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代打の代打
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はじまりのあの日5 過ぎゆく時・育む想い

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シェアハウスが流行しているらしい。適度な交流でがきる。プライベートは護られる。その上で集団生活できることが良いのだという。ニュースキャスターが読み上げる。記憶図書館。扉を自ら開き、おいでおいでと手招きする。抗うことなく入館しよう。わたし達の家の横。また新しい『家』が出来たのは、11歳の九月後半。夏休みに行なった歓迎会を思う―

「別に、無理に移んなくてもイイじゃん、先生」
「いえ、神威の家に、いつまでもヨソ者がお邪魔するわけにはいきませんから」
「でもさぁ」
「それに、言われたんです、神威さんに。新しく来る『家族達』の家長になってほしいと。それって素敵な事じゃないですか」

NYでの公演後、PROJECTの知名度は飛躍的にあがった。ミク姉など、世界的女優とCMで共演したほどだった。大手のスポンサー等(など)もついたおかげで、わたし達のマンション、左隣にも、巨大なシェアハウスが建てられた。家(マンション)の右隣、神威の家。引っ越しを手伝いながら交わされた。キヨテル先生とリリ姉の会話。紫の彼も先生も。きっと意識した『家』と言う存在。『家族』という存在。だから、彼も、先生も言ったのだろう。自分のことを『よそもの』と。キヨテル先生は出来たシェアハウスへと引っ越した。そして、紫の彼が告げたよう、新たな『家族』の『家長』と成った。シェアハウスが建てられた理由。新たな歌い手達が加わったから

「歌い手として、IA(いあ)を名乗れとプロデューサーさん達に言われました。アリア・イア、15歳で~す。NYの公演、会場でみてました~。ゎたし、皆さんを尊敬してます。はやくみなさんみたいに成れるよう、がんばりま~す」

そう自己紹介したIA姉『女神からの賜り歌という(めがみからのたまわりうた)』コンセプト。言葉通り、後に女神様と讃えられる歌い手。安らぎをもたらせる歌い手になれたならと、PROJECTオーディションの門をくぐり、やってきた。あのNY公演以来、PROJECTのオーディションも、大々的に公募されるようになった。プロデュサーの耳と目は厳しい。通過者がいない時もあるほどに。それでも、合格者はやって来る

「自分、呂呂刃勇馬(ろろわゆうま)、15っす。まさか、憧れの皆さんのPROJECT。スカウトしてもらえるなんて思ってなかったす。趣味で居合道、やってっす。よろしくお願いしまっす」

自分で歌い手を発掘する、スカウト型。女性プロデュサーの行動も相まって。歌い手は増えていった。その彼女が、ストリートパフォーマンスの大会でスカウトした。勇馬兄『雑踏の癒し声(ざっとうのいやしごえ)』コンセプト通り、ストリートダンスが上手な歌い手。たまに、みんなにつっかかるけど、すぐ顔を真っ赤にして謝る

「あれは、か~な~りの甘えたんね」

と、めー姉が言ってた。割と良く、めぐ姉のそばにいる。本日より夏休み。集合の拠点は今もわたし達のタワーマンション。カイ兄と彼が作ってくれた朝食を済ませたメンバー。キヨテル先生が煎れてくれた紅茶を飲みながら歓談する。そんな中、昼からみんなで庭へ出て騒ごうとは、めー姉の提案だった

「なら、歓迎会やろうじゃない、三人の。忙しくてできなかったから」
「賛成、殿。新しく来たみんな、ちゃんと迎えてあげたい。そうだ、シェアハウスの落慶式もしよう」
「決まりだな。よし、買い出し、誰か行ってこい。好きなモン買っておいで。それで料理、作ろうじゃない」

慌ただしさが増したPROJECT。以前のように、歌い手さんが来たその日、大集合で歓迎会は出来なくなった。新たな歌い手を、カイ兄と紫の彼が思いやる。食後休憩の後、買い出しを命じる彼

「ワタシが行きますわ、神威さん。食品やお魚選んで来ます」
「デハ拙者、運転を担当するでゴザル」

サムライ言葉は、ビッグ・アル、アル兄。IA姉同様、わたし達のNY公演を見て訪日を決意。紫の彼に、特に共感を持ったという日本好き。22歳、元工業労働者『造船所の掛け声(ぞうせんじょのかけごえ)』侍ニューヨーカー

「ありがと、アル。アタシも行くわ。お酒買う」
「じゃあ、レンも行って。飲み物選んできて~」
「ラジャ、カイ兄」

楽しげに、めー姉達が出かけた後

「神威さん、私達も出かけてきます」
「センセとデザート買ってくるよ、おにぃ」
「頼もうじゃない。よし、めぐも行って総菜でも選んできてくれるか」
「おっけ~ぽ兄ちゃ~ん」
「あ、なら自分も行くス。荷物持ちで」

先生達も出かける。少し静かになる家の中

「よし、ボクはクーラーボックスや常備の菓子を見とくぜ。カルたん、手伝ってくれ」
「てとさま。手伝う」
「お願い、テト姉さん」
「よし、カイト、〆の麺でも茹でとこうじゃない」
「だね。スープも作っちゃおう」
「がっくん、カイ兄、リンも手伝う~」

わたし、さも当然のように彼の横

「お利口さんじゃないの、リン。じゃあ、麺、茹でて貰おうじゃない」
「わかった~」
「リンちゃ~ん、ゎたしも手伝うよ~」

IA姉とお蕎麦、きしめんを茹でる。紫様、めんつゆを作る。通常のものと、みそだれのもの。あぶらげを煮る、温泉玉子を茹でるカイ兄

「よ~し、このまま昼食も用意しちゃおうじゃない。何にする、カイト」
「手軽で、軽食感のものがいいよね。サンドイッチでも作ろうか」

そのまま、昼食用のサンドイッチ作りを開始するわたし達。ハム、チーズ、ベーコン。きゅうりに、玉ねぎ、レタス。重ねて、はさんで、繰り返す。大人数になったメンバー全員分の昼ご飯。途中から、テト姉もカル姉、サンドイッチ作成に加わって作業

「タダイマ戻ったでゴザル~」

していると、買い出しに行っていた、アル兄達が帰ってくる

「食品のついでに、ハナビも買い申した。スイカも買った故、スイカ割りでもシモウソウ」
「魚市場で、上等なお魚も手にいれましたわ」
「お酒も買い込んで来たわよ~」
「買いすぎ、めー姉。ルカ姉も、魚こだわりすぎ~、まったく」

めー姉、ルカ姉、レン。キッチンへやって来る。賑やかになってきた