【APH】Solo!【SCC19サンプル】
◆西普
「ギールーちゃん、はよ起きてやー」
「んぁ……?」
弟のものではない、突き抜けた青空のように明るく爽やかな声に脳を揺さぶられ、ギルベルトはゆっくりと目を開けた。ピヨピヨ、と小鳥が鳴く声がして、うわ、めっちゃふわふわやんなぁ、とのんびりとした声が続いて聞こえる。
声のする方に目を凝らし、眩しい朝日に目を眇める。窓の位置から考えれば、丁度朝日がベッドの方に差し込むということは、まだ日が昇り始めて間もない頃なのだろう。
「おっ、起きた? 今日めっちゃ天気ええで!」
「……アントーニョ」
ひょこ、と寝そべったままの己の顔を覗き込んで来たのは、褐色の肌と緑の瞳をした、いつも明るい友人だ。関係性としては、友人、と呼んでも差し支えはないとギルベルトは思っている。
「ん? なに…………ったぁ!」
「なんでお前が俺の部屋にいやがんだ」
起き上がりながらその頭にガンッ、と頭突きをすれば、クリーンヒットしたらしいアントーニョは額を押さえながら涙目で笑ってみせる。
「ひどいでギルベルト。遊びに来たんやで部屋に居ってもおかしないやんか」
「だから、どうやって部屋に入ったって話だよ。……まあ予想はついてるけどな。どうせヴェストに入れてもらったんだろ」
「分かっとるんやったら頭突きせんでもええやん。痛いわぁ」
作品名:【APH】Solo!【SCC19サンプル】 作家名:やよい