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はじまりのあの日6 海と花火と膝の上

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あ『ゴロッとしたお肉』用意するの忘れたな。炙り肉や、ステーキ好きが来たらどうしよう。まぁ仕方ない、カンベンして貰おう。TVの肉フェスタCMを観て『肉』忘れを思い出す。台所用のTV。そんなものがあるのは『家が広い故』の珍事だろうか。そのスピーカーが、今度は花火大会の宣伝を告げる。そういえば、花火大会の前座。みんなで勤めたことがあった。それこそ彼のお膝元の地で。さて、行ってきますか記憶の中へ。12歳の、あの夏へ―

「ぽ兄ちゃん、あの花火大会だよ~。前座で歌えるって~」
「懐かしいな、あの町か。十年ぶりくらいじゃない。俺は」
「へぇ、海の大花火大会なんて初めてだよ殿」

パンフレットを観る。海面に映る美しい花火。その光景に、カイ兄同様、心が躍る

「わ~がっくんのふるさとだ。楽しみ~」
「まあ、暮らしてたのは違うトコなんだけどな」

七月後半のこと。彼が暮らした町の近く。越後、その町の大規模イベント、海の大花火大会

「前座で歌ってほしいんだって、僕らも楽しみなんだ」
「なかなか観れねぇ種(たぐい)の花火らしいからな」
「あたしのアレンジ手腕の見せ所よ~」

プロデューサー達の言葉。雪祭りの時同様、お祭りらしい楽しい曲を歌ってほしいと言う依頼。メンバー多数参加型の曲が得意、女性デューサーの腕の見せ所。選択されたのは、ライブの時間も考慮して四曲

「ダンス中心の歌と、ミュージカル×2、物語といくからね~」
「ジャンル混交だ。トチるんじゃ~ねぇぞ~」
「しっかり練習しなきゃね。厳しくいくわよ」

そういえば、と思う。このPROJECTは、いわゆる『芸能人』のような活動とはちょっと違う。わたし達のお仕事は、あくまで歌うこと。それには、色々な『歌』がある。ヒップホップや、ミュージカル。ラップもあれば賛美歌も歌う。時には、日本一有名な歌劇団に匹敵するレベルの歌劇もこなす必要がある。プロデューサー、依頼者要求に応じられる範囲で。その代わり、わたし達は『タレント』のように、TVに出演することは殆どない。公演がお仕事のほとんどを占める。そのほかは、トークショーや、自治体さんの地元アピールに華を添える等。多くのことをこなす必要がある。基本は『生』を訊いて欲しい、観て欲しいというのがプロデューサーの考えだ。その、生の公演のため、アレンジされたダンス。交代のタイミング、曲の歌い込み

「そこ、ズレてるよ~」
「頭っからもっかい通しで練習すんぞ」
「は~い、皆もどって、戻って~」

プロデューサーたちの指導が入る。この練習は本当に大変だった。それだけに、予想以上に、楽しかった。リリ姉の持ち歌、ダンスが格好いい曲も選ばれる。これは二人が中央で、別バージョンを踊る。ストリートダンス系だけに、勇馬兄。歌った本人のリリ姉が選ばれると思っていた

「がくくんとリンに、別パート踊ってもらうよ~」
「後輩の押しが強えのなんの、うるせえからよ」
「リリちゃんは、最後ソロで踊って貰っちゃうわよ」

わたしと彼が選ばれる。跳ね上がる心

「がっくん、たくさん練習しようね~」
「気合い入れて、成功させようじゃない」

目覚めれば朝練、学校から戻ればまた踊る。二人で躍り込んだ。給水や、汗の始末に気を回してくれた、優しい彼。ライブの前から、それはもう楽しかった