二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

天に昇る気持ち(コレットは死ぬことにした)

INDEX|3ページ/4ページ|

次のページ前のページ
 


「コレット、もう終わっていいわよ!」

「はーい、マリー姉ちゃん、わたし、
 ちょっとだけ外に出てきます。」

「え?!こんな夜に?どこに行くの?」

「薬草園を見て回るだけだから」

「わかった、ランタンあるわよ。でも気を付けてね。」

「ありがとう!」


コレットが義姉と会話する声がした。

人影が井戸の方へ近づいてきて、
ハデスは思わず木陰へ身を隠した。


コレットは、薬草園を見て回る、と言いながら、
井戸の前に来ていた。


「思い切って行ってみるか。」

「手紙だけじゃな・・・」

そうひとりごとを言いながら、

「や、待って。まだ心の準備がっ」

「あ、でも、この薬草効くとかなんとか言って
 用事作ってしまえば・・・」

ザッザッザッとコレットは暗闇の中で、
ハデスの不眠に効く薬草を袋に詰めた。

そしてそれをリボンで縛り、
胸に抱えたが、再び井戸の前で、

「むむむむ・・・」と、冥府へ行くかどうかを迷っている。

ずっとあのキスの意味はなんなのか、
ひとりで考えても答えの出ない問いが
頭をぐるぐる巡っている。


しかも、「ハデス様とのキスは嫌ではない」
と気づいてしまった。

いや、むしろ、嫌どころか...


「ああああああああ///////」

顔を真っ赤にして井戸の縁に伏して、
コレットはバタバタと悶絶していた。

「わわわ!!」

さっき詰めたばかりの薬草の袋を、
井戸の中に落としそうになった。


こんなことを考えるうちは
ハデス様には会えない!

「ボンノー退散!!////」

そう言いながら、袋を
自分の周りで振り回した。


アイツはまた何をしているのだ。

また何かのおまじないか?


「お前はまた...何をしているのだ。」


聞き覚えのある低い声が聞こえてきた。


「っ///ハデス様!!!」

暗闇から人影が出てきて、本来ならびっくりするところだが、
その声は明らかにハデスのもので、
驚きより喜びが勝ってしまう。

が、すぐに我に返り、恥ずかしさが襲い、
薬草袋で顔を隠す。

「どっ、どうしてこんなところに?!///」

ゆっくりとハデスはコレットに近づき、
顔を隠している袋をそっと掴んで降ろし、
コレットの顔を見た。


愛しくて会いたかった存在が目の前にいる。

が、と同時に、悲しい気持ちになった。


「お前は...もう視界にも入れたくないくらい
私に会いたくなかったのだな?」


綺麗な顔立ちに、憂いを帯びたその瞳は、
恋するものでなくても魅了してしまう。


「へ?」

その美しさに見とれてしまっていたせいか、
ハデスが発した言葉の意味が
よくわからなかった。

「もう会いたくないのならば、すぐ帰る。
でも最後に、目だけ合わせてくれないか。」

「・・・・・・へっ、はっ?!最後?!」

「どうしてですか?ハデス様、どっか行っちゃうの?!」


コレットはハデスの最後という言葉に驚きを隠せず、
思わずハデスの袖をつかんで顔を見上げた。

パサッと薬草袋が地面に落ちた。

「何を言っている。お前が会いに来ないから...
今も視界を遮るし…私とは会いたくないのかと。」

ハデスのその言葉に、コレットは目をまんまるくした。


「あっ・・・会いたかったです!
ハデス様に会いたくて会いたくて、
でも恥ずかしくて...///顔が見れない・・・
 会いたいのにずっと変なんです、私。」

コレットは言いながらまた恥ずかしくなり、
真っ赤になった顔を俯かせた。


「恥ずかしい・・・本当に?」


「嘘なわけないっ!」

と叫んでコレットが顔をあげると同時に、
ぎゅううううううっと、
ハデスは強くコレットを抱きしめた。


あ、ひさしぶりのこの腕の中だ。

コレットは思った。


この腕の中にいると安心する。

コレットは長く考えを巡らせて
こじらせた心が、ゆるく、ふわっと
ほどけていくのを感じた。