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代打の代打
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はじまりのあの日5 過ぎゆく時・育む想い

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手を洗ってみんなで荷解。和気藹々(わきあいあい)何が出てくるか楽しみ。今度は発泡スチロールの中、ぎっしりの氷。彼が氷をどかすと、姿を現すお魚さん

「魚、サンマにトビウオ、鰹か。さすがルカ。旬を押さえてるじゃない」
「お褒めに預かり、光栄ですわ、神威さん」
「この鮮度だ。造りがいいか、ルカ」
「ゼヒぜひ。楽しみです。あ、これ、生わさびです」

受け取りながら、考える仕草の彼。調理法だと思う

「分かってるじゃない。うん、トビウオは梅肉和えもいいな。鰹はショウガ、玉ねぎもいこうじゃない。サンマは炙り刺にするか」

嬉しそうなルカ姉。調理法が気に入ったのだろう。丸のままの魚。手をあわせ、感謝の念を示す。捌きにかかる彼。隣のカイ兄、買い物袋を開けて

「秋野菜どっさり。肉は、挽肉とロースかな。よし、殿、オレ、ラタトゥイユとコロッケでも作っとくよ」

買ってきてくれた食材達。メンバー専属シェフの彼と兄。どんなものを作ってくれるか楽しみ。そうしていると

「戻ってまいりました」
「だっだいま~おにぃ~」
「買ってきたよ~ぽ兄ちゃん」
「っす~、総菜、デザート、コンプっす~」

先生、リリ姉、めぐ姉と勇馬兄。ノリ良さそうに帰ってくる

「バタークリームと苺のレアチーズ。ケーキ、センセと選んだ」
「アイスクリームも。大納言とバナナストロベリーを購入しました」

先生とリリ姉、手にしている箱。有名ブランドのアイスクリーム

「焼き鳥、塩とタレ~。メイコさんの好きなぼんじり。ぽ兄ちゃんの好きなうずらのたまご串も~」
「チーズとフランクの盛り合わせもっす~」

めぐ姉と勇馬兄は、商店街のお総菜を手に。あっという間に賑やかになるマンション。全員で、簡単な昼食を済ませ調理にかかる彼と兄。クーラーボックスやレジャーシートを外に運ぶキヨテル先生。神威家の大きな丸テーブルを運び出すアル兄。お総菜、炙り肉やチーズの盛り合わせを並べる姉達。運びながらも、飲むめー姉。彼と兄、二人の料理もできあがる。始まります、歓迎会

「まぁず、シェアハウス。これからこいつ達をたのむ。しっかり住まわせてほしいじゃな~い」
「はい、全員お祈り~」

お酒をかける紫の彼、カイ兄の言葉で頭をさげるメンバー。思い思い、祈る。落慶式を済ませると

「さぁ~あらためて。IA、アルに勇馬。ようこそ、いらっしゃい。これからもアタシ達と、歌って生きましょうね。では、一言ずつ~」

声が弾むめー姉。九月後半、涼しくなりつつある風が心地よかった。レジャーの上、車座りのメンバー。わたしは彼の膝の上。最高権力者、始まりの歌姫。めー姉に促される新入りさん

「マズ、トシヨリの拙者から。ミナト歌って生けるコト、この上なき喜ビト感ズ。改めてヨロシュウニッ」
「ゎたし、今もみんなに憧れてます。参加、とっても嬉しいです。たくさん、ゎたしと歌ってほしいです」
「ッス。トリいきます。みなさん、マジでカッケエす。その中に、自分も加えてくださいね。アザッス」

