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甘い水の中で4

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甘い水の中で 4


アムロがシャアに捕らえられ、スウィート・ウォーターに監禁されてから、そろそろ二ヶ月が経とうとしている。
半ば、脅されるような形でギュネイの教官を勤める事になり、その時は足枷も外され、部屋を出る事もできるが、それが終われば以前の様に足枷を付けられ部屋に監禁される。
ただ、教官を引き受ける代わりに服を貰えるようになった為、以前の様にシャアのシャツ一枚だけという事は無くなった。
それは、ギュネイやナナイがここに訪れるようになったからと言うのも理由の一つだったが。

「アムロ大尉はなんでまだ足枷着けたまんまなんですか?」
目の前のソファでコーヒーを飲みながら、ギュネイがアムロの足枷を見つめる。
「そんなの俺が聞きたい。今更逃亡も何もないって言うのに、シャアの奴、これだけは頑なに譲らないんだ。」
「でも、この部屋にいる時だけなんでしょう?それって何か意味あるんですか?」
「さあな。」
本当はなんとなく分かっている。
これはシャアの不安の象徴。
アムロが自分の手から離れてしまうのを恐れるあまり、形だけでもと、こうしてここに縛り付ける。
アムロ自身、今はシャアから離れるつもりは無いが、この先もずっととは言い切れない。
ブライトと立ち上げたロンド・ベルの事も気掛かりだ。きっとブライトも俺が行方不明になって心配している。
それに、もしこの先、シャアが馬鹿なコトをするようなら何があっても止めたい。
ただ、今はまだ、シャアも何も事を起こしてはいない。だからここに居て、シャアの様子を監視するのも良いかとも思う。
それに、この足枷をする事で、シャアが安心できるのなら、別に多少の不自由など気にならなかった。何より、アムロ自身が此処に…シャアの元に居たいと思っているのだから…。
「まぁ、アムロ大尉が俺の教官してくれるなら何でも良いですけど。」
「何だそれ、酷いな」
「下手な事して大佐の反感は買いたく無いですからね。」
「そりゃそうだ。」
「それじゃ、俺そろそろ行きます。」
ギュネイは立ち上がると、思い出したようにポケットからキャンディをいくつか取り出す。
「あ、これどうぞ。」
「何でキャンディ?」
「ハロウィンですよ。施設の子供達に配った残りです。アムロ大尉、結構甘いもの好きですよね?良かったらどうぞ。」
「俺は子供か?!」
そう言いながらキャンディを口に含む。
「あ、これイチゴ味だ。」
何だかんだ言いながら美味しそうに食べるアムロにギュネイが微笑む。
と、キャンディを舐めながらアムロが呟く。
「あー、ケーキ食いたいな。苺の乗ったショートケーキ」
「はぁ?あんた本当にガキっぽいな」
思わず敬語も忘れて突っ込んでしまう。
「はは、良いだろ?大人だって好きなもんは好きなんだよ。そういやもうすぐ俺、誕生日だ。」
「え?いつですか?」
「11月4日」
「いくつになるんです?」
「25」
童顔のアムロの顔を見つめ、ギュネイが目を見開く。
「もっと若いと思ってた。」
「…よく言われる…」
ギュネイに思い切り驚かれ、アムロが少し拗ねながら答える。
「そんな拗ねなくても…。老けて見られるより良いじゃないですか。」
「そりゃそうだけど…。」
「まぁ、ケーキはまた考えておきます。っていうか大佐に言ったら直ぐにでも持って来そうですけど。」
「…そうだけど…恥ずかしいだろ!」
「俺に言うのは恥ずかしくないのに?」
「だって、あいつに言ったらなんか、バカにされそうだし…カッコ悪いだろ!」
「別に良いと思いますけど…」
「良くない!」
「まぁ、とりあえず帰ります。明日も同じ時間に迎えに来ますのでよろしくお願いします。」
そう言いながら、一応敬礼をして部屋を出て行く。
そして、ガチャリと鍵を掛ける音が室内に鳴り響いた。
アムロの逃走防止のため、この部屋は外から鍵が掛けられる。
入るにもいくつものセキュリティを解除しなければ入れない。
その状況に、アムロから小さな溜め息が漏れる。
「本当に鳥籠だな」
けれど、シャイアンの時の様な息苦しさは無い。昔と違い、今はここで待っていればあの人が会いに来てくれるから…。


数日後、訓練を終え、いつもの様にギュネイに部屋へと送ってもらい、足枷を着けられる。
「お疲れ様です。」
ソファーに座り、テーブルの上を見ると、そこにケーキの箱が置いてあった。
「ギュネイ、これ」
「一日早いですけど、誕生日プレゼントです。リクエストのイチゴショートですよ。」
「わぁ!ありがとう!」
子供のようにはしゃぐアムロに、ギュネイもつられて微笑む。
「コーヒー入れるんで、皿に出しといて下さい。」
「わかった!」
箱の中にはショートケーキが二つ。アムロは皿に乗せると、嬉しそうにケーキを見つめる。
「本当に子供見たいですね」
コーヒーをテーブルに置きながらギュネイが呆れた様に呟く。
「うるさいよ!さあ、食べよう!」
まずはクリームのたっぷり乗ったスポンジを頬張る。
「美味っ!」
味わいながら食べるアムロを見つめ、ギュネイもケーキを一口食べる。
「あ、本当だ。美味い」
「だろ?」
「ケーキなんて久しぶりに食ったな。」
「実は俺も。」
最後に苺を残すアムロにギュネイが噴き出す。
「アムロ大尉、一人っ子ですか?」
「え?何で?」
「美味しいものを最後に取っとくなんて一人っ子の証拠でしょ?」
「そうなのか?」
「取られる心配ないし」
「あ~。そうかも。確かにそんな心配した事ないな。」
「ギュネイは先に食べたって事は兄弟いるのか?」
「え?いや…兄弟はいないけど、昔は食い物に結構困ってたから。食える時に直ぐに食う癖が抜けてないかも。」
ギュネイは戦災孤児としてこのスウィート・ウォーターに連れてこられた。
そして、物資の乏し施設ではまともな食事など与えられず、気付けばストリートチルドレンとして生活していた。
ナナイに拾われ、ニュータイプの素質を見込まれて研究所の被験体になる事で、ようやくまともな生活が送れる様になったのだ。
「そっか、ギュネイも苦労したんだな。」
「大した事ないです。」
「よし!これから毎月4日はケーキの日にしよう!」
「はぁ?買ってくるの俺だろ?」
「金は出すから!と言いたいが俺は一銭も持ってない。教官代って事でどうだ?」
“毎月”それはつまり、まだずっと教官を続ける意志がある事を示していた。
おそらくアムロは無意識に口に出したのだろうが、ギュネイは約束を貰えた様で嬉しかった。
「しょうがないな。そのかわりちゃんと訓練してくれよ!」
「任せろ、っていうかギュネイ、敬語はどこ行った?」
気付けば、気さくなアムロにつられてタメ口状態になっていた。
「あ」
「ははは、まぁいいや。それじゃよろしくな!」

扉を閉めて、暫く歩いた所でギュネイは立ち止まる。
「何なんだあの人、可愛すぎだろ」
胸元に手を当て、ギュッと服を握り締める。
「何だ?この気持ち…」
まだ自分のこの気持ちが何なのか分からないながらも、ギュネイは、アムロを想って顔を赤らめる。
「まぁ、いいか。とりあえずこれからもあの人に訓練をして貰えるんだ!」
まだ若いギュネイは自分の想いに気付かぬまま、上機嫌でその場を後にした。

作品名:甘い水の中で4 作家名:koyuho