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はじまりのあの日4 摩天楼とむらさ・きいろ

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ワイナリーに来ています。特集を報じるリポーター。高い棚、隙間無く並ぶ、赤白の瓶。木造の建物。少し薄暗いのは、ワインを劣化させないためだと、彼から教わった。だから、造りが似てるのか、あの土地のワイナリーに。記憶の小部屋行きますか―

「メイコ。明日、郊外のワイナリー行こうじゃない」

一週間の滞在でNYを満喫。女神像を観た。超高層ビルの最上階、百万ドルの夜景。光の洪水を見ながら食事をした。わたし達も歌ったあの聖地で、ミュージカルも見ることが出来た。そして、あのサプライズ。思いやりに溢れることを仕掛けてくれるのは。いつでも優しい、紫の彼

「あら、神威君、アメリカはウィスキーの国なんじゃない」
「NY、合衆国ではワインの美味しい街じゃな~い。良いとこ知ってんだ、行ってみない」
「うふふ、喜んで」

お酒の提案に、乗らないはずがないめー姉。とても嬉しそう

「テルも、白、好きだったじゃない。同行しない」
「是非、神威さん。あの老舗ワイナリー。まさか訪れることができるとは思いませんでした」
「みんなも行かない。美味しそうなモノあるみた~い」
「オレいくよ殿」

カイ兄、右手を挙げる

「ミクも~。わ~楽しみ~」
「わたしも参加で、ぽ兄ちゃ~ん」
「全員参加でおっけ~じゃね、がく兄」

こうして、訪れたワイナリー。通された、歴史を感じるたたずまいの部屋。並んでいたのは、美味しそうな料理。本格的なピザ。極太のウィンナー、骨付きチキン。豆のサラダに、肉のサラダ。アメリカンドッグに巨大なハンバーガー。日本ではお目にかかれない、本場アメリカンフーズ。あきらかにパーティームード

「実は、みんなで来ること決まってから。予約入れちゃった。これ、やりたくて」
「神威君―」
「がっくん―」
「Sorry master―」

マグナムボトルを注文した彼。コルクを抜いて

「ありがとう。始まりの歌姫。安らぎの声風。貴女が、貴方たちが。作ってくれた、道の上。この液体よりも紅い、血が滲むような苦労の上に。俺達は立ってます。すべてに捧ぐ歌娘、俺はあなたの歌声で、参加を決めました。。合わせ鏡の歌声、俺を映し出してくれてありがとう。今日は万感、感謝とお礼の想いを込めまして。ささやかながら、宴を用意させていただきました」

颯爽とめー姉に、紅い中身を注ぎ言う

「ありがとう。我が家の頼れる御館様。神威君、貴男にだって、いつも助けて貰ってるのよ。ね、愛するカイト。信じられる。今のこの状況。地方の薄汚いライブハウスで。笑われて、ヤジられて、けなされて、たまに褒められて。歌っていたアタシ達」

うっとりと、グラスを見ながらめー姉

「NYで、喝采浴びて公演。ワイナリー、貸し切って祝宴。ホント、信じがたいよね。愛してるよ。めーちゃん。殿だって。妹の、弟のため。オレ達のため。必死に仕事してくれて。殿がいないメンバーなんか、もう考えられないから。ありがとう、オレ達の御殿様」

白ワインを注がれながら、カイ兄

「気高き貴女様の声に、導かれ。私は此処にいます。優しいカイトさんの歌に憧れ、歌い手に成ることを決めました。偉大な神威さんの仕事への真摯な姿勢。尊敬し、見習っています。ありがとうございます。みなさん」

カイ兄に、ワインを注ぐ、キヨテル先生泣き笑い

「がっくん、がっくんが来てくれて良かった。だって、がっくんが来て、ルカ姉が帰って来て。わたし達、歌のお仕事ふえたもん。今、にゅ~よ~くにいるのだって、絶対、みんなのおかげだよ。めー姉、カイ兄ありがとう。みんなホントにありがとう~」

あの日のわたし、微笑みながら

「メー姉、ウチ、メー姉みたいにナンノが目標っ。カイトの歌声好きだから。おにぃ、支えてくれてあんがとおっ」

泣きながら。リリ姉がめー姉に抱きつき

「カルっも、めい様好きっ。かいっ様、あいしてるっ。あにさま大大だい好きっ」

カル姉がじゃくりあげながら。各々が、全員が。メンバーそれぞれにに感謝して。縁(えにし)を再確認する

「さ、辛気くさいのは無しにして、乾杯しましょ」
「冷めたらおいしさ半減だもんね、めー姉」
「へっ、柄にもなく湿っちまったぜ」

レン、今度は意識がゴチソウに移行する。軽口を言うテト姉、こういう軽口は絶妙なのに

「だな、レン。発声を命じてほしいじゃない、メイコサマ」
「ありがとね、神威君。発声は~カル~」
「うれしいめいさま。うれしい、みなさま。ありがとあにさま。にゅ~よ~く。びっくりビックリ。みんなのおかげ。カル達の歌、聞いてくれてる人達のおかげ。みんなみんなにありがとう。いっせーの~で」
「「「「「「「「「「か~んぱ~い」」」」」」」」」」」

本場の豪快な米国食。日本では味わえない美味しさだった。そうしてどこへ行っても、わたし達ははしゃぎ、目を輝かせ、ひたすらに楽しんだ。ただ、その最中彼は

「カイト、メイコ、重音。テル、ルカ、めぐも。子供達から目、離すなよ。絶対迷子にさせんじゃない」

そう言って、わたしと手をつなぎ、離さなかった

あの頃からだったな。記憶図書館を退館し、思う『チビ』と言う呼称が『子供達』に変わった彼。あの時はきっと、わたし達を。本当の子供同様に、想い始めたのだろう。やさしい彼と過ごした、大都会での日々―