力強く、アル兄。いつも、ほんわかIA姉。空手選手のお辞儀のように、勇馬兄。わたしたちは

「「「「「「「「「「あらためてよろしくッ」」」」」」」」」」

真摯に返す。本当の想いだ

「おっしゃ~、飲み物注げ~、お・ま・え・達~」
「「「「「「「「「「っしゃ~」」」」」」」」」」

飲み物がカクカクシカジカ、注がれてゆく。銘々にそそぎ合う。

「発声はIA、アル、勇馬。それぞれやんなさ~い」

めー姉、飲みたい気持ちに、さらに気合いを入れられた様子だ。ハイテンション、満遍笑顔

「デハ杯を、皆のモノ」

アル兄がまず、杯をかかげる

「ゎたし達の未来に~」
「シアワセ多いといいっす」
「「「「「「「「「「せ~の、乾杯っす~」」」」」」」」」」

杯をあわせる。お祭りの幕があがる

「ゎ~神威のに~さん」
「改めて見っと、カイサン」
「コレ、ほぼ全て、手作りデゴザルか」
「「そうだよ」」

二人が作った料理。中央に、アスパラの豚肉巻き、ミートコロッケ。空豆の塩ゆで。定番の野菜サラダに、ちりめんじゃことゴマのサラダ。トビウオと戻り鰹のお造りに、サンマの炙り刺し。秋鮭のちゃんちゃん焼き。サツマイモ、シシトウ、カボチャの天ぷら。個々に付けられたラタトゥイユ、松茸入りのお煮染め。〆はおそばときしめん。選べる方式。天かす、あぶらげ、ネギに温玉のトッピングはご自由に。そこに、生搾りのフルーツオレまで

「作ったほうが、安上がりからね。節約は大切だし」
「手間掛ければ、良い物ができあがる。人間も同じじゃない」
「深いですね~神威のに~さん。すごいです~」
「さぁみんな。どんどん食べて」

カイ兄が促してくれる。華やぐメンバー。新たに加わった三人も、すでに溶け込んでいる

「そ~いえば神威のに~さん。リンちゃん、いつも乗せてますね~」
「そ~がっくんのひざ、リンの指定席~」

飲み物を飲んで、宣言するあの日のわたし

「最近、レンは乗らないね、殿」
「おれもう、ガキじゃね~もん」

彼と同じお酒を飲む兄、片割れの事を言う。と

「ワタシの膝には、乗ってくださいますの、レン君」

衝撃の事実を告げるルカ姉。吹き出す者、目を丸くする者。反応様々

「い、イヤだってあれは、ルカ姉が―」
「お嫌ですか、レン君」
「イヤじゃないけど」

レンがトマト並みに真っ赤。小声になる。な~んとなく、ムクレルミク姉

「レン君、最近わたしの膝には乗ってくれないのに」
「いっ、いやだって」

ますます赤くなって、慌てふためく

「レンたんモテモテじゃね~か。なんだ~ルカたん、ミクたん、恋のさや当てか~」
「え、や、そんなんじゃないよぅテト姉」
「ふふ、どうなんでしょうね」
「ってゆ~か、乗ってたんだね。オレ達の知らないところで」

あたふたとミク姉。意味深な笑みのルカ姉。ツッコミを入れるカイ兄

「典型的、末っ子気質デゴザルナ。メンバーの弟という感じでゴザル」
「あるさん、弟違う。お姫様。レンレンはお姫様」
「いやっ、どっちも違うってば、カル姉もアル兄も~」

両手を胸の前で振って否定するレン。囃し(はやし)立てるメンバー

「結局甘えんぼさんじゃな~い、レン。甘えとけ、甘えられるうちに。ジキに出来なくなる」
「そだよ~レン君。最近、ぽ兄ちゃん甘えさせてくれないんだから」
「当たり前じゃない。その年で風呂入ろうとか言うんじゃない」
「リンはがっくんに甘える~」

頭をこすりつける

「いつものことじゃな~い」

笑いながら、撫でてくれる彼

「へへ~、モテんな~レン。将来ジゴロか」
「うっせ勇馬兄っ。なにさジゴロって、意味わかんね」
「あ、ジゴロってのはな~」
「オイ勇馬。てめぇ、子供に変な入れ知恵すんじゃねえ。ぶっ飛ばされてえか」

彼の、ドスの聞いた、大迫力の低音が響き渡る。真っ青の勇馬兄

「あ、さ、さ、サーセン、がくサン」
「この双子は、俺の大切な双子だ。扱いに気をつけようじゃな~い」

わたしの頭に手を置き、凄む彼

「そこまで、そこまで~。勇馬君も反省してるからっ。ぽ兄ちゃんも、大人げないよ~」

なだめるめぐ姉。さらにたたみ掛ける彼