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霧嶋 一九三
霧嶋 一九三
novelistID. 63744
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【夢100】ナビをもふりたい【2次創作】

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 ある晩、アルストリア城のゲストルーム。あかりはなかなか寝付けず、ベッドの上で思考をめぐらせていた。

―・・・この世界にきて数日が経った。
あまりにも違う世界情勢、環境、自分の置かれた立場...毎日が濃密で、でもあっという間にすぎていく。

 こちらに飛ばされる直前、刺激的なことが起きたら・・・なんて考えてたけど、
まさかこんなことが起きるなんて。もしかして、これも夢の力?のせいだったりするのかな。

 確かに、会社員を続けるよりはずっと楽しい生活だけど。
でも、いわゆる雑用係から、世界を救うお姫様なんて。
世の中なにがあるかわからないけどさ、こんなのどんな預言者だって想像できないよ...

「・・・はぁ」
ため息をつくと、ソファにいたナビがトコトコと傍に来てくれた。
「姫様、眠れないようですね」
「ナビ。ごめんね、心配かけて」
「いえ・・・何か気にかかることでもおありですか?」
不安そうに潤む大きな瞳。下がる耳。力なく揺れる尻尾。

 出会ったときはぬいぐるみだと思った彼。正体は未だわからないけど・・・
――すっごく可愛いんだよなぁ。うさぎ? いや、きつねの仲間なのかなぁ?

「―・・・ひ、姫様!?」
私は身体を起こすと、ナビを抱き上げ、膝の上に乗せた。
ナビは緊張しているのか、尻尾がまっすぐに上に伸びて硬直している。

「ちょっとだけ、こうしててもいい?」
そっと彼の頭を撫でてみた。ふわふわ、モフモフした柔らかい毛が気持ちよかった。

―・・・ずっとナデナデしてみたかった。
実を言えば、執事として頑張るナビに失礼かなと遠慮していた。
 でも今夜は・・・なんとなく、我慢したくなかった。
センチメンタルといわれる気分とはこういう感じなのだろうか。

「えっと・・・ダメではありませんが、その」
ナビは恥ずかしそうに瞳を泳がせている。その仕草も愛らしく、私はもう一度頭を撫でてみた。
ペルシャ猫のような手触りは、私の心をほんのり温めてくれる。

「嫌ならもうやらないけど・・・だめかな?」
私はナビを向き合うように膝に抱きなおした。
「あかり様・・・」
ほんの少しの間見つめ合っていた。

・・・・・・そんなに恥ずかしいことなのかな?
彼の表情を見ていると、こっちまで少し恥ずかしくなってくる。

わずかに頬が熱くなり始めたとき、ナビのまぶたが下りた。
「姫が望むのであれば、僕はなんだって・・・」
そう言うと、いつもの笑顔を見せ、くるりと背中を向けた。

「ありがとう、ナビ」
ナビの緊張も解けたのか、尾はゆっくりと左右に揺れている。
私はゆっくり、何度もその頭を撫でた。


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