はじまりのあの日3 怪我とリボン
「迎えに出ようじゃない」
「うんっ。がっくん」
彼はわたしを抱き上げる。小脇に抱えてくれる。玄関に向かう途上、帰って来た、みんなと鉢合わせる
「お、リンたん。無事か~。かむいにてっきり~」
「アネキ、そのネタ、もうやめて。アタシも不愉快。神威君、そんな男じゃない」
「ごめん、オレも、テト姉さん」
「にゃっはっは。わりぃワリィ。ま、でも、かむいだからこんな軽口たたけんだ。口先でもう言わないって言っとくぜ」
テト姉。やたらと、彼をそういう人にしたがってたな。めー姉、カイ兄まで、不快感を示す
「でもでもっ、リンちゃん、ぽ兄ちゃん。お洋服が朝と違うかな。リンちゃんはリボンもハジメテ見るのだね。ナニナニ、どうして~」
「リンね、がっくんとお出かけして、ごはんしたんだよ。買い物もして~」
「リンちゃん。では、その美しい髪飾りは」
「がっくんに買って貰ったの~」
めぐ姉、ルカ姉に誇らしげに語ったわたし。リンが一番楽しんだんじゃないの。なんてめー姉に言われたほど。正直本当に楽しかったな。そして、煌びやかに始まった晩餐会の途上、わたしが、彼との外出を、リボンを。何度も自慢したのは、言うまでもない。シュシュをテーマにした歌が聞こえてくる。意識が今へと戻ってくる。わたし、ホントに幸せ者だ―
作品名:はじまりのあの日3 怪我とリボン 作家名:代打の代打