジは頭を抱えるしかなかった。