ギャンブルの神様
口の脇や、額や、そして鋭いまなざしの下には、白い髪に似合った深い皺が刻まれた。
言動も落ち着きをみせた。
もう、すっかりカイジよりも年上だ。
「これなら、頼れるかい?」
しげるは優しかった。
脈絡なく落ち込むカイジを、皺ばんだ手で撫で、望む勝負がないのなら無理をせずともよいと囁き、いつかお前に似合った勝負が待っているはずだと諭した。
カイジは次第に甘やかされることに慣れ、自らも甘えるようになった。
けれど、そんなしげるは現れた時と同じくらい唐突に消えた。
それまで潤沢に与えられていた穏やかな時間が唐突に失われて、カイジは息苦しさを覚えた。
何故自分の前からしげるが消えてしまったのか。
入れ替わるようにして、坂崎がカイジの前に現れて家に招待された。
坂崎の娘はカイジをいたく気に入り、あれやこれやと世話を焼いてきた。
だが、これじゃないという思いがどうしても抜けない。
坂崎には、ギャンブルから足を洗い真っ当に働けと諭されるが、どうしても何かが待っているという予感が消えない。
そして、その先には、しげるがいる気がするのだ。