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天に昇る気持ち(コレットは死ぬことにした)

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「.....似てるか?」

少し怪訝な顔をしながらも、
ハデスはコレットから贈られた
王冠を被った黒猫の置物を
自らの懐に忍ばせた。

「風呂の用意を頼む。」

そう家来に言いつけると、
ハデスは少し元気になったように立ち上がった。


ちゃぷん。

ゆっくり風呂に入りながら、
またコレットに思いを馳せる。

そういえば、前に裁判のことで憂いた時も、
「お風呂に入りませんか?」と、
薬草の入浴剤をコレットが用意してくれた。

温かさと草花の香りと、コレットの心遣いが、
あの時の傷ついた心を癒してくれた。

その残りの薬草を浴槽に入れた。

ふわっと苦いような甘いような
微かな草花の香りが漂い、
コレットと共にいるような気持ちになる。


「明日は会いに...来てくれるだろうか。」


さっきまで関係が壊れたと思って怖くなり、
会いたいけど会いたくない気持ちであったのに、

手紙を受け取ったことで
会いたい気持ちが加速していた。


「お前を想いながら寝るのも悪くない」

そんなことを言った日もあったが、
もう想うだけでは我慢ならない。

ザバァッとハデスは風呂からあがると、

「地上に行ってくる。」

と着替え始めた。


「え?!お風呂もお済なのに?今から?」

ガイコツはあわてた。


「ハデス様、お出かけですのん?」

ハリーがお手製の洋服よろしく
駆けつけてきた。


「いつもの服でよいが…」

「だってハデス様、地上でコレットに会いますん?
じゃあぜひこれをお召しください。」


品の良い、人間の着物風に仕上げた服を
ハリーは差し出した。

「これなら冥王様とわからず
地上でコレットとお話できますん///」


以前コレットと街に買い物に出た時、
服のせいで不審者に見られたことを
つい話してしまっていたのだ。


「ハリー...すまぬ。」


「いいえ!!ハデス様が元気になられるのが
ワタシの喜びでありますん♡」


「私はよい家来を持ったな。礼を言う。」


そう言ってニッコリと微笑み、ハリーの仕立てた洋服を着て、
ひとりハデスは地上へと昇った。

ハリーはそのハデスの笑顔の破壊力と、
嬉しさのあまり、気絶した。

「ここで死んでも本望ですん♡」

「バカモノ、お前は死なん。こんなところで倒れるな。」

ハリーは、ズルズルとほかのガイコツにひきずられていった。