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リハビリトライアル Ⅱ

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少しでも戦に関わりを持つ為に、――強い者と戦う為に。
だが、小太郎には何をしてやることも出来ない。
彼の望みはわからないでもないけれど、。
「・・・・・・・・・・・・」
小太郎はふと、手裏剣を納めて彼の肩を軽く叩く。武蔵は襲い掛かってきた時の勢いが嘘であったかのようなのろのろとした動作で顔を挙げ、そして小さく首を傾げた。
「何だよ、・・・・もう、ほっといてくれよ」
「――――」
泣き声に似た呟きに小さく首を振り、小太郎は己が駆けて来た方角を指し示す。その先を辿れ、と言いたかったのだが、果たして彼にそれが伝わったか否かはわからない。わからない、けれど。
「あ、・・・・!?」
小太郎の指し示した先へと少年が視線を向けた隙に、小太郎は大きく跳んで松の木の陰に同化する。驚いたような武蔵の声が波音に消えたその時、既にその姿は彼の視界から消えていた。
武蔵は暫し呆然としたように辺りをきょろきょろと見回していたが、やがて鈍重な動きで立ち上がると小太郎が指し示した方角へと歩き始める。砂浜に残るその足跡を暫く眺めやってから、小太郎は逆方向へと走り始めた。
敵影を見失ってから然して時が経っている訳ではなかったが、急いで追わねばならないと己に言い聞かせ、――小太郎は口元だけで苦笑する。
急がねばなら無い事は百も承知で、何故己は彼に暫しの時を割いたのか。その理由は判然とはしなかったが、さりとて後悔もしていない事に気付いて小太郎は苦笑を深める。殺そうと思えばいつでも殺せた、あの場に放置することも出来た。しかし小太郎は、彼に行く道を指し示した――あの先には、小太郎が仕える老いた主が陣を敷いている。果たしてあの老爺が武蔵を雇うか否かは小太郎にもわかりはしなかったが、少なくとも戦に関わる切欠だけは与えてやったと言えるだろう。
――何故?
そう自問する声は絶えず小太郎の頭蓋の内に響いている。およそ忍らしくない、合理性に欠ける行為。それに対して小太郎は疑問の念を禁じ得ない。
けれど、。
――己もまた、戦の表舞台には関われぬ身。
幾ら裏で暗躍し、人目に知れず数多の命を奪おうとも、小太郎の働きが世界の表に現れることはない。その点に於いて、小太郎は武蔵同様、大戦に関わりを持てないに等しい。
所詮、ひとの世界の外側に位置する身である。
ならば自分と同じく世界の外側に在るものを、ほんの少しだけ世界の内側へ歩み寄らせてやっても構いはしないだろう、と、。



そう声も無く独りごち、小太郎は風魔の名の如く風となって走り去った。
再び、人目に触れることの無い、世界の外側へと戻る為に。



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武蔵のキャラが掴めていない かも・・・・! orz
作品名:リハビリトライアル Ⅱ 作家名:柘榴