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彼の爪

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父は上機嫌で帰宅し、母からのチョコを受け取る。
食事中など、ラブラブ過ぎて見ていられなかった。
結婚して20年近く経つのに、何故こうもこの二人は熱々なのか。
ピンクなオーラを無視し、将臣は斜め向かいに座ってマイペースに食事を取る知盛を見やる。

知盛は視線に気付くものの、料理を口に運び、見向きもしない。
(クッソー!ヤラしい食べ方しやがって!襲うぞ!!)
将臣の心中など知る由もない、そっけない恋人は、味噌汁を啜り、唇を舐める。
(ああああ拷問だ…!!)





風呂から上がり、将臣はベッドに倒れ込む。

期待も虚しく、知盛は何か作るでも、出掛けるでもなかった。
(もうすぐ0時になっちまうぜ…)
カチカチと響く時計の音。
それはいつもより速いリズムに感じられる。

無情にも、時計の針は12を指し、14日は終わりを迎えた。
(はぁー)
期待する方が馬鹿だったのかもしれない。
なんていったって、相手はあの知盛だ。

しかし、やはり望みは持ちたかった訳で。
「知盛…」
将臣の言葉に反応したのか、カチャリ…とドアの開く音がした。

振り返るとそこには、濡れた髪をタオルで拭いている知盛の姿があった。
「お、上がったか?」
「ああ…」
知盛はベッドに近付いて来たかと思うと、将臣に触れるだけの口付けを落とした。
柔らかい感触を充分に楽しみ、唇を離す。

「なんだよ、気が変わったのか?」
将臣がそう言えば、知盛は口角を吊り上げ、艶やかな魔性の笑みを浮かべた。
「日付は変わっても、夜は明けていないだろう?」
知盛は、今までタオルで隠れていた指を現にし、将臣の口腔へとやった。

「兄上は、このようなチョコはお気に召さないか?」
骨張った指の先端を飾るは、真っ黒なマニキュア。
漆黒に染まった爪はなまめかしく、将臣の躯を這う。
「いや…」

将臣は知盛の指を噛み、




「最高のチョコだぜ…」









END
作品名:彼の爪 作家名:真川